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2006年5月12日 (金)

3月決算 注目企業ー大日本インキ化学

大日本インキ化学は永年赤字が続いた米国の合成樹脂事業子会社ライヒホールドを中間期末に売却した。

Dicop 同社の営業損益は順調に増加している。2006年3月決算でも、主要原料価格の高騰に対し、販売価格の是正を積極的に進め、特に工業材料での販売価格是正の効果があり、前期比2.8%増益の495億円となった。欧米の工業材料はライヒホールドを中間期末で売却し、赤字から黒字に転じた。

しかし特別利益、特別損失は毎年膨大で、当期純利益は変動している。Dicpl

特に、欧米で合成樹脂事業(不飽和ポリエステル、塗料用樹脂、エマルジョン、接着剤等)を行う子会社のライヒホールドの赤字が続き、その関係で大きな特別損失を出していた。(単位:億円)

  02/3 03/3 04/3 05/3 06/3
営 業 利 益  309  402  438  482  495
経 常 利 益   80  204  314  452  485
特 別 利 益  187   24   92  318  290
特 別 損 失  384   95  170  464  647
税引前純利益 -117  134  237  307  127
           
税 金 -168  100  158  188   58
           
少数株主利益   7   10   15   13   16
当期純利益   44   24   64  106   53

特別利益、特別損失の主なものは以下の通り。(単位:億円)

  02/3 03/3 04/3 05/3 06/3
特別利益 合計  187   24   92  318  290
           
資本償還益          261
固定資産売却益   88    2    6    4   10
事業売却益   78       69   4
匿名組合投資利益   13        
退職給付債務減少益        234  
厚生年金基金
代行部分返上益
      66    
           
特別損失 合計  384   95  170  464  647
           
事業売却損          542
固定資産減損損失           30
営業権減損損失  146      196  
関係会社リストラ費用   65   61   77   50   61
事業損失引当金繰入額       40   26  
ゴルフ場事業関連損        137  
固定資産処分損  100   28   35   44   14
工場移転関連損   46   4      

2005/3までの特別損益の主なものは以下の通り。

事業売却益:02/3は米州のラテックス事業をダウ・ケミカル社に売却したもの、05/3はアグリケミカル事業を日本曹達に譲渡。

退職給付債務減少益:ポイント制キャッシュバランスプラン型の新しい退職金・年金制度に移行

営業権減損損失はライヒホールド、リストラ費用は同社を含む海外関係会社中心。

ゴルフ場事業関連損は関係会社の天ヶ代ゴルフ倶楽部。

2002/3の税金のマイナスはライヒホールドの株式について単独決算で609億円の評価損を計上したことにより、税効果額約 256億円が連結決算上では税金費用のマイナスとなったもの。 
ーーー 

2006年3月期でライヒホールドを売却し542億円の特別損失を出した。他に固定資産減損損失は、売却前にライヒホールド本社ビルの評価減をしたもの。

1987年にライヒホールドグループを買収して以来、欧米において合成樹脂事業を展開してきたが、近年業績不振が継続しているため、事業譲渡を中心に抜本的なリストラクチャリング策の検討を進めてきた。
商権の散逸を防止し損失を最小に抑えるためには、MBO方式により現経営陣に売却することが最善の策であるとの結論に至った。

なお同じ期の特別利益の資本償還益は米国の100%出資子会社サンケミカルとイーストマン・コダックとの折半出資の合弁会社コダックポリクロームグラフィックス(感光性アルミ版および製版用フィルムを中心とした印刷資材事業)の持分ををKodakに売却したもの。

同社ではライヒホールドの売却により、今後は安定した利益を予想している。(単位:億円)

  06/3実 07/3 08/3 09/3
営業損益  495  510  560  660
当期損益   53  200  260  310

 

大日本インキ化学は1987年にライヒホールドを買収して以来、欧米の多くの事業を買収してきた。
主な製品は、コンポジット(不飽和ポリエステル)、コーティング(塗料用樹脂)、エマルジョン(ラテックス)、接着剤である。

1927 Henry Reichholdが設立
1985 Swift Adhesives を買収
1987 DICがReichholdを買収
1987 Koppers のpolyester resin 事業を買収
1989 Spencer Kellog の coating resin 事業を買収
1995 Ashland Canadian の coatings 事業を買収
1995 Celanese Mexican の resin 事業を買収
1995 Reichhold Europe 設立
1995 Heitz Alsacol (France) の adhesive 事業を買収
1996 Costenaro SpA (Italy) の adhesives and resins 事業を買収
1996 Resana S/A (Brazil) のresins and polymer 事業を買収
1997 Lyons Coatings (Franklin, MA) を買収
1997 Jotun Polymer (Europe/Asia & Middle East)を買収
1998 社名をReichhold Chemicals, Inc.から Reichhold, Inc.に改称
1999 Czech Republic (JV) (Spolchemie)を買収
2000 Fibercenter Ltda. (Brazil)を買収
2001 Dow-Reichhold Synthetic Latex JV 設立
2002 接着剤事業 Swift Adhesives Ltd.(英)、
Swift Adhesifs S.A.(仏)他を売却
2005 Brazilian Resin Manufacturer IBRを買収
2005 MBO 方式による売却

 

大日本インキ化学では、1987年に印刷インキ、顔料、印刷材料の製造・販売のSun Chemical Group を買収したが、その後多くの事業を買収している。

1929 Morrill Co.が他の4つのインキ会社と統合しGeneral Printing Ink (GPI)を設立
1935 GPI が Sun Chemical and Colors of Harrsion, NJ を買収
1945 GPI が Sun Chemical と改称
1980 Sun がAmerican Cyanamidからphthalo pigment business を買収
1987 DICがSun を買収
1991 Sun がBASF Packaging and Commercial のインキ事業を買収
1992 Sun がデンマークの KVKを買収、欧州進出
1993 Sun が United States Printing Ink (known as US Ink)を買収
1994 Sun が Moscow Printing Inksを買収
1996 Sun が Zeneca Specialty Inksを買収、
北米のpackaging inks department強化
1997 Sun がEastman Kodak との 50/50 jv
Kodak Polychrome Graphics設立
  
2005/1 Sunが持分をKodakに売却(上記)
1999 Sun がトタルフィナから インキ部門Coates Lorilleuzを買収
 
 コーツ・ブラザース(米国)、コーツ・ブラザース(英国)、
  コーツ・スクリーン・インクス(ドイツ)他4社
  及びその関係会社 計約75社(約40ヵ国)
2003 Sun が Bayerの high performance organic pigment businessを買収
2004 Sun がトルコのCBS Holdingの印刷インキ事業CBS Printasの資産を買収

 

決算短信:    
  
http://www.dic.co.jp/ir/finance/2006/20060511_s_01.pdf

決算説明資料:
  
http://www.dic.co.jp/ir/finance/2006/20060511_s_02.pdf

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