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2006年6月30日 (金)

バイオエタノールの状況

6月24日の日本経済新聞は「欧州石油大手 バイオ燃料投資本格化」としてBPやシェルの動きを伝えている。

原油価格高騰を受け、各国でバイオエタノール事業が進められている。

2005年の世界のエタノール生産量は122億ガロン、うち、米国が43億ガロン、ブラジルが42億ガロンとほぼ並んでいる。

現在は米国では原料はコーンが中心である。ブッシュ大統領は再生可能燃料協会でのスピーチで自動車燃料にエタノールを利用することは、①エネルギー安全保障、②農業振興、③雇用創出、④税収増加、⑤地球温暖化防止、⑥ガソリン添加剤のMTBEの代替の利点があるとしている。

米国の2005年エネルギー政策法では2012年までに75億ガロンのエタノール及びバイオディーゼルの使用を義務づけている。本年5月にはMTBEのOxygenateとしての添加義務はなくなり、オクタン価向上剤としてはエタノールがMTBEに代わり使用されることとなったこともエタノールにとって追い風となった。
米国の本年
1月現在のエタノール生産能力は95ヶ所 43億ガロンだが、建設中の工場は35ヶ所 20億ガロンに及ぶ。

主なメーカーは次ぎの通り。(2006/1現在 再生可能燃料協会 単位百万ガロン)

  操業中 建設・
増設中
合計
Archer Daniels Midland  1,070    1,070
VeraSun Energy   230     230
Aventine Renewable Energy   150    57   207
Hawkeye Renewables    50   150   200
ASAlliacnes Biofuels     200   200
Midwest Grain Processors    50   102   152
US BioEnergy     145   145
New Energy   102     102
Advanced Bioenergy     100   100
米国合計  4,336  1,981  6,317

現在のエタノール原料はコーンやサトウキビが中心で、食料・飼料や砂糖を燃料に変えることを意味する。精糖工業会によるとサトウキビがエタノール用に回った結果、砂糖の平均輸入価格がこの4月には2000年の倍以上となっている。

このため、セルロースを原料にする使うセルロース・エタノールの開発が進んでいる。
トウモロコシなら軸・葉・茎の部分、木くず、稲わら、麦わら、建築廃材、紙くず、雑草のセルロース(
植物繊維)の利用である。
セルロースはそのままでは発酵が難しいため利用されていなかったが、セルロース分解酵素を使って糖に変えて醗酵させる。

ブッシュ大統領は一般教書演説 (2006/1/31) で「先進的エネルギー・イニシアティブ」として2025年までに中東からの原油輸入の75%を代替燃料に置き換えるという国家目標を示したが、そのなかで、農林業廃棄物である木片や茎やスイッチグラスのセルロースを原料とするエタノール製造の研究予算として2007年度に1.5 億ドル計上し、2012 年迄に商用化するとしている。(スイッチグラスは土壌侵食対策に用いられる丈の高い多年生植物)

因みに「中東からの原油輸入の75%を代替燃料に置き換える」ということにサウジが「折角増産に努めているのに」と反発、米政府は弁解に追われている。

現在、世界最大規模の工場を持つのはカナダのアルコールメーカー、Iogenシェル 、ゴールドマンサックス、ペトロカナダ、カナダ政府が出資しており、シェルと技術面で提携している。カナダ政府の諸機関とも提携している。
同社は
セルロースを分解する高性能の酵素を使用し、麦わらを原料に1日50トンのエタノールを生産しており、シェルと組んでカナダで世界で最初の商業生産プラント建設を計画している。(6/24の日経記事で「イノゲン」とあるのは間違い)

同社は又、本年1月、シェルとフォルクスワーゲンと組んで、ドイツでセルロース・エタノールのFSを実施すると発表している。

シェルはIogenとの提携によるバイオエタノールを含め、これまでに代替エネルギー研究に10億ドル以上を投資している。
ドイツの
CHOREN Industries と提携し、同社のバイオマスのガス化技術とシェルのガス液化技術を組み合わせ木片等からディーゼル油をつくる研究をしている。風力発電では米国で事業を拡大しており、中国でも神華集団と提携している。太陽電池ではCIS太陽電池‘thin filmの開発を進めている。

BPは本年6月、新しいクリーンな燃料生産を目指して BP Energy Biosciences Instituteを設立し、今後10年間に5億ドルを投入すると発表した。http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7018719

また同社は同月、デュポンとパートナーシップをつくり、次世代のバイオ燃料を開発、製造、販売すると発表した。デュポンのバイオ技術とBPの燃料技術及び販売ノウハウを統合するもの。まず英国でバイオブタノールを販売する計画で、British Sugarと提携してエタノール醗酵設備をバイオブタノール用に改造する。BPとデュポンは燃料用に栽培する非食用穀物や成長の早い草を原料とすることを狙っている。

同社は昨年11月に代替エネルギー政策を発表している。太陽電池、風力、水素CCGT複合サイクルガスタービン)等への投資を今後10年間で80ドル行う。
http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7012352

日本でもバイオエタノールの開発を行っている。

三井造船と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は昨年6月に岡山県真庭市にバイオエタノール実証プラントを建設した。木質系バイオマスを主原料とするエタノール製造技術実証試験事業で、「酵素を利用したセルロースの糖化技術」、「C5糖、C6糖の同時発酵が可能な遺伝子組換え菌を利用する発酵技術」の実証研究を行っている。

日揮は農作物の茎や芯、廃木材などの木質系残渣等バイオマス資源の燃料化技術に着目し、米国アルケノール社Arkenol, Inc.)との独占提携により同社が所有するバイオエタノール製造特許技術の商業化実証研究を続けており、2002年には鹿児島県出水市のNEDO出水アルコール工場内に、NEDOの委託事業としてパイロットプラントを建設し、自社のプロセス技術・開発技術の工業化ノウハウを組み合わせて本技術の商業化への技術蓄積を行なってきた。
同社は本年6月、米国で廃木材を原料とする自動車燃料用バイオエタノール製造・販売事業を実施するため、アルケノールとの間で事業開発基本協定を締結したと発表した。

 

付記

2006/7/7 米エネルギー省はセルロース・エタノールによるガソリン代替へのロードマップを発表した。これは大統領のAdvanced Energy Initiativeに対してBodman長官が発表した「2030年までに2004年の輸送用燃料消費の30%をバイオ燃料に置き換える」という目標達成のためのものである。

タイトルは  Breaking the Biological Barriers to Cellulosic Ethanol: A Joint Research Agenda
http://www.doegenomestolife.org/biofuels/

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2006年6月29日 (木)

武田薬品、移転価格税制に基づく更正

武田薬品は28日、米国アボットとの50:50の合弁会社のTAPファーマシューティカル・プロダクツ(TAP)との間の2000年3月期から2005年3月期の6年間の製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が武田に過少に配分されているとして、移転価格税制に基づき、大阪国税局より所得金額で6年間で1,223億円の所得の更正を受け、約570億円の追徴税額を課せられたと発表した。

移転価格税制は1986年に基本的法規が制定されたもので、通常は異なる国の親子会社間での取引に対して適用されるもの。
親子会社間では価格が自由に決められることから、税率の高い国の所得を減らして税金を回避するのを防止するため、そのような取引価格については税務当局が査定して「独立企業間価格」に置き換え、所得を修正する。

TAPは1985年に武田とアメリカのアボットとの50/50合弁で設立され、2005年の売上高は32億ドル、全米第14位の医薬品企業。

武田は、
TAPとの取引価格はアボットの合意なしには決められず、独立企業間価格であり、移転価格税制が適用されるべきものではない、
価格を安くすればTAPの利益が増えて半分がアボットにいくため、武田にとってTAPに所得を移転する意図や動機はないとして、徹底抗戦の構え。
追徴税額は返還されるものとみなし、業績は修正せず、追徴分は貸借対照表には固定資産の「長期仮払税金」として計上する。

国税局側の主張は不明だが、通常は50/50JVとの取引価格は独立企業間価格とみられ、移転価格税制は適用されず、武田側の主張は当然である。

 

移転価格税制では独立企業間価格はまず、「伝統的な取引基準法」で検討され、それが適用できない場合には「その他の方法」で検討する。日本から米国子会社への取引価格の例では方法と問題点は以下の通りとなる。

① 伝統的な取引基準法

 ・独立価格比準法(CUP法)
   同種製品の独立企業間(日本→米国)の取引価格を検討
   (比較可能性の高い取引の選定が困難)

 ・再販売価格基準法(RP法)
   米国の比較可能な同業の財務データに基づいて販売会社がどの程度の売上利益率を計上しているかを検討
   (取扱製品の類似性が厳格に要求され、比較可能な同業の財務データの取得は困難) 

 ・原価基準法(CP法)
    日本の比較可能な同業の財務データに基づいて製造原価に対してどの程度利益の上乗せをしているかを検討
    (比較可能な同業の
売上総利益データの取得は困難)

② その他の方法
 ・利益分割法(PS法)
    連結ベースでの営業利益がどのような割合で日本本社ならびに米国販売子会社で分けられるかを検討

 ・取引単位営業利益法(TNMM法 平成16年度税制改正により導入)
    再販売価格基準法が売上総利益を見るため製品の類似性が要求されるが、こちらは
営業利益率を検討
    (類似した子会社機能で類似した業界であれば、同種製品でなくとも営業利益率はほぼ一定という経済仮説)

武田によると、国税局はTAPへの抗潰瘍薬の販売で武田の利益配分が不当に低いとしているとのことで、利益分割法(PS法) での判断ではないかと思われる。

参考 KPMG資料 http://www.kpmg.or.jp/resources/newsletter/tax/200511_1/01.html

 

移転価格税制による更正の実績は以下の通り。

具体例 (単位:百万円)

年月 会社名 更正所得額 更正税額 対象取引 管轄国税局

2006年6月

武田薬品工業

122,300

57,000

医薬品

大阪国税局

2005年6月

TDK

21,300

12,000

電子部品等

東京国税局

2005年6月

ソニー

21,400

4,500

ロイヤリティ

東京国税局

2005年5月

日本金銭機械

3,400

1,600

紙幣識別機

大阪国税局

2005年3月

京セラ

24,300

13,000

電子部品等

大阪国税局

20046

本田技研

25,400

13,000

ロイヤリティ等

東京国税局

20038

太陽誘電

N/A

1,700

ロイヤリティ

東京国税局

200211

ローランド

1,000

330

電子ピアノ

大阪国税局

20004

コカコーラジャパン

45,000

17,000

ロイヤリティ

東京国税局

199910

ファイザー製薬

4,500

2,700

金利

東京国税局

19992

チバガイギー

8,000

3,300

医薬品

大阪国税局

199811

ネスレ日本

1,500

700

ロイヤリティ

大阪国税局

19987

曙ブレーキ

500

300

N/A

東京国税局

19987

バクスター

15,000

6,000

医療機器

東京国税局

19987

山之内製薬

54,100

24,200

ロイヤリティ

東京国税局

19987

村田製作所

13,700

5,500

電気機器

大阪国税局

19979

ジャーデンワインズ

16,000

7,000

ワイン

東京国税局

19956

日本ロシュ

14,000

6,000

化学薬品

東京国税局

199512

シマノ

2,000

800

ロイヤリティ

大阪国税局

199411

P&G

2,000

800

家庭用品

大阪国税局

199410

ヘキストジャパン

7,000

3,000

医薬品

東京国税局

19949

日本グッドイヤー

1,400

600

タイヤ

東京国税局

19944

AIU保険

N/A

2,000

再保険料

東京国税局

19944

チバガイギー

12,000

5,700

医薬品

大阪国税局

19943

コカコーラジャパン

38,000

15,000

ロイヤリティ

東京国税局

19933

日本ロシュ

9,500

3,800

化学薬品

東京国税局

移転価格税制による更正所得金額

Transferprice

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2006年6月28日 (水)

薬害C型肝炎訴訟判決

大阪地裁は6月21日、薬害C型肝炎訴訟で国と製薬会社に賠償責任を認める判決を下した。

血液製剤「フィブリノゲン」などを投与されてC型肝炎ウイルスに感染したとして、近畿、中国、四国地方の患者13人が国と製造元の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)、子会社のベネシスを相手に総額7億5900万円の損害賠償を求めた集団訴訟。

判決では投与時期により、ミドリ十字がウイルスの不活化処理方法を変えた1985年8月以降に投与を受けた4人には企業のみに、集団感染が発覚した1987年4月以降に投与を受けた5人には企業と国の連帯での支払いを命じた。賠償総額は約2億5600万円。残り4人は請求を棄却した。

これに対して国は「医薬品は、副作用と有効性のバランスを見て承認するかどうかを判断している。フィブリノゲンに大きな有効性があったのは明らか。このままこの判決を受け入れると、薬事行政が立ち行かなくなってしまう」として控訴する方向。

三菱ウェルファーマでは「当社の主張が認められていない点もあり、今後の対応について慎重に検討したい。今後も医薬品の安全性の確保に最善の努力を尽くしていく」としている。

 同社は旧ミドリ十字製の血液製剤「フィブリノゲン」の投与で約1万人がC型肝炎を発症したと推計しており、今回の判決が新たな訴訟を促す公算は大きい。同社は賠償金の支払いに備えた会計上の引き当てをしていない。 

 

ミドリ十字は血友病患者への人血液・血漿の非加熱製剤でHIVに感染した薬害エイズ事件でも他の製薬会社と国とともに損害賠償を求める民事訴訟を起こされ、96年3月に和解している。(製造販売ではミドリ十字と化学及血清療法研究所、輸入販売ではバクスタージャパン、日本臓器製薬、バイエル薬品の5社)

なお、ミドリ十字の代表取締役3人は業務上過失致死罪で起訴され実刑判決を受けた。

 

ミドリ十字は1950年に日本ブラッド・バンクとして設立され、1964年にミドリ十字と改称している。

同社はエイズ事件で不買運動にさらされ、和解金も多額に及んだため、自主再建を諦め、1988年4月に吉冨製薬と合併した。
この合併は吉冨製薬が武田薬品の関連会社であるため、
薬害エイズの問題を製薬業界全体でフォローする」ととらえたメディアもあった。Wellpharma_2
合併会社の社名は当初は吉冨製薬であったが、20004月にウェルファイドに改称した。

一方、1999年10月に三菱化学が東京田辺製薬を吸収合併し、医薬品部門を分離して三菱東京製薬を設立したが、2001年10月に三菱東京製薬とウェルファイドが合併し、三菱ウェルファーマとなった。

両社は、激化する国際競争を勝ち抜くためには適正事業規模の達成と、一層の経営基盤の充実が必要との共通の認識のもとに交渉してきたとしている。

2002年10月に同社は血しょう分画製剤事業の製造部門を分社してベネシスを設立、1年後に完全分社化した。

なお同社は2003年に米国子会社アルファ・テラピゥティクの血漿採漿部門をバクスターに血漿分画事業をプロビタス・ファーマに譲渡し、米国における血漿分画事業から撤退した。

 

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2006年6月27日 (火)

石油業界の状況

昨日の記事に関連して、日本の石油業界の状況をまとめた。

各社の現在の常圧蒸留能力は以下の通り。(単位:千B/D)

