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2006年7月 7日 (金)

温室効果ガス排出権取引

6月26日の日本経済新聞は、中国の代替フロン生産に関して、排出権の扱いでEUと中国でもめていると報じた。

代替フロンのHFC22の生産の際に副産物としてHFC23という温室効果ガスが発生するが、現在はこれを回収・破壊すれば温室効果ガスの排出削減等につながるとして排出権が発生する。

HFC23は二酸化炭素に比べて1万倍以上の強力な温室効果がある。EUは「排出権獲得のために代替フロンを過剰生産することになりかねず、本末転倒」と主張し、排出権の対象外とすべしとしている。

2004年に締約国会議からCDM理事会へ示された指針の決定事項には、このようなCDM事業による他の環境条約の目的達成への影響に関して考慮すべきであるという文言が入った。

日本政府は、排出権を目的にした余剰のHFC22生産の場合は認めないが、需要に応じた生産なら新規でも認めてよいとの姿勢をとっている。(国連によると世界の3分の2にあたる約20工場が中国に集中している。2015年のHFC22の世界需要は最大で現在の約2倍とも国連は予測しており、工場増設は必ずしも排出権目当てとはいえない。)

なおHCFC22はモントリオール議定書で、先進国は2020年、途上国は2040年までに生産を中止することが決まっている。

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2005年2月16日に発効した「京都議定書」では、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス(GHG)による気候変動防止のため、先進国平均で2008年から2012年のGHG平均排出量を1990年レベルより約5%削減(日本は6%削減)することが定められている。

京都議定書には、国際的に協調して、この削減目標を達成するための柔軟性措置(京都メカニズム)として、
「排出量取引」(Emissions Trading)、「クリーン開発メカニズム」(CDM)、及び「共同実施」(JI)が盛り込まれた。

「クリーン開発メカニズム(CDM)」とは、先進国の資金・技術支援により開発途上国において温室効果ガスの排出削減等につながる事業を実施し、その事業により生じる削減量の全部又は一部に相当する量を先進国が排出枠として獲得し、その先進国の削減目標の達成に利用することができる制度。
「共同実施(JI)」とは、CDMと同様に排出削減等につながる事業を互いに削減目標(排出枠)を有する先進国間で実施するもので、その事業によりホスト国で生じる削減量の全部又は一部に相当する量の排出枠を投資国がホスト国から獲得し、投資国の排出枠に加えることができる制度。(以上 地球環境センターホームページから)

6月26日現在、我が国では51のCDMと3つのJIが政府承認を受けている。

これらの案件は、CDM理事会が指定する指定運営機関による事業審査報告書をCDM理事会に提出し、当該CDM事業の登録を申請する。
CDMプロジェクトの実施及びモニタリングの後、運営組織によるCER(認証排出削減量)の検証・認証を経て、CDM理事会がCERを発行し、プロジェクト実施者に分配することとなる。

* CDM/JIプロジェクト一覧(平成18年6月26日現在)
  http://www.meti.go.jp/press/20060626001/press.pdf (P.4-6)

このうち、HFC23破壊案件については、中国で2件のCDM、ロシアで1件のJIが承認を受けている。

承認月日 区分 申請者 実施国 プロジェクト名 プロジェクトの概要 排出削減量
予測(年間)
2005/11/11 CDM 温暖化ガス
削減㈱
中国 浙江巨化公司
HFC23分解
CDMプロジェクト
過熱蒸気分解装置を設置
することにより、HCFC22の
製造工程において複産物として
生じるHFC23を分解する
平均580 万㌧
CO2(年間)
2005/12/14 CDM 三菱商事
新日本製鐵
中国 山東東岳
HFC23破壊
プロジェクト
液中燃焼法による焼却炉を
設置することにより、
HCFC22 の製造工程において
副産物として生じるHFC23を
分解する。
平均1011万㌧
CO2(年間)
2006/3/13 JI 住友商事 ロシア連邦 ロシア連邦における
HFC23 の熱破壊による
温室効果ガス排出削減
HCFC22 製造プラントに、
熱破壊システムを導入し、
現在放散している
HFC23 を回収し破壊する。
平均39 万㌧
CO2

 

 

 

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