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2006年10月 4日 (水)

SABICとExxonMobil、ポリエチレン製造に関する技術及び特許紛争を和解

SABICは9月28日、ExxonMobilとのポリエチレン製造に関する技術及び特許紛争を完全に最終的に解決したと発表、ExxonMobil もこれを認めた。今後、SABICと世界中の子会社はこの技術を無料で使用でき、過去及び将来のExxonMobil による第三者へのライセンス収入を分け合うとしている。

両社とも和解の条件については公表せず、いずれも両社の長期にわたる関係を高く評価し、今後ともJVの成功に向け努力し、更に関係の拡大を図るとしている。

両社の紛争は1998年に始まり、Delaware州の地裁~最高裁、及び連邦地裁~連邦最高裁と広範にわたり、いまだに裁判での解決を得ていなかった。

関係者

・1980年にSABICとMobilは50/50JVの Yanbu Petrochemical Co.(YANPET)を設立した。
・同年、SABICとExxonは50/50JVのAl-Jubail Petrochemical Co.(KEMYA)を設立した。
・1999年にExxonとMobilが統合し、ExxonMobilとなった。
  この結果、YanpetとKemyaはSABICとExxonMobilの50/50JVとなった。

事態の推移

1998年10月、SABICはNew Jersey連邦地裁に対し、PEの生産性アップ、能力アップの改良技術がExxonではなくKEMYAに帰属するのを認めるよう、Exxonを訴えた。(この技術が今回の和解で述べられている技術と思われる)

この訴訟の途中で、SABICUnion Carbideからライセンスを受けたUnipol 法PE技術をKEMYAYANPETに再ライセンスした際に、再ライセンスでは利益を上乗せしないというJV契約の規定に反して利益を上乗せしていたことが判明した。

2000年7月、和解が失敗した翌日に、SABICはExxonMobil を相手にして、上乗せはJV契約の他の規定に基づくもので問題はないとの判断をDelaware州裁判所に求めた。ExxonMobil側はNew Jersey連邦地裁に契約違反としてSABICを訴えた。

判断はDelaware州最高裁に持ち込まれた。

JV契約は準拠法をサウジ法としているため、サウジ法に基づいて審議が行われた。陪審員の選択に当たっては、当時の反アラブ感情を配慮して慎重に行われた。
ExxonMobil側は「再ライセンスでは利益を上乗せしない」という条項を基に契約違反を主張、SABIC側は別の規定に基づくと主張したため、契約交渉時の当事者を証人にしたが、時間が経過しているため、誰の記憶が正しいのかが問題となった。

最終的に2003年3月に陪審員は、SABICがJV契約に反して再ライセンスで利益を上乗せしたこと、これがサウジ法のghasb (略奪)の不法行為にあたるとして、SABIC敗訴とし、417百万$の損害賠償を課した。
利益上乗せ額は
184百万$50/50JVのためExxonMobil求償分は半分の92百万$とし、これにサウジ法による略奪賠償324.8百万$が加えられた。

これに対し、SABICは控訴し、Delaware州最高裁で未決のままとなっている。

この判決の前に、SABICは外国政府免責を主張してExxonMobil側の連邦地裁訴訟を却下するよう求めたが、連邦地裁はこれを却下した。しかし、控訴審で判事がRooker-Feldman doctrine という、これまで2件しか判例のない理論を持ち出し、既に州地裁で審議をしている事案は連邦裁判所に訴えられないとした。
本件は最終的に連邦最高裁までいき、Rooker-Feldman doctrine の適用事案ではないとして否定された。

 

今回の和解で本件にかかわる全問題が解決したこととなる。

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