グループ 会社名 製油所 能力 備考
出光興産 出光興産 北海道  140  
千葉  220  
愛知  160  
兵庫    0 2003/4停止(80)
徳山  120  
沖縄石油精製 沖縄    0 2004年停止(110)
合計  640  
新日本石油  新日本石油精製 室蘭  180  
仙台  145 (旧 三菱石油)
根岸  340  
水島  250 (旧 三菱石油)
大阪  115 (旧 興亜石油)
麻里布  127 (旧 興亜石油)
日本海石油 富山   60 66%
和歌山石油精製 海南   0 2001/4停止(50)
合計 1,217  
コスモ石油  コスモ石油  千葉  240 (旧 丸善石油)
四日市  155 (旧 大協石油)
  80 (旧 丸善石油)
坂出  120 (旧 アジア石油)
合計  595  
ジャパン
エナジー
 
ジャパンエナジー 知多    0 2001/6停止(100)
水島  205  
鹿島石油 鹿島  200 70.675%(三菱化学19.875%ほか)
合計  405  
昭和シェル石油 昭和四日市石油 四日市  210 75%
東亜石油 京浜  185 50.1%
水江 65 + 扇町120
西部石油 山口  120 38%(宇部興産11%ほか)
合計  515  
エクソンモービル 東燃ゼネラル石油 川崎  335  
 156  
和歌山  170  
極東石油工業 千葉  175 50%(三井石油50%)
南西石油 西原  100 87.5%(住商12.5%)
合計  936  
その他 富士石油 袖ヶ浦  192
九州石油 大分  155 新日石10%/新日鐵36%/昭電・丸紅ほか
東邦石油 尾鷲   35 出光興産33.3%(中部電力、三菱商事)
太陽石油 四国  102  
帝石トッピングプラント 頚城   4 帝国石油100%
合計 4,496  

*富士石油はアラビア石油と統合、AOCホールディングスを設立
   富士石油に25%出資していたジャパンエナジーは持株を売却

Oilshare

提携関係

新日石/出光:
 出光が2003年に兵庫製油所、2004年に沖縄石油精製の製油所を停止するのに伴い、新日石がそれまでの物流部門提携に加え、精製委託方式で4万B/D相当の製品供給を行う。

新日石/コスモ:
 販売を除く提携(仕入れ、精製、物流、潤滑油の4部門)
  仕入れでは原油調達や製品輸入の共同化、タンカーの共同配船、備蓄基地の相互利用
  石油精製では受委託精製や製油所の統廃合の検討など
  物流面では油槽所の共同利用や統廃合などを検討

ジャパンエナジー/昭和シェル石油:
 最適化操業のための相互融通取引の拡大、両社グループ製油所設備の精製能力の適正化等

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2006年6月26日 (月)

新日本石油/ジャパンエナジー、業務提携に関する基本協定締結

新日本石油とジャパンエナジーは、20日、広範囲な分野において業務提携を行うことに関し合意したと発表した。

提携分野は次ぎの5分野。
(1)上流分野:探鉱・開発ないし資産買収案件

(2)精製分野
(3)物流分野
(4)燃料電池分野
(5)技術開発分野:燃料油品質関連の特許についてクロスライセンス

両社の製油所の原油処理能力は以下の通り(千B/D)

新日本石油
 室蘭    180  
 仙台    145 (旧 三菱石油)
 根岸    340  
 大阪    115  
 水島    250 (旧 三菱石油)
 麻里布    127  
 富山     60 (日本海石油)
 合計   1,217  
Jエナジー
 水島     205  
 鹿島    200 (鹿島石油)
 合計    405  

新日本石油:
 1999年4月に日本石油と三菱石油が合併して日石三菱となり、
 2002年6月に新日本石油に商号変更した。

ジャパンエナジー:
 日本鉱業が1965年に共同石油設立に参画、日本鉱業、アジア石油、東亜石油の販売部門を集約。
 その後、アジア石油が大協石油(のちコスモ)グループに、東亜石油が昭和シェルグループに。
 1992年に日本鉱業、共同石油が合併して日鉱共石となり、翌年ジャパンエナジーと改称。
 
 鹿島石油設立に参加、2004年にコスモ石油持株を譲受
   現持株比率:ジャパンエナジー 70.575
% 、三菱化学19.875%、東京電力7.95%、日本郵船1.5%
 1986年に富士石油に資本参加するが、富士石油とアラビア石油合併を機に2005年に株式売却
 

提携5分野のうち、特に(2)精製分野が注目される。発表では以下の通り述べている。

「これまで、RING(石油コンビナート高度統合運営技術研究組合)を契機として、水島地区で石油コンビナート高度統合を図ってまいりましたが、一段と高度な統合効果を実現するため、今般、隣接する両社製油所の一体的操業に関する具体的検討を行うこととしました。 Mizushimamap_1
なお、水島地区に限らず、両社精製分野における効率化・合理化のため、原油タンクの相互利用・原油船配船の共同化、製造・出荷(輸出を含む)設備等の集約・相互利用、新規製造設備の共同建設、生産技術情報の交換なども具体的に検討し、適宜実施していきます。」
 

 

新日本石油の製油所は元は三菱石油の製油所。原油処理能力は250,000バレル/日。
ジャパンエナジーの製油所は原油処理能力200,200バレル/日。
一体操業が実現すると日量45万バレル規模のアジア最大の製油所が誕生することになる。

会見した新日石の西尾進路社長は、水島製油所の一体操業について「シナジーの実現には時間を要するが、両社トータルで300億円規模のメリットが期待できるスタディも出てきている」と述べた。

新日石の製油所が石油化学製品の製造装置を多く持つのに対し、Jエナジー側は原油の重質分を分解し化学製品の原料を多く生産できるため、「両社の製油所の特徴を補完し合うことで、相乗効果が期待できる」Jエナジーの高萩光紀社長)

両社は共同で今後10年間のうちに、水島製油所の生産設備に700億-800億円を投資する計画も示した。

なお、資本面での提携については「今のところ考えていない」Jエナジー高萩社長と否定している。

実際の運営はどうするのであろうか。高萩社長は、
「統合ではない。あくまで操業の一体化で経営の主権の話とは別だ。製油所を統合するとなると、互いの資産評価や労働条件の擦り合わせなど余分な作業が必要になる。」
「当社と新日石の両水島製油所は巨大な海底パイプラインでつながっている。二つをあたかも一つであるかのように操業すれば大幅な効率化が図れる。今後両社は協力して割安な重質油の使用を増やし付加価値の高い石油化学製品をより多く作る。需要拡大期のような薄利多売の発想を捨て、量から質に切り替える」としている。(6/25日経)

最適の生産計画に基づき、それぞれが工場を操業し、出来た製品を交換することを考えているのではないかと思われるが、投資等を考えると、それぞれが水島製油所を切り離して統合し、製造JVにするしかないのではなかろうか。

問題がおこるとすれば、新日本石油にとっては水島は7つある製油所の1つに過ぎないが、ジャパンエナジーにとっては他には製油所は鹿島石油しかなく(2001年に知多製油所100千B/Dを停止)、水島での最適が同社にとっては最適でないことが起こった場合であろう。

  

水島には三菱化学と旭化成(山陽石油化学)の2つの石化コンビナートが隣接している。山陽石油化学は当初、旭化成 60%/ジャパンエナジー40%で設立されたが、2001年4月に効率化のため旭化成 100% となった。新日本石油の水島製油所は元は三菱石油で、三菱化学のパートナーである。

旭化成の蛭田社長はこの発表を受け、「日本の化学業界にとって非常に意味がある」と評価、「今後は石油精製との協力を積極的に進める必要がある」としている。(6/23日経)

なお、RING 3では新日本石油精製、ジャパンエナジー、三菱化学、旭化成ケミカルズ、山陽石油化学の5社が参加し、「コンビナート原料多様化最適供給技術開発」を実施する。原料多様化のためコンデンセートを精製処理し、エチレンやガソリン、芳香族生産のための原料として安定的に製造・供給する技術を開発するもの。

RING 1(2000-2002年)では「先端的総合管理システムの技術開発」(自律分散型システム工場間生産計画・スケジュール最適化)を行ったが、
RING 2(2003-2005年)では新日本石油精製、ヴイテック、三菱化学が「副生炭酸ガス冷熱分離回収統合利用技術開発」、
ジャパンエナジー、旭化成、山陽石油化学が「熱分解軽質留分統合精製処理技術開発」と、三菱化学/新日本石油、旭化成/Jエナジーが分かれて実施していた。

 

ところで本件を公取委はどう扱うであろうか。

5分野での提携全体から、競争を制限するとみた場合には、これは問題とされよう。
仮に販売会社別の常圧蒸留能力で比較すると、下記の通りHHIは基準の1800を超え、増加HHIも大きい。
(HHIについては6/19 「公取委、合併審査見直し」 参照)

  千B/D HHI 統合% 統合HHI
新日石  1,217 25.38  644  33.82  1,144
Jエナジー   405  8.44   71
エクソンモービル   936 19.52  381  19.52   381
出光   640 13.34  178  13.34   178
コスモ   595 12.41  154  12.41   154
昭和シェル   515 10.74  115  10.74   115
AOC   192  4.00   16   4.00    16
九州石油   155  3.23   10   3.23    10
太陽石油   102  2.13    5   2.13     5
東邦石油    35  0.73    1   0.73     1
帝石    4  0.08    0   0.08     0
合計  4,796  100 1,575   100  2,003
                     増加HHI     429

しかしながら、もし一体運営が製造だけで、営業は従来通り別々に行われる場合には、三井化学と住友化学によるLLDPE製造JV(日本エボリュー)の例が参考になる。公取委は以下の通り述べている。

本件はLDPEメーカーである両当事会社が新工場を建設するに当たり提携するものであって、両社の既存のLDPEの製造販売事業は従来どおり行われるという部分的な結合である。したがって、競争単位の数は減少しない。
新会社で製造されるLLDPEの販売については、当事会社それぞれ独自に行うこととしており、既存のLDPEの販売を含めて、販売面で両社の協調関係が醸成されるおそれは小さいとみられる。
LDPEおよびLLDPEのそれぞれの分野には生産能力シェアで20%を超える競争事業者が存在するほか、10%を超える競争事業者も複数存在している。
上記の点を総合的に勘案すると、(本件は)直ちに一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなるとはいえないと判断した。

なお、新日石は出光およびコスモ石油と、ジャパンエナジーは昭和シェル石油と、それぞれ提携関係にあるが、これは今後も継続する。

新日石/出光:
 出光が2003年に兵庫製油所、2004年に沖縄石油精製の製油所を停止するのに伴い、新日石がそれまでの物流部門提携に加え、精製委託方式で4万B/D相当の製品供給を行う。

新日石/コスモ:
 販売を除く提携(仕入れ、精製、物流、潤滑油の4部門)
  仕入れでは原油調達や製品輸入の共同化、タンカーの共同配船、備蓄基地の相互利用
  石油精製では受委託精製や製油所の統廃合の検討など
  物流面では油槽所の共同利用や統廃合などを検討

ジャパンエナジー/昭和シェル石油:
 最適化操業のための相互融通取引の拡大、両社グループ製油所設備の精製能力の適正化等

 両社は2001年3月、50/50の合弁会社JS・イニシャティブを設立している。
 事業内容は、相互融通取引に対するガイドラインの作成・提案と、
 両社資材・役務の共同購買、及び、両社提携の促進を目的とした将来的検討の実施。

                     

 

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2006年6月24日 (土)

ルイジアナ州で石炭ガス化事業

ルイジアナ州知事は15日、Synfuel 社による石炭ガス化事業を発表した。

50億ドル以上をかけてバトンルージュの南のGeismarに工場を建設、完成すれば同州の褐炭を年間20百万トン使用し、ガソリン、LPG、合成ガス、メタノール、エタノール、硫酸及び建設資材になるアグロメレートを生産する。併せてコジェネで蒸気と電気をつくる。

今後環境面での認可等を経て、完成までに4年程度かかる見込み。

Synfuel 社は中国系のアメリカ人でプラズマ物理学 "Paul" Hsin Liu が設立した会社で、UBSCitigroupJPMorganその他が出資している。

石炭ガス化は GE Energy 技術、メタノールと硫酸はHaldor Topsoe 技術、メタノール→ガソリンは ExxonMobil 技術を使用、North American Coal Company が褐炭の調査、採掘計画を担当する。

製品及び電力の供給については既に近辺に工場をもつBASFChemturaRubicon等と交渉を始めている。

ルイジアナ州では地元の石炭を利用できること、原油価格の高騰で苦しむ石化事業の原料価格の安定化に資すこと、直接雇用1200人、間接雇用を含むと3300人の雇用につながることから、税制面その他で応援するとしている。

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2006年6月23日 (金)

中国の石炭化学

中国石炭工業協会の範維唐会長は200511中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。

中国は「第11次五カ年計画」期に炭鉱の機械化生産を全面的に推し進めることになっている。
2010年には、大・中型炭鉱の機械化レベルを85%以上に引き上げ、技術改造を通じて、300以上の高生産量、高効率の炭鉱を作り上げる。豊富な石炭を原料に石炭化学を推進する。

現在実施又は計画段階の石炭化学プロジェクトの例は以下の通り。

神華集団(Shenhua Group
  神華集団は1995年に設立された国有企業で、世界8大炭田の一つとされている神府東勝鉱区(内蒙古自治区と陝西省にまたがる)の開発・運営を担当しており、関連事業として鉄道、発電、貯炭設備、輸送設備を運営している。
神華集団は既報
の通り、内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界で初めて石炭を直接液化プラントの建設を始めている。
   
2004年12月、ダウとcoal-to-olefins project のFS実施で合意した。
陜西
楡林市が立地候補。 
   
2005年8月、政府から内蒙古自治区の包頭でのCoal-to-Olefins (CTO)計画の一次認可を受けた。
石炭からメタノールを生産し、メタノールからオレフィンを生産するもの。
 火力発電  100MW
 石炭→メタノール 180万トン
 メタノール→オレフィン 60万トン
 オレフィン→PE 30万トン、PP 31万トンほか
   
山東エン礦集団(Yankuang Group
2004年、中国・エン礦集団、ブラジル・リオドセ、伊藤忠は、山東省済寧市に製鉄用コークス及びメタノールのJV 山東エン礦国際焦化有限責任公司を設立した。伊藤忠商事5%、エン礦集団70%、リオドセ社25%の出資。

ドイツKaiserstuhlコークスプラントの設備を中国山東省に移設、年間200万トンの製鉄用コークスを生産し、コークス炉ガスを回収し年間20万トンのメタノールを生産するプラントを併設する。リオドセはブラジル市場の独占販売権、伊藤忠は、コークスの対日独占販売権及びブラジル以外の国外マーケットの優先販売権を持つ。

   
2005年11月、エン礦集団が出資する山西Tianhao 化学が山西省孝義市で30万トンメタノールプラントの建設起工式を行った。コークス炉ガスを原料に300千トンのメタノールを生産する。
   
