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2006年5月 1日 (月)

水俣病50年

5月1日は水俣病が公式に確認されて丁度50年目である。

チッソ付属病院の細川院長が1956年4月、歩行障害や言語障害などを訴える5歳と2歳の姉妹を診察した。他にも同様の症状を訴える患者が多数発生していることが分かり、同年5月1日、水俣保健所に「原因不明の中枢神経症患者が多発している」と報告、この日が水俣病の公式確認の日となった。(公式確認以前でも、死んだ魚が水俣湾に浮いたり、ネコが狂ったような状態で死ぬことが確認されており、患者は公式確認の10年以上前から出ていたとされる。)

日本窒素肥料(現チッソ)が1908年に水俣工場の操業を開始、1932年にアセトアルデヒド(アセチレン法)の製造を開始して有機水銀を含む排水を水侯湾へ放出した。

1968年に水俣でのアセトアルデヒドの製造を中止している。
同社はアヴィサン法ポリプロとエチレン法アセトアルデヒドの起業化のため千葉進出を決定、1962/7にチッソ石油化学を設立した。
(丸善石油は当初、松山でのエチレンセンターを計画していたが、千葉計画への変更は当時のMITI吉田班長ーのち三菱油化社長ーのアドバイスとチッソの千葉進出が契機となった)

水俣病については50年を機に各新聞が特集を組んでいる。

ーーー
チッソは1973年の補償協定締結後に認定申請者が急増し、77年度には364億円の累積赤字を計上した。
そのため、熊本県が県債を発行してチッソに融資する金融支援が閣議了解された。
水俣湾のヘドロ立て替え県債、
95年の未認定患者への一時金支払いの貨し付けなど、公的債務は99年に1,257億円にまで増加した。

チッソの返済が困難となり、県の負担が問題になったため1999年6月、関係閣僚会議申合せ「平成12年度以降におけるチッソ㈱に対する支援措置」が提示された。
これに基づいてチッソは金融機関に支援を要請、2000年1月、
再生計画2003年度を最終年度とする中期経営計画)を発表した。

再生計画は以下の通り。
支援措置:

1.公的支援
・平成12年度下期以降、患者県債方式は廃止し、
チッソは経常利益から患者への補償金を優先的に支払っていく。
・既往公的債務は、チッソが経常利益から患者補償金を支払った後、 可能な範囲で県への貸付金返済を行う。
・水俣病問題解決支援財団は、チッソに対する一時金貸付金及びその利息のうち85%相当額を免除する。
 (約317億円の融資のうち85%相当額、
約270億円について免除
・経済の急激な変動等によるチッソのー時的な収益変動に対して、補償金支払不足額のセーフティ・ネットを講ずる。

2.関係金融機関支援
・今後のチッソ及び同社子会社の事業の継続に直接必要な資金について引き続き支援する。
・現在チッソに実施している貸付金元本の返済猶予及び保証を平成15年3月末日まで継続する。
・平成12年3月末日に、チッソに対する既往の棚上利息及び棚上保証料を免除し、平成12/4/1~15/3/末の間、新規に発生する棚上利息及び棚上保証料を免除する。
 (棚上利息及び棚上保証料累計額は
約356億円、その全額について免除、うちメインバンクの興銀は173.63億円

再生計画:
1)
事業戦略【選択と集中】
 ○戦略強化事業→機能材料部門の拡大強化
  ・液晶および周辺材料 ・天然系食品保存料
  ・有機珪素化合物 ・電子部品 
  ・その他バイオ製品 ・環境関連事業
 ○収益安定事業→既存事業の特殊化、差別化
  ・ポリプロピレン ・熱接着性複合繊維 
  ・被覆肥料 ・有機化学品
 ○不採算事業→抜本措置を講ずる。
  ・塩化ビニール ・グアニジン系難燃剤 
  ・中間膜用特殊可塑剤
  ・肥料原料

2)合理化策
 ○人員のスリム化
  ・平成10年度末 2,151人
    一平成15年度末 1,900人
 ○固定経費の削減
 ○生産コスト低減の強化
 ○物流コスト削減

3)経営の効率化等
 ○役員報酬カットの増大
 ○取締役人数を半数程度に削減
 ○執行役員制度導入
 ○組織、業務の徹底的な見直し

選択と集中による具体的処理

1)塩ビ樹脂の商権譲渡
 2000/4/1に塩ビ樹脂の商権を鐘淵化学工業に譲渡
 ・2000/5 五井のPVC工場停止
 ・2000/7 水俣のPVC工場停止
 ・2003/3 水島のPVC工場停止(これまで鐘化から製造受託)

*日本窒素は1937年に水俣でPVC合成研究に着手、1941年に日本で初めて国産化(乳化重合)に成功、ニポリットの商標で市販を開始した。(爆撃で工場破壊、戦後再スタート)

2)フタル酸系可塑剤事業における合弁会社設立
 2003/4 
シージーエスター㈱営業開始
   三菱ガス化学 50%/チッソ 50%

ーーー

チッソは2000年3月決算で債務免除益 635億円を計上した。

その後の損益状況は以下の通り。 
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/blog/chisso-pl.htm

同社の20053末の資本金は78億円、未処理損失は1,478億円(資本勘定は-1,254億円)となっている。

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