GE、シリコーン事業を売却
GEは14日、シリコーン事業のGE Advanced Materials をApollo Management, L.P.,に38億ドルで売却すると発表した。GEは1971年に東芝と設立したGE Toshiba Silicones、1998年にBayerと設立したGE Bayer Silicones の2つのJVを持つが、両社からJV持分を買い取ってGE 100%とした上で、本体とともにApollo に売却する。なお、GEはApollo の新会社に10%出資する。
GEは、工業部門をより成長の高い、より利益率の高い分野に向ける大きな一歩としており、JV持分買収費等を差し引いたネット売却収入の20億ドルを、この部門の成長とリストラの原資にするとしている。
東芝はジーイー東芝シリコーン(GE 51%/東芝 49%)と、その子会社6社の株式をGEに売却すると発表した。
GETOS Singapore Pte.Ltd.、
GE Toshiba Silicones Asia Pacific Pte.Ltd.、
GE Toshiba Silicones (Nantong) Co., Ltd.
GE Toshiba Silicones Hong Kong Co., Ltd.、
GE Toshiba Silicones Shanghai Co., Ltd.、
GE Toshiba Silicones Thailand Ltd.
同社は1953年にシリコーン事業を開始し、1971年からGEグループとの合弁会社でシリコーン事業を営んできたが、現在ではシリコーン事業は同社グループの他の事業との関連性が低い状況となっており、GEの提案に同意したとしている。
譲渡価格は約570億円、売却益(税前利益)は約380億円。
Bayerも同日、売却を発表した。GE Bayer Silicones は1998年に両社のシリコーン事業を統合して設立された。ドイツ、オランダ、英国とインドに工場を持っている。Bayerの売却額は475百万ユーロで、売却益は250百万ユーロとしている。
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シリコーン(Silicone)は、ケイ素(シリコン:Silicon)と酸素からなるシロキサン結合(≡Si-O-Si≡)を骨格とし、そのケイ素(Si)にメチル(-CH3)を主体とする有機基が結合したポリマーで、無機質のシロキサン結合と有機基との結び付きにより、炭素ー炭素結合を持つ有機化合物やポリマーと比較し数多くの優れた特性をもっている。
(耐熱・耐寒性 耐候性 電気絶縁性 化学的安定性 撥水性 消泡性 離型性)
形状はオイル、エマルジョン、レジン、ワニス、ゴムおよびパウダーなどと極めて多様で、用途も多岐にわたり、いろいろな分野で利用されている。
日本のシリコーン工業会 メンバーは以下の通り。
東レ・ダウコーニング・シリコーン | Dow Corning:65%、東レ:35% |
GE東芝シリコーン | General Electric:51%、東芝:49% |
旭化成ワッカーシリコーン | Wacker:50%、旭化成:50% |
信越化学工業 | |
チッソ |
* 他に、日本ユニカーがメンバーであったが、東レ・ダウコーニング・シリコーンに事業を売却した。
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2001年2月、信越化学はGE/東芝グループと50/50出資のシリコーンモノマーの製造会社をタイに設立した。
社名はAsia Silicones Monomer Limitedで、能力は年間約7万トン(シロキサンベース) 、アジア最大の単独シリコーン製造工場 である。
このJVについては今回の発表では触れられていない。
信越はまた、タイにシリコーン製品の生産・販売を行う全額出資子会社「シンエツ・シリコーンズ・タイランド」を設立。上記JVのシリコーンモノマー設備の完成に合わせて、製造開始した。
信越化学は2002年にシリコーン製品の製造販売に関する合弁会社を中国に設立している。
社名 浙江信越精細加工有限公司
出資 信越化学 90%、TOPCO International 10%
東レ・ダウコーニング・シリコーンは中国上海市にミラブル型シリコーンゴムの製造販売会社 Ling Dao Silicone (上海)を設立している。
本年8月、ダウコーニングとワッカーは中国・張家港市でのシリコーン事業のJV、Dow Corning (Zhangjiagang) Co, Ltd. の認可を得ている。
ポリマーのシロキサンを製造するもので、シリコーン樹脂の充填材などに使う乾式シリカの製造JVも設立する。ダウコーニングがシロキサン、ワッカーが乾式シリカを担当する。
参考資料:シリコーン工業会ホームページ
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