2005年11月、エン礦集団と米国の中国系投資会社・Cathay Capital Group (国泰財富集団) との合弁会社、Yankuang Cathay Coal Chemicals (エン礦國泰石炭化学)は石炭を原料とするメタノール・酢酸工場をスタートさせた。
2004年にエン礦 70%、Cathay 30%で設立されたJVで、山東省藤州市で60万トンの高硫黄炭をガス化し、これを原料に24万トンのメタノールと20万トンの酢酸を生産するとともに、 8万KWの発電を行う。
   
山東省 久泰化工(Jiutai Chemical
2005年4月、内蒙古オルドス(Erdos:鄂尓多斯)で石炭ガス法(シェブロン・テキサコ法)によりメタノール(150万トン)、DME(100万トン)を生産するJV計画がスタート。
 JV名:久泰能源(内蒙古)社(Jiutai Energy)
 出資比率:久泰化工69%/米国
Rockefeller & Co.31%
   
JFEケミカル
コークス生産時の副産物となるタールを蒸留分解し、染料やタイヤの原料、電極材料を中国企業と合弁で生産する。
山東省灘坊市でJFEケミカルが、コークス生産を手掛ける山東海化集団と合弁会社を設立、タールの処理能力は年30万トンで、染料や防虫剤となるナフタリンのほか、タイヤの原料となるカーボンブラック、電炉などの電極の材料にする。
投資額は50億円程度とみられ、2006年後半に生産を始める計画。
   
Huating Coal and Power Co.
  甘粛省政府の承認を受けてGansu Huating Coal Mine and Huating Coal Group を含む10社により設立
   
20058甘粛省華亭県での石炭原料のメタノール計画の承認を受けた。
第1期:メタノール 600千トン
第2期:メタノール 1,200千トン+PP 300千トン
第3期:石炭間接液化法による2百万トンの合成石油と発電
   
インドGAIL
2005年9月、陝西省陝西華山化工(Shaanxi Huashan Chemical Industry)と 石炭→メタノール→石油化学計画の覚書を締結。
Shellの石炭ガス化技術を使用する計画。

GAILはインドでShellの石炭ガス化技術Shell Coal Gasification Process (SCGP)で‘syngasを生産する計画を持つ。

   
雲南省Yunan Jiehua Group Chem Co., Ltd
雲南省で110万トンの褐炭を原料に150千トンのDMEを生産する計画で、2007年末完成予定。
   
寧夏回族自治区 Ningxia Coal Industry Group Co., Ltd.
  寧夏回族自治区銀川市で2つの石炭化学計画
   
石炭原料のDME計画
  186万トンの石炭から830千トンのDME生産
 
ドイツの Future Energy CompanyGSP dry coal powder and gasification technologyを使用 
   
石炭原料のオレフィン計画
  石炭ガス化、メタノール、メタノール→プロピレン、PPのコンプレックスで、PP 540千トンを製造。2009年完成予定で建設費は15億米ドル。2006年1月に米国のAMECと建設契約締結。
   
東洋エンジニアリング(技術)
2006年1月、石炭原料で世界最大の年産21万トンの燃料用DME 製造設備のライセンス供与と基本設計並びに触媒提供の業務を受注。
客先は寧夏煤業集団有限公司
で、寧夏回族自治区銀川市で石炭をガス化して製造するメタノールを原料にDMEを製造する。2007年末完成の予定。
   
  なおTECは四川省の瀘天化集団公司グループに対し、2003年8月に天然ガス原料で年産1万トンDMEプラントを完成し、2004年には年産11万トンDME製造設備を受注している。
   
内蒙古・新奥集団XinAo Group
2006年、Ordos(鄂尓多斯)でメタノール計画

 第1期 2007年末までにメタノール(600千トン)とDMT(400千トン)
 第2期 2010年までにメタノール 1,800千トン

   
山西省蘭花煤炭實業集團有限公司
2006年に石炭原料のメタノール、DME計画発表
  最終 メタノール150万トン、DME 100万トン
 第1期 メタノール 200千トン、DME 100千トンで2007年末完成予定
   
陝西渭河石炭化学集団Shaanxi Weihe Coal Chemical Group Co.
メタノール 200千トン (2005年スタート)
 原料はテキサコ技術の石炭ガス化設備から供給

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2006年6月22日 (木)

南ア・サソールの石炭液化技術

Sasol は1950年に南アフリカ政府により South African Coal Oil and Gas Corporationとして設立された。南アには石油がなく、アパルトハイト政策により欧米各国から石油の禁輸制裁を受けていたため、豊富にある低品質石炭から石油をつくるのが目的であった。

同社の技術は間接法石炭液化技術で、石炭(又は天然ガス)をSyngasに転換した上で、Fischer-Tropsch反応で燃料や化学原料に変換するものである。

同社の技術は添付の通り。触媒により製品がかわる。(同社の発表より)
Sasolft

同社は本国で石炭及び天然ガスを原料に商業生産(石炭では世界唯一)をしているほか、世界各地で天然ガス又は石炭を原料に建設又は検討を行っている。Sasol11

カタールでは本年6月にカタール国営石油とサソールの51/49JVのオリックス・GTLが液体燃料GTLの生産を開始した。カタール北部の天然ガス施設集積地区ラスラファンにプラントを建設、生産能力は日量34千バレルで、数年以内に同10万バレルを追加する。これにはサソールとシェブロンのJVのサソール・シェブロンが参加する。
(カタールではほかに、シェル、エクソンモービルがGTLを計画している)

現在の同社の事業は多岐にわたっている。

Oil & gas
Sasol Mining    南アの炭鉱での採掘
Sasol Synfuels   南アSecunda工場で石炭及び天然ガス原料のSyngasを石油製品、化学品原料に転換
Sasols liquid fuels business   燃料、潤滑油の製造販売
       
Chemical
Sasol Olefins & Surfactants   界面活性剤、中間体、原料の事業
2001年にドイツの
RWE-DEAからCONDEA Vistaを買収した。
◎ Sasolは昨年、本事業の売却を検討していると発表した。
Sasol Nitro   アンモニア、硫酸をはじめ、火薬、肥料等
Sasol Wax   Wax
Sasol Polymers   Sasolburg 及び Secunda工場で、
エチレン、プロピレン、
LDPELLDPEPPPVC、クロルアルカリ等を生産
Sasol Solvents   Blends & Hydrocarbons, C3/C4 Alcohols, Esters & Acids, Ethanol, Fine Chemicals,
Glycol Ethers, Ketones,
 Methanol, Mining Chemicals,
Acrylic Acid & Acrylates (
三菱化学とのJV)
Maleic Anhydride (Huntsman
とのJV)
Merisol   MerichemとのJV
 Cresols, Xylenols, Alkylphenols, other phenolics.
1997年に住友化学は同社と50/50JV 住化メリゾールを設立(大分工場でメタパラクレゾール製造)。
また2001年に南アでオルソクレゾールノボラックを製造する住化80%出資の合弁会社、住化メリゾール RSA(Pty)Ltd を設立した。(後者はその後、台湾企業に持分売却)

Acrylic Acid & Acrylates (三菱化学とのJV) については 2006/4/24 「アクリル酸業界参照

2001年10月の発表で三菱化学は次のように述べている。
「このたびアクリル酸及びアクリル酸エステル事業において、Sasol社の供給する最先端の独自の石炭液化技術により得られる石炭ベースのプロピレン及びエタノール並びに当社技術により生産されるノルマルブタノールの競争力ある安価な原料と、当社の世界的競争力をもつアクリル酸及びアクリル酸エステルの製造技術を組み合わせ、世界的な提携関係を構築することで合意いたしました。」

 

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2006年6月21日 (水)

石炭液化事業

6月10日の日本経済新聞は以下の通り伝えている。

「経済産業省はアジアで、石炭からガソリンや軽油を精製する石炭液化事業の普及に乗り出す。NEDOが持つ独自技術を活用。今夏から中国企業と実証実験を始め、2010年にも商用化する。インドネシアでもプラント建設で交渉を始めた。アジアで豊富に産出する石炭を有効活用し、世界的な原油需給の緩和につなげる。」

「普及支援の第一弾として、NEDOが7月をめどに、中国のエネルギー会社、大唐国際発電(北京市)と新波鉱業集団公司(山東省)と共同で、どれだけ効率的に液化できるかの実証実験を始める。」

「日本は1980年代から石炭液化技術の研究を進めてきた。コストは1バレルあたり25-30ドルで、これまでは割高だった。だが、原油価格が同70ドル台にまで高騰。石炭の輸入コストが高い日本での実用化はなお困難だが、アジアでの商用化には道が開けた。」

石炭液化の研究は日本では大正末期から行われた。

南満州鉄道では、Bergius法により中国撫順炭鉱に液化油年産2万トンのプラントが建設され、昭和18年まで運転が行われた。
また、朝鮮人造石油が石炭処理量100t/d規模の直接石炭液化プラントの連続運転に成功している。
昭和10年ドイツでFischer法が発表されると同時に、日本に導入され、三池で合成油年産3万トンの石油合成工場が完成した。

第1次石油危機の後、1974年にサンシャイン計画が発足し、石油代替エネルギー開発の一環として、日本独自の石炭液化技術開発に取り組むこととなった。

サンシャイン計画において、瀝青炭(高品位炭)の液化技術開発としてソルボリシス法、溶剤抽出法、直接水添法の三法の技術開発が行われた。
また1980年度以降、褐炭(低品位炭)の液化法についても研究開発が行われた。

瀝青炭
瀝青炭の液化技術についてはNEDOは1983年に
上記 3法の特徴を生かしてNEDOLプロセスとして統合した。Nedol
詳細は 
http://www.nedo.go.jp/sekitan/cct/jp_pdf/2_3a2.pdf 参照。

褐炭
石炭の経済的可採埋蔵量の約半量は亜瀝青炭・褐炭等の低品位炭が占めるが、水分を多く含み、乾燥すると自然発火性を示すという問題を含む。NEDOは褐炭液化技術開発(BCL法)を開発、1999年からインドネシア国内において3ヶ所の液化プラント立地候補地を選定し、FSを実施、経済的にも十分に成立するとの結果を得た。
詳細は 
http://www.nedo.go.jp/sekitan/cct/jp_pdf/2_3a3.pdf 参照。

 

中国は石炭液化技術の開発、導入に積極的である。

NEDOは1981年に中国煤炭工業局との間で「石炭液化技術共同開発に関する協議書」を締結し、共同研究をスタートした。
1983年、北京煤化学研究所に石炭処理量 0.1t/d のベンチスケールプラントを設置し、多くの液化試験を実施し、多大な成果を上げた。
1997年からは中国からの要請に応えて、黒竜江省・依蘭炭を用いての石炭液化プラント立地可能性調査の実施に協力した。
1999年5月の日中高級事務レベル会議を経て神府東勝炭田を開発している神華集団基本協定書を締結し、NEDOLプロセスに基づく神華炭液化プラント5,000t/dの立地可能性調査を実施している。

このほか、ドイツのRUG RAGが雲南省で褐炭、米国のHTIが陜西省の亜瀝青炭を使った実証プラントをつくっている。

石炭液化技術には上記のように石炭を粉砕し,溶剤と混合して高温・高圧下で水素と直接反応させる直接液化法と,石炭を一度ガス化(石炭ガス化)し,生成ガスを分離・精製した原料を合成反応させ液化する間接液化法に大別される。間接液化法は直接液化と比較してコストが高いとされているが、南アフリカサソールが商業生産を行っている。南アはアパルトハイト時代に欧米から石油の禁輸制裁を受けたため、石炭の利用が進んだ。

2005年9月にCoal Research Institute(北京支部)と国営寧夏石炭集団が共同で寧夏石炭集団・石炭化学リサーチセンターを設立し、サソールの石炭間接液化技術で石炭液化を行うFSを開始した。320万トンの石油製品を生産する計画。

サソール自身は2005年に寧夏回族自治区で神華石炭液化会社と、寧夏回族自治区で寧夏Luneng Energy and High Chemistry Investment Group と、それぞれ8万バレル/日の石炭液化設備のFSを開始した。

6/16の新華社電によると中国最大の石炭会社の国営神華集団は2020年までに北部4省(陝西省、内蒙古自治区、新疆ウイグル自治区、寧夏回族自治区)で石炭から年間30百万トンの石油を転換する8つの計画を立てている。同社はシェルや南アのサソール等と提携している。同社では石油価格が40ドル/バレル以上であれば、8年で投資を回収できるとしている。

同社は2004年8月、内蒙古自治区鄂爾多斯(オルドス)市で世界最大規模の神華石炭液化プロジェクトに着工した。プロジェクトは2期に分けて進められ、第1期工事の総投資額は245億元で、1年間で970万トンの石炭から製品油320万トンを生産する。製品の内訳はガソリンが50万トン、ディーゼル油が215万トン、液化ガスが31万トン、ベンゼンや混合キシレンなどが24万トンの予定で2007年7月完成予定。2010年ごろに第2ラインが完成する見通し。 米国のHeadwaters Incorporated の子会社 Hydrocarbon Technologies, Inc.(HTI) の技術を使用する。

中国石炭工業協会の範維唐会長は2005年11月に、中国は2010年には、石炭のオイルへの転化、石炭ガス化を含めた石炭転化製品の生産高500万トンの実現を目指していることを明らかにした。 

中国ではコークス炉ガスを原料とするメタノール、DME等の計画が多数あるほか、石炭からのオレフィン製造計画もつくられている。
次回はその例を取り上げる。

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2006年6月20日 (火)

伊藤忠のイランHDPE計画に米国の圧力?

