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2006年5月20日 (土)

酢酸業界 

昭和電工は本年3月中旬から定修でエチレンを671千トンから695千トンへ、酢酸を100千トンから130千トンへ、酢酸ビニルを120千トンから175千トンへ増強を行った。
同社では「アジアでトップクラスの収益力を持つ、個性派コンビナートを目指してきたが、実現に一歩近づいたと思う」としている。同社はエチレンから直接酢酸を製造する製法を開発し、酢酸と酢酸エチルをコア事業の一つとしている。

酢酸の製法にはアセトアルデヒド法(エチレン→アセトアルデヒド→酢酸)とメタノール法(メタノールと一酸化炭素から酢酸を合成)があったが、昭和電工はアセトアルデヒドを経由せずエチレンを直接酸化する直接酸化法を開発し、1997年にプラントを建設した。
また酢酸エチルはこれまでアセトアルデヒドを経由して製造しているが、同社では
酢酸とエチレンから直接合成る画期的プロセスの開発に成功し、インドネシアにプラントを建設している。

日本の酢酸関連のメーカー相関図と各社の能力は添付の通り。
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/aa.htm

 

以下に各製品の状況をみる。

アセトアルデヒド:

昭和電工は大分(160千トン)と徳山(140千トン)にプラントをもつ。徳山のプラントは元は徳山石油化学で1962年に日本ガス化学 60%/昭和電工 40%で設立されたが、その後昭和電工100%となり、99年に吸収合併した。

日本アルデハイド(69千トン)は1966年に住友化学 60%、ダイセル 40%で設立された。ダイセル大竹の酢酸の製法転換により1981年に 1系列を停止した。現在は千葉酢酸エチル向けに出荷している。

協和発酵ケミカル(61千トン)は協和発酵のケミカルカンパニーが製造子会社である協和油化をと統合したもの。

三井化学は97年に休止している。

酢酸:

昭和電工は1997年に大分に直接酸化法プラント(100千トン、現在は130千トン)を新設し、2001年にアセトアルデヒド法酢酸を休止(のち酢酸エチルに転用)した。

昭電は2001年にBPのマレーシア子会社BP PETRONAS Acetyls (BP 70%) から、同社が新設したメタノール法400千トン設備の能力の約30%を供給保証契約に基づき長期安定的に引取ることで合意している。

ダイセル化学は新井工場のアセトアルデヒド法プラントは休止し、現在は大竹でBP法で36千トンの能力をもつ。
同社は1977年に三菱ガス化学等とのJVの
協同酢酸を設立し、ダイセル網干にメタノール法酢酸プラントを建設した。
途中で協和発酵が参加し、現在の出資は、

ダイセル 54%/三菱ガス化学 18%/電気化学 15%/協和発酵 8%/チッソ 5%で、能力は408千トンとなっている。

酢酸エチル:

昭和電工は旧徳山石油化学の150千トンをもつが、昭和電工 55%/協和発酵 45% で日本酢酸エチルを設立し、2001年に休止した大分のアセトアルデヒド法酢酸を転用し、2004年に100千トン設備をスタートさせている。
なお、
協和油化は日本酢酸エチルの稼動後、生産を休止した。

昭和電工は1997年にインドネシアにPT. Showa Esterindo Indonesia を設立し、同社が開発した酢酸エチル直接付加法により50千トン設備を建設した。
立地はメラク地区で、昭電が51%出資し、現地のCV Indo Chemical が30%、シンガポールのChin Leong (CLP) が5%、トーメンが14%出資している。

千葉酢酸エチルはダイセルの新井工場のプラント停止を受け、1981年にチッソ 55%/ダイセル 45%で設立、チッソ・五井の酢酸エチル設備を増強して操業開始した。原料アセトアルデヒドはダイセル出資の日本アルデハイドから供給を受けている。

なお、チッソは韓国 International Esters Corporation (BP/Korean Alcohols Industrial/ 住友商事のJV)に参加して酢酸エチルを輸入していたが、1996年末に同社から撤退した。

酢酸ビニル:

昭和電工は大分に120千トン(今回の増設で175千トン)のプラントをもつ。

日本合成化学は水島(180千トン)、電気化学は千葉(60千トン)、クラレ岡山(150千トン)にプラントをもつ。
なおクラレは1983年に中条工場の
天然ガス法酢ビ(86.4千トン)を休止している。

日本酢ビ・ポバール(堺、120千トン)は2005年3月に信越化学の100%子会社となったが、以下の経緯をたどった。
 1968年 信越酢酸ビニール設立(信越化学
51%/ユニチカ 49%)
 2003年 信越酢酸ビニールとユニチカケミカル(PVA生産)が統合して日本
酢ビ・ポバール(信越化学 50%/ユニチカ 50%)設立
 2005年 信越化学 100%

ポリビニルアルコール(PVA ポバール) 

クラレは岡山(96千トン)と中条(28.3千トン)にプラントをもつが、中条は酢ビの生産停止で特殊品が中心となっている。

日本合成化学は水島(40千トン)と熊本(30千トン)、電気化学は青海(28.8千トン)にプラントをもつ。

日本酢ビ・ポバールは信越化学100%子会社となったが、堺に旧ユニチカケミカルの工場の40千トンプラントをもつ。
  → その後、60千トンに増設。

日本合成化学とクラレは1996年10月、シンガポールに50/50JVのポバールアジアを設立した。Sakra島に能力40千トンのプラントを建設、それぞれが20千トンずつ引き取る。

クラレは2001年にクラリアント社のポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)事業を買収、Kuraray Specialities Europe GmbH を設立した。ドイツ・フランクフルトのPVA 50千トン、PVB 16千トンのプラントを手に入れたが、現在の能力はPVA 70千トン、PVB 20千トンとなっている。
なお、同社は2004年にはRutgers社から同社子会社のHT TroplastのPVBフィルム事業を買収している。
(2006/4/26 同社はPVBフィルムの能力増強を発表した。2007年6月完工で現状26千トンを34千トンとする)

ーーーー

海外勢では大手の2社がアジアで争っている。

BPはオレフィンや誘導品事業をInnoveneとして分離し、昨年末にIneosに売却したが、芳香族、PTAと並んで酢酸事業についてはコア事業として残しており、世界全体で200万トン以上の能力をもっている。

マレーシアではペトロナスとのJVのBP PETRONAS Acetyls Sdn Bhd (BP 70%)で 400千トンの能力をもつ。(上記のとおり昭電に30%を供給)
韓国では三星とのJVのSAMSUNG BP Chemicalsで420千トンの能力をもつ。
(BPと三星はPTAでもJV・Samsung Petrochemical Company をもつ。当初は三星50%、Amocoが35%、三井石油化学が15%出資であったが、その後三井が離脱し、現在はBPと三星が47.4%ずつ、Shinsegaeが5.2%出資となっている)

BPは中国では酢酸事業でSINOPECとの間で2つのJVをもっている。
一つは重慶のYangtze River Acetyls Company(通称YARACO)で、BPが51%、SINOPECが44%、重慶投資建設公社が5%を所有する。2005年末に15万トンの増設工事が完成し、35万トンとなった。一部は隣接の「SINOPEC 四川ビニロン工場」の20万トン酢ビモノマーのプラントに供給される。
昨年11月にBPとシノペックの酢酸製造JV、BP YPC Acetyls(南京)を設立した。BPが50%、SINOPEC子会社の揚子石化が50%出資し、50万トン設備を建設する。

セラニーズ南京で60万トンの酢酸の工場を建設中。原料のメタノールとCOはテキサコの石炭ガス化技術によりメタノールとCO(ともに30万トン)を建設中の惠生(南京)化学から供給を受ける。

中国の2004年の生産量は1,150千トンで輸入量は525千トンである。YARACOは既に150千トンを増設、両社の南京計画が合計1,100千トンのため、近い将来に大幅な供給過剰となる。

セラニーズはシンガポールのSakra島でも酢酸 500千トン、酢酸エステル 100千トン、VAM 200千トンを生産している。

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