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2006年6月30日 (金)

バイオエタノールの状況

6月24日の日本経済新聞は「欧州石油大手 バイオ燃料投資本格化」としてBPやシェルの動きを伝えている。

原油価格高騰を受け、各国でバイオエタノール事業が進められている。

2005年の世界のエタノール生産量は122億ガロン、うち、米国が43億ガロン、ブラジルが42億ガロンとほぼ並んでいる。

現在は米国では原料はコーンが中心である。ブッシュ大統領は再生可能燃料協会でのスピーチで自動車燃料にエタノールを利用することは、①エネルギー安全保障、②農業振興、③雇用創出、④税収増加、⑤地球温暖化防止、⑥ガソリン添加剤のMTBEの代替の利点があるとしている。

米国の2005年エネルギー政策法では2012年までに75億ガロンのエタノール及びバイオディーゼルの使用を義務づけている。本年5月にはMTBEのOxygenateとしての添加義務はなくなり、オクタン価向上剤としてはエタノールがMTBEに代わり使用されることとなったこともエタノールにとって追い風となった。
米国の本年
1月現在のエタノール生産能力は95ヶ所 43億ガロンだが、建設中の工場は35ヶ所 20億ガロンに及ぶ。

主なメーカーは次ぎの通り。(2006/1現在 再生可能燃料協会 単位百万ガロン)

  操業中 建設・
増設中
合計
Archer Daniels Midland  1,070    1,070
VeraSun Energy   230     230
Aventine Renewable Energy   150    57   207
Hawkeye Renewables    50   150   200
ASAlliacnes Biofuels     200   200
Midwest Grain Processors    50   102   152
US BioEnergy     145   145
New Energy   102     102
Advanced Bioenergy     100   100
米国合計  4,336  1,981  6,317

現在のエタノール原料はコーンやサトウキビが中心で、食料・飼料や砂糖を燃料に変えることを意味する。精糖工業会によるとサトウキビがエタノール用に回った結果、砂糖の平均輸入価格がこの4月には2000年の倍以上となっている。

このため、セルロースを原料にする使うセルロース・エタノールの開発が進んでいる。
トウモロコシなら軸・葉・茎の部分、木くず、稲わら、麦わら、建築廃材、紙くず、雑草のセルロース(
植物繊維)の利用である。
セルロースはそのままでは発酵が難しいため利用されていなかったが、セルロース分解酵素を使って糖に変えて醗酵させる。

ブッシュ大統領は一般教書演説 (2006/1/31) で「先進的エネルギー・イニシアティブ」として2025年までに中東からの原油輸入の75%を代替燃料に置き換えるという国家目標を示したが、そのなかで、農林業廃棄物である木片や茎やスイッチグラスのセルロースを原料とするエタノール製造の研究予算として2007年度に1.5 億ドル計上し、2012 年迄に商用化するとしている。(スイッチグラスは土壌侵食対策に用いられる丈の高い多年生植物)

因みに「中東からの原油輸入の75%を代替燃料に置き換える」ということにサウジが「折角増産に努めているのに」と反発、米政府は弁解に追われている。

現在、世界最大規模の工場を持つのはカナダのアルコールメーカー、Iogenシェル 、ゴールドマンサックス、ペトロカナダ、カナダ政府が出資しており、シェルと技術面で提携している。カナダ政府の諸機関とも提携している。
同社は
セルロースを分解する高性能の酵素を使用し、麦わらを原料に1日50トンのエタノールを生産しており、シェルと組んでカナダで世界で最初の商業生産プラント建設を計画している。(6/24の日経記事で「イノゲン」とあるのは間違い)

同社は又、本年1月、シェルとフォルクスワーゲンと組んで、ドイツでセルロース・エタノールのFSを実施すると発表している。

シェルはIogenとの提携によるバイオエタノールを含め、これまでに代替エネルギー研究に10億ドル以上を投資している。
ドイツの
CHOREN Industries と提携し、同社のバイオマスのガス化技術とシェルのガス液化技術を組み合わせ木片等からディーゼル油をつくる研究をしている。風力発電では米国で事業を拡大しており、中国でも神華集団と提携している。太陽電池ではCIS太陽電池‘thin filmの開発を進めている。

BPは本年6月、新しいクリーンな燃料生産を目指して BP Energy Biosciences Instituteを設立し、今後10年間に5億ドルを投入すると発表した。http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7018719

また同社は同月、デュポンとパートナーシップをつくり、次世代のバイオ燃料を開発、製造、販売すると発表した。デュポンのバイオ技術とBPの燃料技術及び販売ノウハウを統合するもの。まず英国でバイオブタノールを販売する計画で、British Sugarと提携してエタノール醗酵設備をバイオブタノール用に改造する。BPとデュポンは燃料用に栽培する非食用穀物や成長の早い草を原料とすることを狙っている。

同社は昨年11月に代替エネルギー政策を発表している。太陽電池、風力、水素CCGT複合サイクルガスタービン)等への投資を今後10年間で80ドル行う。
http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7012352

日本でもバイオエタノールの開発を行っている。

三井造船と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は昨年6月に岡山県真庭市にバイオエタノール実証プラントを建設した。木質系バイオマスを主原料とするエタノール製造技術実証試験事業で、「酵素を利用したセルロースの糖化技術」、「C5糖、C6糖の同時発酵が可能な遺伝子組換え菌を利用する発酵技術」の実証研究を行っている。

日揮は農作物の茎や芯、廃木材などの木質系残渣等バイオマス資源の燃料化技術に着目し、米国アルケノール社Arkenol, Inc.)との独占提携により同社が所有するバイオエタノール製造特許技術の商業化実証研究を続けており、2002年には鹿児島県出水市のNEDO出水アルコール工場内に、NEDOの委託事業としてパイロットプラントを建設し、自社のプロセス技術・開発技術の工業化ノウハウを組み合わせて本技術の商業化への技術蓄積を行なってきた。
同社は本年6月、米国で廃木材を原料とする自動車燃料用バイオエタノール製造・販売事業を実施するため、アルケノールとの間で事業開発基本協定を締結したと発表した。

 

付記

2006/7/7 米エネルギー省はセルロース・エタノールによるガソリン代替へのロードマップを発表した。これは大統領のAdvanced Energy Initiativeに対してBodman長官が発表した「2030年までに2004年の輸送用燃料消費の30%をバイオ燃料に置き換える」という目標達成のためのものである。

タイトルは  Breaking the Biological Barriers to Cellulosic Ethanol: A Joint Research Agenda
http://www.doegenomestolife.org/biofuels/

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コメント

2008年4月17日、ドイツのザクセン州でChoren社が、木片から作る第二世代バイオ燃料の生産を開始したそうです。EUは、バイオ燃料用農作物、つまり第一世代用バイオ燃料原料栽培への補助金を打ち切る意向だそうですから、タイムリーでした。

投稿: 長嶋 | 2008年4月17日 (木) 16時47分

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