2005年6月、伊藤忠はイランのHDPE事業計画に参加することを発表した。
タイ
Cementhai Chemicals CCC:Siam Cement 100%タイNPC、イラン NPCとのJVに出資、イランのアサリューエ地区に250億円を投じて三井化学技術で 30万トンのHDPEを建設するもので、当初は本年2月着工、2008年第1四半期完成を予定していた。
日タイ3社が投資会社Alliance Petrochemical Investment(Singapore)を設立し、NPCとの間でMehr Petrochemical Company
を設立した。
出資比率はNPCが
40%、伊藤忠12%、CCC 38%、タイNPC 10%である。(その後タイNPCはTOCと合併してPTTケミカルとなっている)

本年615日のバンコクポスト紙は業界筋の情報として、米国がイランの核問題を理由に本計画の中止を求めていると報じた。「サイアムセメントや伊藤忠が米国から計画中止の圧力をかけられており、計画が遅れている」としている。

これに対してサイアムセメントはコメントをしていないが、PTTケミカル社長は、「計画はまだ最終ではなく、確定までに2はかかる、その間に政治紛争は解決するだろう」と述べている。また本計画の当事者は、本計画は国連の多数国間投資保証機関(MIGA)が保険を付与しており、米国とイランの核紛争は影響を与えないとしている。

伊藤忠は昨年発表時に、「本事業に際し、昨今のイランを取り巻く状勢を鑑み、米国の専門家とも内容を慎重に検討し、本事業が大量破壊兵器やテロに繋がる可能性あるいは米国の法律(ILSA等)に抵触する可能性が無い事を検証しており、案件の透明性・健全性を確立致しました。また、国際協力銀行や日本貿易保険による輸出金融を活用し、加えて、世銀グループMultilateral Investment guarantee Agency (MIGA)の保険の導入を予定しております」としている。

昨年8月、国際協力銀行はMIGAとの協調案件として協調融資を行っている。MIGAはイランでの第1号として本計画に122百万ドルの保証を行った。契約不履行による出資・融資リスクに対し15年間の保証で、タイ側には戦争や内紛のリスクもカバーしている。

MIGAの報道官は「イランの問題は認識しているが、近い将来に解決されることを望んでいる」とし、本計画を支持している。

立地も技術も資金も決まり2月には着工する予定であったが、計画が予定よりも遅れることは確かだろう。

イランのもう一つの計画、アザデガン油田について、 6月6日 「新・国家エネルギー戦略」発表 参照

 

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2006年6月19日 (月)

公取委、合併審査見直し

公正取引委員会が企業合併の審査基準を見直す方針を決めた。

しかし、企業側がシェア基準の引き上げを希望しているのに対して、公取委の上杉秋則事務総長は会見で、シェア基準という着目点については明らかに世界の流れと違うとして単純なシェア上限の引き上げを否定、また、国際的に競争が行われていれば、それは考慮される仕組みになってると主張した。(文末に会見議事録)

6/16の日本経済新聞に竹島一彦委員長のインタビューがある。
 「単純に上限を引き上げるというのは世界的な競争政策との整合性がとれない。現在のガイドラインの基準は欧米と比べて厳しいわけではない」
 「シェアが50%を超えても認めているケースはある。」
 「市場寡占度をみる『HHI』という基準のほうが合理的だ」
 「大型合併で効率化が進みユーザーにもプラスになるというのであれば、個別審査して認めていけばいい」
 「素材のように品質がほとんど変わらず世界的に調達できるようなものは輸入圧力も判断材料になる。こうした判断基準がわかりにくいのであれば、ガイドラインに明記する方向で検討する」。
 「製薬のように世界市場で競争しているケースは国内シェアだけで統合の可否を判断するわけではなく、海外企業との競争圧力も判断材料にする」

米国では水平的合併の審査基準に"HHI"Herfindahl-Hirschman Index)を使用する。
同じ市場で競争する事業者のそれぞれのシェアを二乗し、それを合計する。
例えば、企業10社が各10%のシェアで競う市場ではHHIは 1000となるが、首位企業のシェアが40%、2位が30%、3位が20%、4位が10%の場合は 3000となり、市場の寡占度は高いとみなされる。

1992年4月発表のHorizontal Merger Guidelinesでは以下の通り規定している。
 
http://www.usdoj.gov/atr/public/guidelines/horiz_book/toc.html

統合後の
HHI
市場認識 HHIの増加 結論
1000未満 unconcentrated   問題なし、検討不要
1000-1800 moderately concentrated 100未満 問題なし、検討不要
100以上 競争上の懸念、検討要
1800以上 highly concentrated  50未満 問題なし、検討不要
 50以上 競争上の懸念、検討要
100以上 市場支配力の行使が容易と推定

公取委は既にこの概念を使用している。

2005/4/1の PSジャパン及び大日本インキ化学工業のポリスチレン事業の統合(承認せず)では
「当事会社のPSの合算販売数量シェアは,約50%・第1位となる(統合後のHHI約 3,600・HHI 増加分約900)」とし、
注として「HHI(ハーフィンダール・ハーシュマン指数)は,当該一定の取引分野における各事業者の市場シェアの2乗の総和によって算出され,
1,800以上であれば,高度に寡占的であるとされている」としている。

2005/1/24の東海カーボンと三菱化学のカーボンブラック事業の統合(承認せず)では、
タイヤ用CBでは「合算販売数量シェアは,約45%・第1位となる(統合後のHHI約 3100・HHI増加分約900)」
一般工業用CBでは「合算販売数量シェアは,約40%・第1位となる(統合後のHHI約 2600・HHI増加分約850)」としている。

2004/12/7の三井化学及び出光興産のポリオレフィン事業の統合(承認)では
HDPEでは「統合会社の市場シェアは,約25%・第2位(統合後のHHI約 2400・HHI増加分約300)となる」と1800以上だが問題なしとした。(シェア25%)
PPでは「市場シェアは約40%・第1位(HHI 約2900・増加分約700)となる」として問題ありとし、会社側の対策案を受け入れ承認した。

このほか、2002/7/21の大日本インキ化学工業と旭化成ライフ&リビングによる二軸延伸ポリスチレンシート事業の統合(承認)や2004年度の 山之内製薬と藤沢薬品工業の合併(承認)でもシェアに加え、HHI分析を行っている。

それ以前の日本ポリケム及び日本ポリオレフィンのポリエチレン事業の統合(承認)等ではシェア分析だけで、HHIには触れていない。

竹島委員長は「市場寡占度が低ければ現行基準より緩和することになるが、寡占度が高ければ現行よりも厳しくなる」としているが、石油化学の場合はほとんどが今より厳しくなる。アジア市場のなかでの競争をどう考えるかであろう。

ーーー

2006/6/7 公取委 事務総長会見記録

(問)企業結合審査に関して,また改めて昨日,自民党の部会とか,自民党の方で,方向性みたいな決議案を採択されたということなんですが,改めて公取としての対処というか,お考えは。

(事務総長)何度も同じことを言うしかありませんね。我々としては,国際的な流れに沿ったことであれば対応してきましたし,これからも対応していくつもりです。けれども,日本だけ異なるというようなものはできないし,どこも悪くないとまでは思っていませんが,ただ,
シェア基準という着目点については,明らかに世界の流れと違うという認識なので,もっと有意な方向での議論を期待したいと思います。

(問)それは単純に引上げるというのは世界の流れと違っているということか。

(事務総長)要するに,あの議論,つまり,35%まではいいとか,35%から50%までもいいとかいうのは,それは,要するに,需要の価格に対する弾力性とか,取引の形態で相当違い,それは何でもそうだなんてものじゃないわけですから,それは,そうでないものをそうだと言っちゃったら,それは今度は企業を惑わすことになります。
我々は,白のものは白だし,黒のものは黒と言っているわけで,それは,かなり財の特質に依存するものですが,企業の方は,とにかくどんな財でもというものを期待されますが,それは無理です。それは世界のガイドラインというか,世界の競争当局に聞いてもらえば,公取が信用できないならちゃんと聞いてもらえば,いくらでも答えが出てきます。要するに,50%ならいいとか,50%ならだめだとか言っている先進国の当局はありません。

(問)ガイドラインの見直しといいますのは,世界市場も踏まえた上でのガイドラインの見直しというよりは審査基準があいまいだという批判もあるが。

(事務総長)そこはですね,
国際的に競争が行われていれば,それは考慮される仕組になっていまして,日本市場を中心に,日本との輸出入,それから,外での競争状況等も見ますので,実際に世界と異なることをやっているとはちょっと思いません。世界市場というのがないのかというと,それはあり得るし,我々は,特に物ではなく技術の取引というのは,世界市場で行われているだろうというふうに思います。
あと,世界的調達をやっているものですね。どこで使うかを問わず,地域を問わず調達しているような特殊なものというのがありまして,それはそれで判断しています。マーケットがどこであるかというのも,まさに当該財の特質が大きく左右するわけです。企業からすると,世界で厳しく競争しているのだから,日本でシェアが高くなったりしてもいいのではないかということだと思うのですが,そうであるならば,
ちゃんと競争しているデータを示せればそこは判断できます。

ーーーー

6月17日までのバックナンバーを見易く整理しました。下記をご覧ください。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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2006年6月17日 (土)

日・マレーシア経済連携協定発効

経産省は13日、日・マレーシア経済連携協定の効力の発生に関する外交上の公文の交換が同日クアラルンプールで行われ、同協定は同日から効力を生じたと発表した。Ftamalaysiaシンガポール、メキシコに続く3カ国目の経済連携協定となる。

両国政府は、昨年12月13日の日・マレーシア首脳会談において、「経済上の連携に関する日本国政府とマレーシア政府との間の協定」(日マレーシア経済連携協定)を署名している。

日マレーシア経済連携協定の概要については下記参照。 http://www.meti.go.jp/press/20051213003/4-fta-set.pdf

鉱工業品の物品市場アクセスに関しては上記概要では以下の通りとなっている。

・両国とも、ほぼ全品目の関税を協定発効から10年以内に撤廃
・マレーシア側 化学品はほぼ全ての品目について10年以内に関税撤廃
・日本側 日本が輸入する鉱工業品の関税は、実質上全て即時撤廃される。

日本が輸入する化学品の個別の取扱いについては「附属書1(第二章関係) 第19条に関する表」では以下の通りとなっている。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/pdfs/treaty164_2a.pdf#170

無機・有機化学品 ほぼ全品目即時撤廃
  ソルビトール、クエン酸(対象外)
グルタミン酸ソーダ 関税率 5.2%、6回の毎年均等引き下げでゼロへ
   
プラスチック
  PE  関税率 1.3%(上限@4.48円/kg) 11回の毎年均等引き下げ
  PP 関税率 1.3%(上限@5.12円/kg) 11回の毎年均等引き下げ
  PS 関税率 1.3% 11回の毎年均等引き下げ
  ABS 関税率 0.62% 11回の毎年均等引き下げ
  PVC 関税率 0.78% 10回の毎年均等引き下げ
  PVDC 関税率 0.56% 7回の毎年均等引き下げ
  PMMA 関税率 0.58% 7回の毎年均等引き下げ

参考  日本・シンガポール新時代経済連携協定における日本の化学品の輸入の扱いについては下記を参照。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/big/jpn-singapore-fta.htm
 

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2006年6月16日 (金)

欧州エチレンパイプライン (ARG)

Ineosの最近の発表に、BPから買収した元 Innovene のドイツ・ケルン工場のエチレンを10万トン増設するが、一部はARGパイプラインで他のプラントに送るとある。

2006/5/24 RING 第三次事業計画 発表記事に「コンビナート高度統合研究会」報告があるが、コンビナート統合の実現に向けた「提言」7項目の中の(3)「広域的パイプラインの敷設・整備」はこれを参考にしたものである。

コンビナート高度統合研究会の議事録に以下の発言がある。
「欧州に関して、日本の石油精製・石油化学が有し得ない競争力の一つはパイプライン網である。日本では、高コスト等によりパイプライン
を欧州のように設置することができない。」(2005/11/25)
「我が国においても、ドイツのようにパイプラインは社会に必要であるとしたら必ず通すというようにしなければいけないと思う。パイプライン敷設を最初からあきらめていると、進まないのではないか。」(2005/12/16)
「石油・石化の連携・統合のための広域パイプラインの敷設は簡単ではないが、わが国の石油・石化産業が生き残るために必要だと考える。広域のパイプラインについても、非常にチャレンジングな課題ではあるが、このことを認識して、具体化を進めていきたい。」(2006/3/1)

欧州エチレンパイプライン会社ARGは正式には Aethylen Rohrleitungs Gesellschaft mbH & Co. KG で、1969年に BPHuls(後 Degussaが吸収)、Erdolchemie (BP/BayerエチレンJV)、 BayerDSM 後 SABICが買収)及びScholven-Chemie(その後VEBA Chemie と改称、後 Degussaが買収) により設立された。
全長
495kmで欧州のエチレン能力の半分、ドイツ・オランダ・ベルギーの能力の90%を結んでいる。(図参照)Europeethylenepipeline

現在の株主はBPWestgas、Bayer、SABIC Hydrocarbons(元 DSM Hydrocarbons)、Sasol GermanyBASF の6社。2001年にDegussaの当時の株主のE.ONがBPにVeba Oel の製油・石油化学部門を売却した結果、BPがARGのHulsScholven-Chemie持分を取得し 3/6の株主となるため、独禁法当局の認可条件として、 両社持分をSasol GermanyBASF に譲渡した。南アのSasol は欧州に誘導品 6工場をもち、うち2工場はパイプラインに接続している。

州にはARGのほかに、以下のようなエチレンパイプラインがある。
 Shell pipeline :Rotterdam-Antwerp
 FAO pipeline(
Fina Antwerp Olefins ):Antwerp
 NSM pipeline
Antwerp-Feluy
 Solvay pipeline
to Jemeppe
 InfraServ and BASF pipelines
in Germany

あるエチレン需要家は、ARGは高すぎるので、他のパイプラインと統合して値下げするべきだと主張している。
ARGの基本料率は、1トンのエチレンを50km運ぶのに30ユーロとなっている。(4.3円/kg)
大口割引は例えば、年間20万トンで6年契約などとハードルが高い。

 

ところで、日本にこのようなパイプラインが本当に必要だろうか。
千葉地区では既に北の丸善石油化学から南の住友化学までパイプラインが通じており、「コンビネーテッド・コンビナート」を形成している。欧州と異なり日本のコンビナートは全て海岸にあり、異なるコンビナートの間では船での輸送が行われている。

高い費用をかけて新しくパイプラインを設置する必要性があるのだろうか。

 

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2006年6月15日 (木)

Basellの買収

2005年にBASFとShellは50/50のポリオレフィンJV・Basell をAccess Industries に売却した。

Basellの設立経緯は4月19日の記事に記載の同社変遷図参照。
Shell 100%となったHimont(PP+PE)、BASF/ShellのElennac (PE), BASF 100%のTagor (PP)が2000年に統合し、BASF/Shellの50/50JVとして設立された。
昨年時点で
Basell は世界の21カ国に生産拠点をもち、120カ国以上で販売を行い、従業員は6600、売上高は67ユーロであった。

2004729日にBASFとShell Basellに関する戦略を同社株の売却を含め再検討していると発表した。
BASFは
Shellとのポリオレフィン事業の統合は大成功で、今や業界のリーダーになったので、次ぎの手を考えるよい時期であるとし、BASFとしてはスチレン系、機能性ポリマー、ポリウレタンや関連製品に注力したいと述べた。シェルも同様に、株主価値を高めるための戦略案を考えたいとした。同社は石油製品と化学品のシナジーを高め、欧州と北米のコア製品を強化し、かつアジアと中東での成長を図りたいとした。

これを受け、多くの化学会社や投資会社が買収に向けて動き出した。
化学会社も買収している米国投資グループのBlackstone
Apolloの連合にBain Capital とGoldman Sachs Capital Partners が加わって一大買収ファンドコンソーシアムを作り、最有力と報道された。

イランのNPC(National Petrochemical Company )も手を上げた。アメリカ政府の反対を予想してルイジアナ州の工場は買収から除くという約束までしたが、それでは不十分であった。
米国国務省は「米国は
Basellの技術が悪用されるのを懸念しており、もしイランが買収した場合、イランに対する制裁措置で米国企業が取引が出来なくなるおそれがある」と述べ、BASFとShellに懸念を表明したことを明らかにした。
NPCはBASFとShellの条件は満たしていたが、両社から非公式に売却できないと伝えられた。

2005年5月5日、BASFとShellはBasell をニューヨークのAccess Industries とChatterjee Group のコンソーシアムに売却すると発表した。対価は44億ユーロ(借入金込み)であった。

Access Industriesは後述。Chatterjee Group はインドのDr. Purnendu Chatterjeeが米国に設立した投資会社で、インドの Haldia Petrochemicals の大株主。
しかし、その後
Chatterjee Group は本件から撤退し、Access Industries が単独で買収することとなった。

2005年8月1日、BASFとShell は関係当局の手続きも終り、Access Industries の子会社のNell Acquisition へのBasellの売却手続きが完了したと発表した。

Access IndustriesLen Blavatnik が設立し、所有する投資会社である。

Len Blavatnikは本年49歳、ロシアで生まれ、21歳の時に米国に移住し米国籍をとった。ハーバードビジネススクールのMBAを取り、1986年にAccess Industriesを設立した。
その後、ロシアの友人及びロシアの富豪と組んで Tyumen Oil Co. (TNK)
を設立、更にBPとTNKの合弁で2003年にTNK-BP を設立した。
TNK-BP は現在ロシア第二の石油会社で西シベリア、ボルガーウラル地区、東シベリア、樺太等で石油の採掘をしており、ロシアとウクライナに5つの製油所を所有している。

このほか、Len Blavatnik Siberian-Urals Aluminum やカザフスタンの電力会社、アルゼンチンや英国の不動産などに投資している。

2005年のForbes のアメリカの富豪番付で、純資産35億ドルで第61位となっている。

ーーーー

速報 バイエル、ドイツのシェーリングを買収

2006/6/12「2つの買収劇」 でバイエルのTOB期間中にメルクがシェーリング株を購入していることが判明したと書いた。

この後、バイエルはTOBを続けるが、それ以外でも購入することを明らかにし、仮にTOB外の購入価格がTOB価格より高い場合にはTOBでの購入にもこれを適用するとした。

14日、バイエルとメルクは、メルクがこれまで購入したシェーリングの株式(21.8%)をバイエルに売却することで合意したと発表した。これにより、バイエルによるシェーリングの買収が決定する。

今回の合意は両社首脳の話し合いで決まったもので、メルクは全所有株を1株89ユーロでバイエルに譲渡する。バイエルのTOBに応じた株主は1株3ユーロの値上げを享受することとなった。
メルクはこの取引により4億ユーロの売却益を得た。またバイエルとメルクは今後協力関係を強化できないか検討する。

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2006年6月14日 (水)

事業買収で急成長した化学会社

事業買収により設立され、その後どんどん事業買収を行って急成長した化学会社がある。Ineos である。

BPから買収したEO事業をもとに1998年に設立して以来、ICIの抜本的構造改革に乗ってその諸事業を買収、その他 BPDegussaBASF、UCB等の事業を次々に買収し、昨年末にはBPの石油化学子会社Innoveneを買収した。この結果、創立8年後の現在では世界の14ヶ国に68の工場を持ち、従業員は15,600人、30百万トン以上の石化製品を販売し、売上高は年ベースで330ドルユーロに達する。

同社の創業者で会長を務めるのが億万長者のJim Ratcliffe(現在53歳)である。最初はエッソのケミカルエンジニアであったが、1995年に事業家と組んでBPからEO事業を買収し Inspecを設立、大きな利益を上げ、1998年に単独でこれを買取り、Ineosを設立した。
買収は借入金で行った。通常、買収には自己資本が20%程度は必要だが、彼はIneosを担保にした。事業買収でIneosを拡大し、更に金を借りるという形で、他の事業を買収していった。

1999年にCharterhouse Development Capital と組んでICIのアクリル事業を買収しINEOS Acrylics とした。(Ineos は22%出資で、後にLuciteと改称)
2001年にICIからシリカ、塩素、代替フロン等の事業を買収、ICIとEniChemの塩ビJVのEVCの過半も買収した。(2005年にEVCを100%買収)
そのほか、多くの事業を買収、2005年末にBPから同社の石油化学子会社Innoveneを買収した。Innovene買収に際しては社内にも秘密にして会長が単独で極秘裏に交渉したといわれる。

同社の各部門の内容は以下の通り。

INEOS Oxide (EO,EG)
  (1966年にUCCがアントワープに工場建設)
(1978年BPが買収)
1995年Inspecが買収

1998年Ineos設立、Inspecを買収
2001年BPから欧州のアセテート事業、ENB事業を買収
   
INEOS Phenol (フェノール)
  2001年 Degussaから子会社 Phenolchemieを買収
2005年 Chevron Phillipsからテキサスのキュメン工場を買収
   
INEOS Styrenics (PS)
  2005年 BASFの米国・カナダのPS事業を買収
   
INEOS ChlorVinyls
  (1986 ICIとEniChemが50/50の塩ビJV EVCを設立)
2001 IneosがEVCの過半を買収、INEOS Vinylsの傘下に置く。
同年 ICIから塩素化学事業を買収、INEOS Chlorとする。
   
  2005年 EVCを100%子会社とし、組織を再編

 塩素とPVC事業をINEOS ChlorVinyls
 塩ビフィルム、コンパウンドを下記に。

INEOS Films and Compounds.
   
INEOS Silicas (シリカ、ケイ酸塩、ゼオライト)
  (1997年 ICIがUnileverから4部門を買収)
2001年 ICIから上記のうちのシリカ等のCrossfield部門を買収
   
INEOS Fluor (代替フロン)
  2001年 ICIからKlea部門を買収
   
Lucite International 〈関係会社〉
  1999年 Ineos (22%)/Charterhouse Development Capital 78%)でICIのアクリル事業を買収、
     
INEOS Acrylicsを設立
2002年 Lucite International と改称
   
INEOS Melamines
  2005年 CytecがUCBを買収するに際し、UCBのメラミンを原料とするアミノレジン、添加剤事業を買収
      (元はヘキストの事業)
   
INEOS Paraform
  2003年 DecussaのMethanova部門を買収
   
INEOS Healthcare
   
INEOS Enterprises
  2004年にINEOS Chlor Enterprisesがつくられ、2005年に改称
  6つの事業
  ・Brine & Water business
  ・sulphur chemical
  2004年  Albionから事業買収
  Electrochemical Technology business
  ・Esters business
  ・(ドイツWilhelmshaven)
  塩素(PVC用)、ソーダ外販
  ・(タイ)The East Asiatic (Thailand) CompanyとのJV・IACCで可塑剤製造
   
(以下、Innovene買収で新設)
   
INEOS Refining
  Grangemouth Lavera の製油所
   
INEOS Olefins
  InnoveneGrangemouth, LaveraKoln C2, C3, C4 及び芳香族 
  次ぎの計画を含む
  ・IneosのドイツのWilhelmshavenでのエチレン80万トン計画
  ・InnoveneのサウジでのDelta Oil とのエチレン及び誘導品計画 
 (
http://www.bp.com/genericarticle.do?categoryId=2012968&contentId=7006623
  * BPの上海SECCO計画はBPに残したため、Ineosとは無関係
   
INEOS Polyolefins
  欧州、アジアのInnoveneのポリオレフィン事業
   
INEOS Olefins & Polymers, USA
  InnovenChocolate Bayou Battlegroundで製造するオレフィン、PE、PP
(スチレン事業は
INEOS Styrenicsへ)
   
INEOS Nitriles
  Innoveneの全世界のニトリル事業
   
INEOS Technologies
  Innoveneの技術ライセンス、触媒 及びIneosの塩ビ事業のライセンス、触媒ほか
   
INEOS Oligomers
  LAO(linear alpha olefin)PAOpolyalphaolefin)、PIB (ポリイソブチレン)

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2006年6月13日 (火)

改正容器リサイクル法成立 

レジ袋の排出抑制対策などを定めた改正容器包装リサイクル法(容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案)が9日、参院本会議で可決、成立した。来年4月に施行される。

内容は下記の要綱の通りで家庭ごみの6割を占める容器包装ごみの対策として、
1)
消費者の意識向上や事業者との連携を図るための取組み
2)事業者の自主的取組を促進するための措置
   
大手スーパーやコンビニなどに削減への取り組みを義務づける
3)
リサイクル費用を払わない場台の罰金の引き上げ
等が決められた。

焦点となっていたレジ袋の有料化は業界が強く反発し、明文化は見送られた。

業界は既に対応に乗り出している。
コンビニエンスストアの業界団体の日本フランチャイズチェーン協会は削減目標を発表している。業界の04年度の使用重量
33千トン1店当たり813kg(00年は937kg)を10年度までに609kgまで削減する。
百貨店業界では容器包装使用量を10年までに00年比で25%削減する方針を決めている。
「モスバーガー」を展開するモスフードサービスは、持ち帰り用のポリ袋を7月に全廃すると発表した。

環境グループは全世界で毎年5,000億枚から1兆枚の袋が使われていると推計するが、環境問題や資源問題からレジ袋規制の動きは世界中で見られる。

アイルランドでは、2002年からプラスチック税「Plastax」が課せられており、スコットランドでも検討されている。日本では東京都杉並区が2002年、レジ袋1枚につき5円の税金を課す「レジ袋税(すぎなみ環境目的税条例」を制定した。ただし税の施行については、景気の動向やレジ袋の削減状況等に配慮し、議会と協議した上、総務省への同意協議が必要ということで、今のところ具体的な日程は決っていない。
(資料: 
http://www2.city.suginami.tokyo.jp/library/library.asp?genre=48 )

そのほか下水が詰まる、美観を害する等の理由で、バングラデシュでは首都ダッカでの販売と使用を禁止、インドのムンバイ
ボンベイ も、薄いプラスチック袋を禁止した。台湾や南アフリカではプラスチック袋を使用する小売業者に罰金を課している。

ーーー

容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱

第一 容器包装廃棄物の排出の抑制に向けた取組の促進
 目的及び基本方針等の規定において容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に係る規定を追加すること。
 (第一条、第三条、第五条、第六条、第八条及び第九条関係)
     
 消費者の意識向上や事業者との連携を図るための取組について、次の事項を規定すること。
   容器包装廃棄物の排出の抑制についての消費者の意識啓発等を図るため、環境大臣が「容器包装廃棄物排出抑制推進員」を委嘱することができることとすること。(第七条の二関係)
   環境大臣は、容器包装廃棄物の排出の抑制に資する情報の収集、整理及び提供や容器包装廃棄物の排出量等の調査及び公表を行うこととすること。(第七条の三関係)
     
  事業者の自主的取組を促進するための措置について、次の事項を規定すること。
   主務大臣は、その事業において容器包装を用いる事業者であって、政令で定める業種に属する事業を行うもの(以下「指定容器包装利用事業者」という。)による容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために、判断の基準となるべき事項を定めることとすること。また、この場合、主務大臣はあらかじめ環境大臣に協議するとともに、環境大臣は必要に応じて、主務大臣に意見を述べることができることとすること。(第七条の四関係)
     
   主務大臣は、判断の基準となるべき事項を勘案して、指定容器包装利用事業者に対する指導及び助言を行うことができることとすること。(第七条の五関係)
     
    指定容器包装利用事業者であって、その事業において用いる容器包装の量が政令で定める要件に該当するもの(以下「容器包装多量利用事業者」という。)は、毎年度、容器包装を用いた量及び容器包装の使用の合理化により容器包装廃棄物の排出の抑制を促進するために取り組んだ措置の実施の状況に関し、主務大臣に報告しなければならないこととすること。(第七条の六関係)
     
   主務大臣は、容器包装廃棄物の排出の抑制の促進の状況が著しく不十分な容器包装多量利用事業者に対し、必要な措置をとるべき旨の勧告、勧告に従わなかった場合の公表、公表後に正当な理由なく当該勧告に係る措置をとらなかった場合の命令を行うことができることとすること。(第七条の七関係)
     
  市町村は、市町村分別収集計画を定め、又は変更したときは、これを公表することとすること。(第八条第四項関係)
     
第二 事業者が市町村に資金を拠出する仕組みの創設
     市町村から特定分別基準適合物の引渡しを受けた指定法人又は認定特定事業者は、その再商品化に現に要した費用の総額として主務省令で定めるところにより算定される額が再商品化に要すると見込まれた費用の総額として主務省令で定めるところにより算定される額を下回るときは、その差額に相当する額のうち、各市町村の再商品化の合理化に寄与する程度を勘案して主務省令で定めるところにより算定される額の金銭を、主務省令で定めるところにより、当該各市町村に対して支払わなければならないこととすること。(第十条の二関係)
     
第三 その他
   再商品化の義務を果たさない特定事業者に対する罰金の額の引上げ等所要の規定の整備を図ること。
(第四十六条から第四十九条まで関係)
     
   基本方針に定める事項に「分別収集された容器包装廃棄物の再商品化のための円滑な引渡しその他の適正な処理に関する事項」を追加すること。(第三条第二項関係)
     
第四 施行期日等
   この法律の施行期日について定めること。(附則第一条関係)
   所要の経過措置を設けること。(附則第二条及び第三条関係)
   政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとすること。(附則第四条関係)  

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2006年6月12日 (月)

2つの買収劇

BASFとBayerによる買収劇が行われている。BASF案件は買収が成立したが、Bayerの方は雲行きが若干変わってきた。

1)BASF、エンゲルハードを買収

BASFは6月9日、米触媒大手エンゲルハードの買収を完了したと発表した。同社はBASFの100%子会社となる。
エンゲルハード側の株価引き上げ作戦が成功した形となった。

BASFは、両社のビジネスを統合することにより、特殊顔料をはじめとする他の成長市場にも進出し、触媒マーケットでのトップメーカーになるとしている。

経緯は以下の通り。

BASFは昨年末にエンゲルハードに対して友好的買収を申し出たが、エンゲルハード側が話し合いを拒否。
BASFは敵対的買収を決め、本年1月3日、エンゲルハードを総額49億ドル(1株37ドル:90日平均の株価の30%増し)で買収する提案を行ったと発表した。
   
エンゲルハード側はBASFに対してオファー価格(1株37ドル)を引き上げるよう要請し、BASFは38ドルを提案した。
しかしエンゲルハード役員会でこれを満場一致で拒否した(4月26日に発表)。
同社ではBASFに対抗して株数の20%相当分について1株45ドルで自社株買いを行うことや、コスト削減策などを決めた。
   
BASFの当初の買収提案(37ドル)に対して、4月28日までの期限で1%以下しか応じなかった。このためBASFは5月1日に、買収価格を1株38ドルに引き上げ、買収期間を6月5日に延長すると発表した。
   
しかし、これに対しても応募が少ないことから、BASFはエンゲルハードの大株主とも協議した結果、5月22日に買収価格を39ドルに引き上げるとともに、「これが最良の、最後のオファーであり、これ以上価格を引き上げる考えはなく、これが受け入れられないなら撤退する」と宣言した。
   
エンゲルハード側はこの案を評価し、5月30日に両社は買収で合意した。
エンゲルハードは株主に対し、BASFによる1株39ドルでのTOBに応じるよう勧めるとともに、同社が出していた45ドルでの株式20%分の自社株買いのオファーを取り下げた。
   
6月5日のTOB締め切り時点で約89%の株主がこれに応じた。BASFは買収を完全にするためTOB期間を6月8日まで延長した。
6月8日時点で90%以上がTOBに応じた。
これにより、BASFはエンゲルハードを100%子会社とし、TOBに応じなかった株は1株当たり39ドルを受け取る権利に変換される。
   

2.バイエルによるシェーリング買収

本件は下の2つの記事で書いた。ドイツのSchering AGの買収の件である。

 2006/3/23 2つのMerck社     
 2006/3/24 
速報 バイエルがシェーリングの買収合意


これまでの経緯は以下の通り。

本年3月12日、ドイツのMerckがScheringに対して1株77ユーロでの買収を提案、Scheringは価格が著しく安すぎるとし、独立した医薬会社として存続したいとの意向を発表した。
   
3月23日にBayerが1株86ユーロでオファーし、Bayer-Schering Pharmaceuticalsを設立することを提案、Schering役員会もこれを歓迎した。
   
Merckがこれに対抗して買収競争になるかと思われたが、同社は翌日、77ユーロを引き上げる考えがないことを発表した。
しかし、両社の統合が両社にとってよいオプションであると確信している旨述べている。
   
4月13日、Bayerは正式にTOBをかけた。
 1株86ユーロ、総額165億ユーロで、締め切りは5月31日。
   
5月30日、Bayerは期間を延長、6月14日までとした。最低引受限度は75%。
  6月2日時点で11%を所有する最大株主のAllianzがTOBに応じ、合計39.21%を集めた。

これで予定通り買収が成功するかと思われたが、突如、買収を諦めたと思われたMerck がSchering株を6%強所有していることを明らかにした。BayerによるTOB期間中であり、株式購入に関してはコメントしないとしている。

これに対してBayerは以下の理由で同社の態度は理解できないとのコメントを出した。

Merckは先にBayerの出した86ユーロは高すぎるとして買収提案を取り下げたのに、その価格で株を買っている。
この行為はBayerの買収を邪魔しようとしているように見えるが、こんな手は戦略的投資家なら取らない。
Merckは市場に対してその意図を明らかにしておらず、投資家や当事者は同社の戦略が分からないままである。

今後のMerckの出方が注目される。

ーーー

付記 6月14日、バイエルとメルクは、メルクがこれまで購入したシェーリングの株式(21.8%)をバイエルに売却することで合意したと発表した。これにより、バイエルによるシェーリングの買収が決定する。

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2006年6月10日 (土)

信越情報 再修正

2006/5/16 「世界一の塩ビ会社 信越化学」記載の同社能力について 5/31に一度修正したが、再度修正する。

Plattsの情報によると、オランダの信越PVCはPernisでPVCの増設(295千トン→450千トン)を行っているが、7月に完成する見通し。(上記記事では既に完成済みとして表示)

5/16の記事ではフィンランドでNesteに委託として90千トンと記載した。信越のオランダ増設発表(2005/1/19)でもこの旨記載されている。
Neste Chemicals は分離統合の結果、実際の委託先は
Dynea Chemicals Oyであるが、Dyneaは2005年7月に塩ビ事業をスイスの商社・International Petrochemical Group S.A.に売却、7年間続いた信越PVCとの製造受委託契約も終了した。

この結果、PVC増設完了後の信越PVCの能力は、VCMが620千トン、PVCが450千トンとなる。

(上記記事の能力表を修正した)

因みにNeste Cshemicalsは当初はフィンランド国営のNeste Oil の子会社であったが、1999年にIndustri Kapital に売却された。
その後、ポリオレフィン事業はStatoilの事業と統合されBorealisとなり、現在はアブダビ国営石油の子会社となっている。

http://knak.cocolog-nifty.com/blog/2006/06/3uae_d07b.html 参照)
ポリエステル事業はAshlandに売却された。
その他レジンはDynoと統合してDyneaとなり、オキソ事業を統合したPerstorpのレジン事業を吸収している。
2005年にDyno Nobelを売却、塩ビ事業も売却したもの。

変遷図 添付 Hensen10

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2006年6月 9日 (金)

江蘇省・張家港市(Zhangjiagang)

ダウは5月31日、江蘇省張家港自由貿易地域と覚書を締結し、同地での投資を拡大する意向を明らかにした。

同社はこれまでに同地でエポキシレジン、SBラテックス(スチレンブタジェンラテックス)、及びPSの事業を行っているが、更にグリコールエーテル、「スタイロフォーム」(押出法ポリスチレンフォーム)を新たに製造、SBラテックスを増設する。

これまでの投資額は3億ドルで、更に2億ドルを投下する予定。

PSはダウと旭化成の50/50JVの斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司で生産しているもので、能力は120千トン。
新設するグリコールエーテルの能力は120千トンで2008年稼動の予定。

ダウにとって中国は米独に次ぐ3番目の重要市場で、2005年の中国での売上高は23億ドルに達している。なお、同社は以前に天津で中国側との50/50JVでのエチレンコンプレックスを計画したが、撤退している。

 

張家港市は、上海市内から北へ約130km離れ、揚子江下流の南側に位置している。Zhangjiagang

張家港市には3つの開発区がある。

張家港保税区は1992年10月に国務院の批准によって設立された全国で唯一の内陸河川港型の保税区。
揚子江国際化学工業園は2001年に設立された省レベルの開発区。
保税区物流園区は2004年設立された国家レベルの開発区。

張家港市は揚子江デルタ地域の中心で、上海、南京、蘇州、常熟、無錫、常州、南通までは車で2時間以内の範囲にあり、内河の中にもっとも最大規模で冬にも凍結しない港を持つという優れた地理条件に恵まれており、インフラ施設が完備しているため、多くの海外企業を誘致している。

化学関連では以下のように多くの企業が進出しており、特に日本企業の進出が目立つ。

・ダウ(エポキシレジン、SBラテックス+グリコールエーテル、「スタイロフォーム」

・ダウ/旭化成(PS)
 社名 :斯泰隆(スタイロン)石化(張家港)有限公司
 出資 :旭化成ケミカルズ50%/Dow 50%
 能力 :PS 120千トン 

・シェブロン(PS)
 能力 :PS 100千トン 

・デュポン/旭化成(ポリアセタールコポリマー) 
 社名 :杜邦-旭化成ポリアセタール(張家港)有限公司
 出資 :DuPont 50%旭化成ケミカルズ50%/
 能力 :第1期 20千トン、将来 60千トンまで拡大
 設立 :2002/8/8
 備考 :国内はJVが販売、海外は両親会社が販売

・三井化学(高純度テレフタル酸)
 社名 :三井化学(張家港)有限公司
 出資 :三井化学100%
 能力 :60万トン/年(三井化学技術)
 
備考 :2004/3 投資認可申請、認可待ち 

・日本触媒(高吸水性樹脂)
 社名 :日触化工(張家港)有限公司
 出資 :日本触媒 100%
 能力 :
30千トン/年
 設立 :2003/4

・クラレ(MMAキャストシート)
 社名 :可楽麗亜克力(張家港)有限公司
 出資 :クラレ 80%、クラレトレーディング 20%
 能力 :3,000t/年
 設立 :2004/4

・大日本インキ化学(高機能樹脂コンパウンド、樹脂改質剤など)
 社名 :張家港迪愛生化工公司
 出資 :DIC 100%

・東亞合成/大日本インキ化学(紫外線硬化型の化合物)
 社名 :張家港東亜迪愛生化学有限公司.
 出資 :東亞合成 60%、DIC 40%
 能力 :1万トン/年
 設立 :2004/1
 備考 :張家港迪愛生化工公司の敷地内

・森田化学工業(六フッ化リン酸リチウム)
 社名 :森田化工(張家港)有限公司
 
出資 :森田化学工業 70%/住友商事 30%
 設立  :2004/1 

・北興化学(精密化学品トリフェニルホスフィン)
 社名 :張家港北興化工有限公司
 出資 :北興化学 100%
 設立 :2002/8/1

なお、既報の通り、中国政府は揚子江流域でのアクリロニトリルの輸送を全面的に禁止している。このため張家港市の上流の鎮江市にABS工場をもつ台湾の奇美実業等は原料の陸路輸送を強いられている。

 

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2006年6月 8日 (木)

タイの石油化学の現状

本年61日、Basellは、タイの同社のPP子会社HMCについて、国有石油会社PTTが40%の株主になると発表した。PTTは昨年末にオレフィンメーカーのNPCとTOCを合併させてPTTケミカルを設立、同社の子会社としている。

他方、1997年に経営が破綻しながら、その後も法廷闘争を続けトップに居座っていたTPIの創業者Prachai Leopairatanaが5月初めにようやく会社から追放された。現在の同社にはPTTが31.5%出資しており、TPIとPTTケミカルを合併させるという案が出て、これにPrachai が反発していたが、これが実現する可能性もある。

PTTによる動きの結果、タイの石油化学業界はPTTとサイアムセメントグループの二大勢力に分けられそうだ。

現状をまとめた。能力は本年2月現在のもの(単位:千トン)
会社の色分けは次の通り。

PTTグループ
サイアムセメントグループ
TPIグループ

 

エチレン

PTT Chemical  1,146
ROC (Rayong Olefins Co.)   800
TPI (Thai Petrochemical Industry)   360
合計  2,306

2005年12月、タイのオレフィンメーカー、National Petrochemical Corp. (NPC) とThai Olefins (TOC)が合併し、PTTケミカルが誕生した。
NPCには国有石油ガス会社のPTTが38%、サイアムセメントが35%を出資し、TOCにはPTTが49%、サイアムが7%出資していた。
合併はPTTの方針によるもので、PTTが株式の50.03%を保有し、同社の連結子会社となった。

PTT Chemical の能力内訳は旧NPC461千トン、TOC685千トン。同社ではTOCの第1系列385千トンを2007年に515千トンに、第2系列300千トンを2008年に400千トンに増強する。

なお、200410月に、PTTは当時のNPC50/50のJVPTT Polyethylene (PTTPE) を設立した。当初の案はRayonにエチレン410千トン、LDPE 300千トンを建設するものであった。
PTTPEはPTTとPTT Chemical のJVとなり、エチレン計画も2009-10年完成で1,000千トンとなっている。

Rayong Olefins Co. (ROC) サイアムセメント(石化関係の持株会社はCementhai Chemicals Co., Ltd)の子会社。
サイアムセメントはNPCに35%出資していたため、PTTケミカルの株主でもある。

サイアムセメントは石油化学関係で以下の子会社、JVをもつ。

  子会社
    Rayong Olefins Co., Ltd.
    Thai Polyethylene Co., Ltd.
    Thai Polypropylene Co., Ltd.
  ダウとのJV
    Siam Polyethylene Co., Ltd.
    Siam Polystyrene Co., Ltd.
    Siam Styrene Monomer Co., Ltd.
    Siam Synthetic Latex Co., Ltd.
    Pacific Plastics (Thailand) Ltd.
  三井化学とのJV
    Siam Mitsui PTA Co., Ltd.
    Grand Siam Composites Co., Ltd
    Thai PET Resin Co., Ltd.
  その他JV
    Thai MMA Co., Ltd. (三菱レイヨン)
    Thai MFC Co., Ltd. (日本カーバイド)
  海外JV
    PT. Siam Maspion Polymers (Indonesia)
  関係会社
    Thai Petrochemical Industry TPC

Thai Petrochemical Industry (TPI) Prachai Leopairatana の経営であったが、1997年に石油化学事業への巨額投資や事業多角化のための借入金が経営を圧迫し、運転資金もショートしてが経営危機に陥った。
その後、いろいろの再建計画が立てられたが、
Prachai が居座りを続け、迷走した。
2005年にはタイ証券取引所、政府主導の再建案に抵抗を続ける同社創業者のPrachai を告発し、管財人に対しPrachai 解任を指示した。
本年5月になり、同社取締役会はようやくPrachai を解任した。
現在の株主は
PTT が31.5%、Government Savings Bank 10%、Vayupak Fund 10%、Government Pension Fund 8.6%で、国の関連組織が50%以上を所有している。

TPIの子会社、関係会社は次の通り。

Thai Caprolactam 宇部興産 53.63%TPI Polene 26.50%
丸紅 12.20%BangKok Bank 2.10%
Thai ABS  
TPI Sumika ABS 日本A&L 35%Thai ABS 60%、        
タイ住友商事 5%
TPI Polyol  

なお、宇部興産の以下のJVも当初はTPIが参加していた。
 ナイロンJV 
UBE Nylon (Thailand) Ltd.
 ブタジェンゴムJV 
Thai Synthetic Rubbers Co.,Ltd.

 

ポリエチレン

  LDPE/
EVA
LLDPE HDPE/
LLDPE
HDPE
TPE (Thai Polyethylene)  100    120  580
TPI (Thai Petrochemical Industry)  158      152
Siam Polyethylene    300    
BPE (Bangkok Polyethylene)        225
PTT Chemical (NPC        250
合計  258  300  120 1,207

TPE (Thai Polyethylene)はサイアムセメント子会社。
Siam Polyethylene はサイアムセメントとダウのJV

BPE は元はバンコク銀行と三井物産の合弁であったが、2000年にNPCが買収を試みたが失敗、2004年にPTTとTOCが50/50で買収した。

PTTは前記の通り、NPC50/50のJVPTT Polyethylene (PTTPE) を設立、東南アジアで初めてメタロセン触媒を使い、400千トンLDPEを建設する。

 

ポリプロピレン

TPI (Thai Petrochemical Industry)  475
HMC Polymers  455
TPP (Thai Polypropylene  320
合計 1,250

TPP (Thai Polypropylene)はサイアムセメント子会社。

HMC Polymers Basell Polyolefins Bangkok BankHua Kee Groupなどのタイ企業とのJVとして設立された。
Basellは本年61日に、HMCがプロパン脱水素とSpherizone法での300千トンの新プラントを建設するとともに、PTTが増資引受と既存株購入により40%の株主になると発表した。Basellは現在42%を所有しているとみられているが、今後も従来通り大株主で残るとしている。PTTも2日に、取締役会が250百万ドルの投資を承認したと発表した。

なお原料のプロピレンは上記のエチレンメーカーに加え、Star Petroleum Refining (Chevron Texaco /PTT)Rayong Refinery (Shell/PTT) JVのAlliance Refining が生産している。(能力132千トン、タイの全国能力は1,236千トン)

 

スチレン

SSMC (Siam Styrene Monomer)  320
TPI (Thai Petrochemical Industry)  200
合計  520

SSMC (Siam Styrene Monomer) はサイアムセメントとダウのJV

 

PS

Siam Polystyrene  150
Eternal Plastics   60
HMT Polystyrene   90
Srithepthai Plaschem   50
Thai ABS  100
合計  450

Siam PolystyreneはサイアムセメントとダウのJV
Eternal Plastics 三井化学 35%、三井物産 25%、Eternal 40% のJV
HMT Polystyrene 三菱化学 100% (当初はTOAとのJV)
Thai ABS TPI子会社

VCM

TPC (Thai Plastic & Chemicals)  440
Vinythai  200
合計  640

PVC

TPC (Thai Plastic & Chemicals)  480
TPC Paste Resin   35
Vinythai  210
Apex Petrochemical  100
合計  825

Thai Plastic & Chemicals (TPC)は当初、地元のCEグループと旭硝子出資のTHASCO Chemical(現在は旭硝子99.85%三井物産/三井東圧の3社JVとして設立された。
その後上場、THASCO、三井グループが持株を売却、現在は
サイアムセメントが43.12%、CPB Equity 20.95%を所有している。

VinythaiSolvay 46.4%、現地地資本 Charoen Pokhand Group 25.9%ほかのJV。

Apex Petrochemical 塩ビシートメーカーのApex が川上進出したもので、当初は伊藤忠、チッソ、小原化工の日本側3社が参加していた。創業以来、経営的に行き詰り、日本側は出資引き上げ交渉を行ってきたが、タイ現地資本に新たな出資者が登場、2002年9月に日本側の資本撤収が完了した。

なお、TPCと関係会社の能力は以下の通り。

    PVC PVC-Cpd VCM EDC Soda 安定剤  
TPC Samut Prakan  140    55          
Rayong  340    440  115 *  26   *Dry metric ton
TPC Paste Resin     35           TPC 100(元Oxy とのJV
TPC Vina Plastic Vietnam  100           TPC 70/Vinaplast 15/Vinachem 15
Siam Maspion Indonesia  120           TPC 40/SiamCement 60
Viet Thai Plaschem Vietnam      10         TPC 72.49/Vinaplast 17.51
Riken (Thailand)        41         TPC 35/Riken Vinyl 40/Mitsiam 16/Mitsui 9
SSC                15 TPC 60/Mitsuzawa 30/Mitsiam 5/Mitsui 5

Siam Maspionは当初、インドネシアのMaspion が50%、サイアムセメントとTPCの海外投資法人サイアムTPCが50%のJVとして設立されたが、2005年にMaspionが撤退し、現在はサイアムセメント60%、TPC40%となっている。

 

 

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2006年6月 7日 (水)

BTCパイプライン完成

Btcpipeline_1藤忠商事や国際石油開発などが投資するアゼルバイジャンとトルコを結ぶ原油パイプラインが完成し、6月4日にトルコ側の積み出し港から第一船の出荷が行われた。

完成したのはアゼルバイジャン共和国バクー市からグルジア共和国トビリシ市を経由し、地中海に面するトルコ共和国ジェイハン市を結ぶ総延長1,768kmのBTCパイプライン」。

BTCパイプラインは次の11社で構成される国際コンソーシアムが総額34億9千万ドルを投じて建設してきたもので、通油量は約100万B/Dが見込まれている。
 BP 30.10% / AzBTC 25.00% / Chevron 8.90% / STATOIL 8.71%
 
Turkeys TPAO 6.53% / ENI 5.00%/TOTAL 5.00%
 ConocoPhillips 2.50% / Amerada Hess 2.36%
 伊藤忠 3.40% / 国際石油開発(INPEX) 2.50%

*AzBTC はこの事業のための会社で、出資はアゼルバイジャン国営石油(SOCAR)と同国の経済開発省(MED) 

アゼルバイジャン共和国のカスピ海海域でACG(Azeri-Chirag-Gunashli)油田が開発されている。国際石油開発2003年4月に10%の権益を取得した。ACG油田の権益は以下の通りで、今後段階的に増産し、2009年には日量100万バレルの水準に達することが見込まれている。

 BP 34.14% / Socar 10%/UNOCAL 10.28%/STATOIL 8.56%/ExxonMobil 8%
 
国際石油開発(INPEX) 10% / 伊藤忠 3.92% / 他3社 15.1%

これまではACG原油は、主にバクー市から黒海のスプサ市に至るルート(西ルート)を使用し、ボスポラス海峡を通って地中海に出ている。同海峡を通るタンカーが衝突や座礁などの事故が多発し、トルコ当局は大型タンカーの夜間航行を禁じ、1日あたりのタンカー通行量も制限した結果、タンカーが順番待ちをする事態がおきている。BTCパイプライン完成後には、主としてこのパイプラインで地中海まで輸送し、出荷される。

なお、国際石油開発は1998年に北カスピ海沖合鉱区の参加権益も取得している。同鉱区では、カシャガン油田のほか、カラムカス、南西カシャガン、アクトテ、カイランの4構造にて炭化水素の存在が確認されており、カシャガン油田を中心とする原油生産を2008年に開始するべく開発作業を実施中。

* 地図は国際石油開発ホームページから

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2006年6月 6日 (火)

「新・国家エネルギー戦略」発表

経産省は5月31日に「新・国家エネルギー戦略」を発表した。

 概要 http://www.meti.go.jp/press/20060531004/senryaku-p.r.-set.pdf
 骨子 http://www.meti.go.jp/press/20060531004/senryaku-kosshi-set.pdf
 全文 http://www.meti.go.jp/press/20060531004/senryaku-houkokusho-set.pdf

戦略によって実現を目指す目標:、
①国民に信頼されるエネルギー安全保障の確立、
②エネルギー問題と環境問題の一体的解決による持続可能な成長基盤の確立、
③アジア・世界のエネルギー問題克服への積極的貢献

具体的な取組み:
(1)世界最先端のエネルギー需給構造の確立
   およそ50%ある石油依存度を、2030 年までに40%を下回る水準とする

 ①省エネルギーフロントランナー計画
 ②運輸エネルギーの次世代化
 ③新エネルギーイノベーション計画
   太陽光発電コストを2030 年までに火力発電並みに。
   バイオマスなどを活用した地産地消型取組を支援し地域エネルギー自給率を引き上げる、など
 ④原子力立国計画
   2030年以降においても、発電電力量に占める比率を30~40%程度以上にする。

(2)資源外交、エネルギー環境協力の総合的強化

 ①総合資源確保戦略
   石油自主開発比率を、2030 年までに、引取量ベースで40%程度とする。(現在15%程度)
 ②アジアエネルギー・環境協力戦略
   省エネをはじめエネルギー協力を展開し、アジアとの共生を目指す。

(3) 緊急時対応の充実
   製品備蓄の導入をはじめとする石油備蓄制度の見直し・機能強化
   天然ガスに関する緊急時対応体制の整備など

(4) その他
   2030年に向けて解決すべき技術開発課題を、エネルギー技術戦略の形でまとめる。

ーーーーー

日本が関与する主な石油開発計画は次の通り。(朝日新聞 2005/12/29)

このうち、イラン、ロシアの大規模計画はいずれも問題を抱えている。石油の重要性が増すなかで、自主開発比率を高めるのは難しくなっている。

プロジェクト 最大能力 参加企業 割合
イラン アザデガン油田 原油 26万B/D 国際石油開発  75%
ロシア サハリン1 原油 25万B/D
LNG 600万T/Y
サハリン石油ガス開発  30%
ロシア サハリン2 原油 16万B/D
LNG 960万T/Y
三井物産  25%
三菱商事  20%
ベトナム ランドン油田 原油 6万B/D 新日本石油  46%
UAE ムバラス油田 原油 2万B/D アブダビ石油 100%

 

アザデガン油田 

2000年11月、ハタミ大統領の訪日時に日・イラン間でアザデガン油田開発の日本企業の優先的交渉権について合意。Iranyuden_2

2004年2月に国際石油開発(株)がイラン国営石油会社
NIOC)とアザデガン油田の評価・開発に係わる契約に調印した。

国際石油開発とNaftiran Intertrade Co. Ltd.(NI
OCの子会社)は、それぞれ75%と25%の参加権益で本契約に基づき、イラン国営石油会社NIOCのコントラクターとして、アザデガン油田の評価・開発作業を推進することとなった。

同油田の推定埋蔵量は約260億バレルで、「日の丸原油」としてはアラビア石油が2000年にサウジアラビア、2003年にクウェートの採掘権を失ったペルシャ湾沖のカフジ油田以来の大規模権益となる。

* ヤダバラン油田については2006/5/30 「中国の石油関連海外進出」 参照

ーーー

イランの核開発疑惑を批判する米国政府が、同社の大株主である日本政府にイラン向け投資を再考するよう求め、政府も開発着手に慎重だったが、国際石油開発は開発を2006年中に始める方針を固めた。

しかし、アザデガン油田はイラン・イラク国境に近く、イラン・イラク戦争で100万発といわれる地雷が敷設され、そのままになっているため、地雷の除去を始めた。

2日のイランのファルス通信によると、イランの石油相は、国際石油開発が「契約期限の9月22日までに進展を見せなければ同社に与えた開発権を取り消し、イラン政府が引き取る」と表明、早期着工を促した。

国際石油開発はイラン側が約束した油田の地雷除去を終えていないことが遅れの主因と主張、イラン側は地雷除去は96%終わっており、作業に問題はないと反論している。

 

サハリン計画

Sakhalin_2 内容は以下の通りだが、 ロシア天然資源省は本年5月25日、サハリン1・2プロジェクトの効率化を図るため、開発権をロイヤル・ダッチ・シェルとエクソンモービルからロシアが掌握することが妥当な可能性がある、との見解を示した。ロシアによる国営化の動きとして警戒されている。
国営化するかどうかは別として、サハリン2では国営ガス会社のガスブロムがシェルの持つ権益55%のうち25%強をガスブロムの西シベリアの油田権益との交換で取得することで合意済みで、同様手法でサハリン1その他の権益取得を考えているとされている。

サハリン1プロジェクト 

事業主体 ・エクソンネフテガス社
 (米、エクソン・モービル子会社、オペレーター、30%)
・サハリン石油ガス開発(株)(通称:SODECO)
 (日、石油公団・伊藤忠・丸紅等 出資30%)
・ONGCヴィデッシュ社(インド、20%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社(ロシア、11.5%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 8.5%)
投 資 額 約120億ドル以上
開発鉱区 オドプト、チャイヴォ、アルクトン・ダギ
推定可採
埋 蔵 量
①石油    約23億バレル
②天然ガス 約4,850億立方メートル

<石油>サハリン島を東西に横断し大陸側に至るパイプラインで運搬、そこからタンカーで日本等へ輸出
 

<ガス>日本へは、北海道の内陸の一部(石狩平野)を経由する海底パイプラインにより運搬する予定であったが、 パイプライン敷設が漁業補償問題で進んでいないほか、最大需要家になるとみられた東京電力も購入に難色を示したため、この計画は白紙となった。
エクソンは中国と交渉。
 

サハリン2プロジェクト

事業主体 ロイヤル・ダッチ・シエル 55%
 
 (25%超をロシア・ガスプロムに譲渡で合意)
・三井物産 25%
・三菱商事 20%
投 資 額 200億ドル
(100億ドルから倍増)
開発鉱区 ピルトン・アストフスコエ、ルンスコエ
推定可採
埋蔵量
①原油 10億バレル
②天然ガス 4,080億立方メートル

<石油>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬後、新設港湾よりタンカーで日本等へ輸出

<ガス>プリゴロドノエまでパイプラインで運搬、液化後、LNGをタンカーで輸出
 
   契約済みのガス販売先:東京電力、東京ガス、九州電力、東邦ガス、韓国ガス公社など

開発地の近くに希少種のコククジラの繁殖地があり、NGOが融資しないよう銀行団に要求。繁殖地を回避するルートヘの変更を余儀なくされた。変更に伴う工期延長に加え、新たに調達する資機材コストが高騰し、所要資金が倍増した。

シェルは持分のうち25%超をガス・ブロムの西シベリアの油田権益と交換することで合意済み。

参考

                       サハリン3プロジェクト
鉱  区 キリンスキー アヤシ(Ayashsky)、東オドプト(Odopinsky) Venin
事業主体 未定(2006年入札の見込み) 未定(2006年入札の見込み) ヴェニネフチ
<出資企業>
・ロスネフチ・アストラ(露、49.8%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ
 (露、25.1%)
シノペック(中、25.1%)
当初
・エクソンモービル社(米、33.35%)
・テキサコ社(米、33.35%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社
 (ロシア、16.55%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.55%)
当初
・エクソンモービル社(米、66.7%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社
 (ロシア、16.65%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア 16.65%)
推定可採埋蔵量 ①石油    約4.53億トン
  天然ガス  約7,200億立方メートル
①石油    約1.67億トン
②天然ガス  約670億立方メートル
①石油 約1.682億トン
②天然ガス
    約2,580億立方メートル
開発の現状 99.4 生産物分与対象鉱区に認定
   (ただし、未だ生産物分与契約は締結
    されていない。)
02.9 テキサコが今後20年間で90億ドル
   の投資を検討していることが明らかに
   した。
04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区
   から外し、入札が無効となった
93   開発権を入札、モービル
   (現エクソンモービル)とテキサコが落札
04.1 ロシア政府が生産物分与協定対象鉱区
   から外し、入札が無効となった
03  ロスネフチが地質調査の権利
  を取得
05.7 中国のシノペックと探鉱事業
   のための合弁企業を設立   

   地震探査調査を開始 

Venin鉱区の一部権益をシノペックが取得した。

           サハリン4プロジェクト
  区 アストラハン シュミット
事業主体 ・BPアムコ社(英、49%)
・サハリンモルネフテガス・シェルフ社   
 (ロシア、25.5%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア、25.5%)
未定
(エクソンモービル社が探鉱・開発権取得申請を
行ったがロシア政府が却下)
推定可採埋蔵量 ①石油    約4,500万トン
②天然ガス  約900億立方メートル
①石油    約6,700万トン
②天然ガス  約1,610億立方メートル
開発の現状 03.12 ロスネフチが地質調査の権利を取得
04.9 地震探査調査を開始
未着手

       サハリン5プロジェクト サハリン6プロジェクト
鉱  区 カイガンスキー・ヴァシュカンスキー 東シュミット ポグラニーチヌイ
事業主体 エルヴァリ・ネフテガス
〈出資企業〉
・ロスネフチ(露、51%)
・BP(英、49%)
・BPアムコ社(英、49%)
・ロスネフチ・アストラ社(ロシア、51%)
・ペトロサフ社(ロシア)
ロスネフチ(ロシア)→撤退
推定可採埋蔵量 ①石油    約11.72億トン ①石油  約4.11億トン
②天然ガス
    約2,550億立方メートル
①石油 約3億トン
開発の現状 02.6 地質調査を開始
04.7 BPとロスネフチが共同開発
       協定に調印(BP50億ドル
  負担)、試掘・探査作業を
  開始
02.6 地震探査調査を開始(カイガンスキー
      ヴァシュカンスキー鉱区のみ)
03.6  7月に地質調査・環境影響調査作
      業を開始するとの報道あり
03.12 ロスネフチが地質調査のライセンスを取得
04 地震探査調査開始
01.1 生産物分与方式によらない商業開発方式
     でのライセンスを天然資源省より取得
01.9 探査作業に着手(ポグラニーチヌイ鉱区のみ)
02.9 地質調査(ルィムニスコエ鉱区、ケロシンノ エ鉱区)を実施
03.12 ロスネフチ、事業から撤退

資料 北海道庁ホームページ
 
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/skk/russia/russia/r-spro/project/outline/index.htm
(注 2006/8/25 サハリン3-6の内容を更新)

ベトナム ランドン油田

日本ベトナム石油が1994年試掘1号井でランドン油田を発見した。
日本ベトナム石油は、新日本石油開発が53.13%
新日石資源投資が43.94%三菱商事が2.93%出資している。

 

アラブ首長国連邦 ムバラス油田  

アブダビ市の西方約60kmに位置する海上油田で、コスモ石油の子会社であるアブダビ石油が1969年に発見、1973年に生産を開始した。
ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田の3油田があり、混合して「ムバラスブレンド」として出荷している。

 

 

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2006年6月 5日 (月)

インドのエチレン計画

5月30日、東洋エンジニアリングはインド向け大型エチレン設備をインドのエンジニアリング会社と連合で受注したと発表した。

発注元はインド国営石油会社(IOCL)で、ハリアナ州パニパットのパニパット製油所(原油処理能力・年間 600万トン)の隣接地にエチレン・コンプレックスを建設するもので、このうち、年産800千トンエチレン製造設備(ナフサ・ベース)を受注したもの。

本設備はインド最大かつ北インド初のエチレン製造設備で、IOCLが建設する初のエチレンプラントである。

IOCLは2004年6月にハリアナ州政府との間で、エチレンコンプレックス建設の覚書を締結、本年4月に州政府産業開発公社との間で計画遂行のためのJV設立の覚書を締結した。出資比率等の詳細は未定。

計画ではエチレン800千トンをベースに、HDPE、PP、MEGを建設する。
IOCLは別途、同地で2006年稼動予定でナフサを原料にPX 360千トンとPTA 553千トンのPTAプラントを建設中だが、JVではこれを原料にPET樹脂を製造することも検討する。

エチレン技術はABBルーマスで、HDPE/LLDPE(350千トン)についてはNOVA技術が選ばれている。

EGについては当初 IOCLはダウ技術を選択した。
ダウはUCCを吸収合併しているが、UCCはボパールで有毒ガス流出で3000人以上が死亡、被害者15-16万人という世界最悪の化学工場事故を起こした企業であり、当時のCEOのアンダーソンが殺人事件の主犯とされたが、法廷での審理に出席せず、国外逃亡という状況が続いている。
しかし、ダウが本技術はダウが独自に開発したものと説明したため、IOCLはダウ技術の採用を決め、国民の間から"Don't fill your car with Bhopali blood" としてIOCLのガソリンの不買運動が起こっていた。
反対運動家がこの技術がUCC技術であることを見つけ出し、IOCLと政府に伝えた結果、IOCLは2005年にダウとの契約を破棄したことを明らかにしている。

付記 2007/1/25

Foster Wheeler は25日、インド国営のインド石油(IOCL)の Paradip製油所計画の基本設計等をj受注したと発表した。
インドの東海岸の新しい製油所は原油処理能力 15百万トンで、芳香族とPPのプラントを含んでいる。能力は石油製品 1050万トン、PP 70万トン、TPA 120万トン、SMが60万トンとなっている。
今回の契約にはParadipの第二期の
ナフサクラッカー計画の詳細FSの実施も含まれている。
計画では、エチレン能力100万トンで、HDPE、LLDPE、PP(増設)、MEG等を建設する。
 

インドの既存エチレンセンターは4つの州にある。

会社名 場所 原料 能力
(千トン)
GUJARAT Indian Petrochemicals (IPCL) Vadodara Naphtha   130
Reliance(RIL) Hazira Naphtha/ NGL   750
Indian Petrochemicals (IPCL) Gandhar Gas   300
MAHARASTRA OSWAL Agro Mumbai Naphtha    23
National Organic Chemical (NOCIL) Thane-Belapur Naphtha    63
Indian Petrochemicals (IPCL) Nagothane Gas   400
UTTER PRADESH Gas Authority of India (GAIL) Auraiya Gas   300
WEST BENGAL Haldia Petrochemicals Haldia Naphtha   466
合計  2,432

Indiamap_2  

今回は初めて北インドのハリアナ州に建設される。

またGAILは先日、インド北東部でブータンと国境を接しているアッサム州でのガスクラッカー計画を発表した。
GAILが70%、Oil India、Numaligarh Refinery、州政府がそれぞれ10%ずつ出資のJVを設立し、ガスとナフサを原料に、エチレン220千トン、プロピレン60千トン、HDPE/LLDPE220千トン、PP60千トンなどを生産する。

GAILは昨年秋に、中国陝西省の陝西華山化工との間で、同地の豊富な石炭を利用し、石炭ガス化によるポリオレフィンその他の製造のFSを行う覚書を締結した。最終的には製造と販売のJVを設立する。SINOPECがシェルの石炭ガス化技術を使ってアンモニアを製造しているが、GAILに対して石炭ガス化の技術面で協力する意向を示している。

 

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2006年6月 3日 (土)

湾岸諸国の石油化学ー4 オマーン

Oman Oman Oil Company (OOC) は1992年に政府100%出資で設立された。
PP計画と芳香族計画、EDC計画には韓国のLGが参加している。エチレンとPE計画にはダウが参加する。

Oman Polypropylene LLC

 立地:Sohar
 株主:Oman Oil  60%
    
Gulf Investment Corporation 20% 
     LG International Corp. 20%

 製品:PP 340千トン
 生産開始:2006
年3Q

 同社は最初、OOCが60%、LGが20%、ABB Lummus20%出資で計画されたが、Lummus が離脱してOOC80%となった。
 
2004年にOOCGulf Investment Corporation 20%分を譲渡した。
 
Gulf Investment Corporation 1983年に湾岸6カ国政府の均等出資で設立された民間事業促進のための会社。

Oman Aromatics

 立地:Sohar
 株主:Oman Oil Co. 60%
     Oman Refinery 20%
     LG International Corp. 20%  

 製品:Benzene 210千トン
     Paraxylene 810千トン

 原料供給:new Sohar oil refinery 74,260 b/d residue fluid catalytic cracker

 販売:LGは20%の引取権を持ち、アジアで販売する。
     残り80%はOOCが2005年にオランダの商社Vitol と設立したJV、
OOC-Vitol が販売する。


エチレン、PE計画Oman Petrochemical Industries Company (OPIC)

この計画は当初、BPとのJVとして計画された。エチレンとPE、各45万トンをSohar に建設しようというもので、BPが49%、OOCが11%出資し、残り40%は民間資本を集めるという案であったが、1999年にBPが原料が十分でないという理由で撤退した。

2004年7月にオマーン政府とダウは本計画のためのJV設立で合意した。

 立地:Sohar Fahoud
 株主:Dow 50%
     オマーン政府 25%
     オマーン石油 25%

 計画:エタンクラッカー、PE World-scale 3系列
     2009年完成予定


Oman Methanol Company L.L.C

 立地:Sohar
 株主:
Methanol Holdings (Trinidad) Limited
     MAN Ferrostaal AG (ドイツ)
    Oman Methanol Holding Company
 製品:メタノール 3,000トン/日
 販売先:全量 Vitol Holdings (オランダ)
 設計業務:東洋エンジニアリング
 稼動:2007年


EDC計画

 立地:Sohar
 株主
LG International 33.3%(当初案 40%
    
Oman Oil Co 33.3%(当初案 60%
     Iran NPC    33.3%

 製品:EDC 300千トン

     chloralkal 240千トン

 2004年にイランのNPCの参加が決まった。
 2008年稼動の予定。


肥料計画

Oman India Fertilizer Company Omifco
 
 立地:Sur
 株主:Oman Oil Company 50%
     Rashtriya Chemicals & Fertilizers (India)  25%
     Krishak Bharti Co-operative (India) 25%
 製品:Ammonia 1,750トン/日 x 2系列
     Urea   2,530トン/日 x 2系列

②Sohar International Urea and Chemical Industries

 立地:Sur
 株主:Sheikh Suhail Salem Bahwan

 製品:Ammonia 2,000トン/日
     Urea   3,500トン/日
 建設:
三菱重工業

③その他、Oman Oil とパキスタンのEngro Chemical とのJV、Oman Oil とインド政府、オマーン政府とのJV計画がある。

NPC/OCC JV

2005年にイランのNPCとオマーンのOCCは4つの新しいJV設立の覚書を締結した。NPCは上記の通り、EDC計画に参加している。

①メタノール 165万トン(イランAssaluyeh
②アンモニア
/尿素 107万トン(同上)
③PVC 40万トン(オマーン)
④EDC増設 20万トン(オマーン、上記PVC用)


青島麗東化学

Oman Oil 2005年に韓国のGSグループの中国子会社、青島麗東化学工業(Qingdao Lidong Chemical)の30%を取得した。
現在の出資はGSが60%、OOCが30%、Red Star Chemical Group が10%。

GSは2004年に旧LGから分離したもので、化学関連ではLG-Caltex(現在はGS-Caltex)がある。
青島麗東化学はパラキシレン 70万トン、ベンゼン 25万トン、トルエン 15万トン、ラフィネート 113千トンをもつ。

 

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2006年6月 2日 (金)

湾岸諸国の石油化学ー3 アラブ首長国連邦(UAE)

Uae

Abu Dhabi National Oil Company (ADNOC) は197111月に設立された。

 

Abu Dhabi Polymers Company Limited Borouge

 設立:1998
 立地:
Ruwais

 株主:Abu Dhabi National Oil CompanyADNOC60%
     Borealis   40%

 製品:エチレン       600千トン
     
HDPE/LLDPE    580千トン (当初 450千t)
     ブテン-1      
27千トン 

 新計画:エチレン   1,400千トン
      PE       
540千トン
      PP       
800千トン(400千トンx2)
      
2010年完成予定

なお、Borealis 1994年にノルウエーのStatoil とフィンランドのNeste の石化事業を統合して設立されたが、1997年にNesteが持分をオーストリアのOMVUAEIPICに売却した。IPICADNOC50%Abu Dhabi Investment AuthorityNational Bank of Abu DhabiのJVが50%出資した会社。
その後
2005年にStatoilも持分をOMVIPICに売却した。
この結果、現在の
Borealisの出資比率はOMV35%IPIC65%となっており、Borealisは実質的にADNOCの子会社である。 

Ruwais Fertilizer Industries (FERTIL)

 油田のlean gasの有効利用が目的

 設立:1980/10
 立地:Ruwais Industrial Zone
 株主:Abu Dhabi National Oil CompanyADNOC66.66%
     Total 33.34
 

 製品:アンモニア 1,050トン/
     尿素 
1,500トン/

     メラミン 
5万トン/年 (2006末完成)

 

新規計画 

 プロピレン/PP、VCM/PVC、リニアαオレフィン、芳香族等の検討が行われている。

 

海外進出

Borealis 上記の通り、Borealisは実質的にADNOCの子会社である。

同社の能力は以下の通り。(単位:千トン)

 は2007/1現在能力

  Austria Germany Italy  Belgium Finland Norway Sweden USA  Brazil
エチレン           330   225   625    
プロピレン         480   230    40   220    
PE   340→595   175     330   330   270   600    
PP   345→435   210→240     635   160   175      
Compounds    89→90     30   115         65   49
フェノール           130        


・Norwayのエチレン、プロピレンはNorsk Hydro とのJVのNoretyl の同社持分
・他にベルギーにデュポンとのJV、
Speciality Polymers Antwerp (PE 125)
・2004年にポルトガルの
Borealis Polimeros LdaRepsolに売却(エチレン350、プロピレン 180、LDPE 145、HDPE 130)

 

   

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2006年6月 1日 (木)

湾岸諸国の石油化学ー2 カタール

Qatarnorth カタールのNorth Gas Field1971年に発見された。単独の非随伴ガス としては世界で最大のもの。これを利用して多くの石化事業が行われており、新規計画も多い。
千代田化工建設が同国の超大型LNGプラントの多くを受注している。



石油化学の立地はMesaieedだが、新しいRas Laffanに新しいエチレンプラントが建設される。

The Qatar Petrochemical Company (QAPCO)

副生エタンガスの利用のために1974年に設立された。

 立地:Mesaieed,
 株主:
Qatar Petroleum(QP) 80%
     Elf Atochem 20%
     (当初 Elf Atochem 10%, Enichem 10% )

 製品:エチレン 525千トン(720千トンへ増設中)
     LDPE  360千トン 
     Sulphur  70千トン

 政府はQPの持株のうち20%分を民間に売却する計画。

 

QATAR VINYL

 設立:1997
 立地:
Mesaieed
 株主:
Qatar Petroleum  25.5%
     QAPCO  31.9% 
     Norsk Hydro  29.7%
     Elf Atochem  12.9%
    
 製品:カセイソーダ 336千トン
     EDC 外販用
198千トン
     VCM 279千トン

 

Q-Chem   

 立地:Mesaieed
 株主:Qatar Petroleum  51%
     Chevron Phillips Chemical 49%
 
 製品:エチレン 500千トン
     HDPE  450千トン
     ヘキセンー1 47千トン

 

Q-Chem II 

 立地:Mesaieed Q-Chem plant 隣接)
 
株主:Qatar Petroleum    51%
     Chevron Phillips Chemical  49%

 製品:HDPE  350千トン
    
Normal Alpha Olefins  345千トン
 稼動:200
8

 

Qatofin

 立地Mesaieed (QAPCO隣接)
 株主:
QAPCO  63%
     Qatar Petroleum 1%
     Atofina   36%     

 製品:LLDPE 450千トン
 稼動:2008

 

Ras Laffan Cracker Co.

 立地:Ras Laffan Industrial City
 株主:Q-Chem II   53.31%
     Qatofin    45.69%   
     Qatar Petroleum  1%

 製品:エチレン 1,300千トン

      エチレンパイプライン(120km)で Mesaieed へ輸送
       
Q-Chem II 向け 700千トン
        Qatofin向け 600千トン
 稼動:2008

 

ExxonMobil 計画 

 2005/5 MOU 締結  → 2006/10 基本契約書締結

 立地:Ras Laffan
 出資:Qatar PetroleumExxonMobil Chemical
 製品:エチレン 160万トン → 130万トン(2006/10/17 修正)

 

Qatar Fuel Additives Company (QAFAC)

 立地:Mesaieed
 株主:Qatar Petroleum (QP)  50%
     中国石油 (CPC:台湾)  20%
     李長栄化学工業 (台湾)  15%
     International Octane Limited (ドバイ) 15%


 製品:メタノール 832.5千トン
     MTBE   610 千トン

 

メタノール計画

 立地:Ras Laffan
 出資:Qatar Petroleum  51%
     PetroWorld (南ア)* 49%
      
*Petroleum Oil and Gas Corporation of South Africa 50%
       TransWorld Group of Companies 50%.
 製品:Fuel Gradeメタノール 12,00015,000 トン/日
 稼動:2008年

 

DME計画

 2003/6にLOI締結

 立地:Ras Laffan
 出資:Qatar Petroleum
     三菱ガス化学
     伊藤忠

 製品:DME 170万トン
 稼動:
2008

 ◎本件はQatar Petroleumのホームページに記載はあるが、同社や三菱ガス化学の発表は見当たらない。

ーーーー

5月31日までのバックナンバーを見易く整理しました。下記をご覧ください。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/zenpan-1.htm

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