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2006年3月 4日 (土)

ハイテク材料バブル説

2006年2月21日の記事で「中国バブル説」を書いた。

最近の日本の化学企業の好況を支えるのは、中国需要ナフサ高と、デジタル家電素材を中心としたハイテク材料需要である。
(ナフサ高はコストアップにはなるが、中国の需要の増大で輸出が増えたのに加え、輸出価格が上昇した結果、国内の需給逼迫と相まって、国内での値上げが可能となり、採算向上に役立っている。)

日本の化学各社は1990年代後半の損益悪化の結果、2000年頃から「選択と集中」政策をとり、ハイテク材料への投資を拡大した。
デジタル家電等が好調なため、この方針は好結果を生んだ。

添付資料は各社のセグメント別連結営業損益の推移である。石化製品とともに、エレクトロニクス、機能材料、多角化事業、電子・情報、電子材料、情報電子化学、機能商品、情報通信機器というようなセグメントの営業損益が増えている。
JSRなどは図のように合成ゴムの損益はほんの一部となっている。(クリックしてください)Jsr
JSRの多角化事業:
半導体製造用材料、フラットパネルディスプレイ用材料、光ファイバー用コーティング材料、耐熱透明樹脂及び加工品、建築外壁材料、化成品及び化学品類、回路検査治具等機器、包装資材、ポリマー等製造技術、健康食品等食品類、医薬品、その他)


しかしながら、ハイテク材料は以下の問題を内包している。

・化学以外の他の業界からも殺到するため、過当競争となる。

 (1980年代後半に光ディスク等の記録メディアに各社が殺到した。)

・需要分野の進展が急で、新製品・新製法の開発により折角投資した材料の需要が急になくなる可能性がある。

 (薄型テレビでは液晶プラズマが争っているが、キャノン/東芝がSED方式を準備している。画質はブラウン管並みに明るく、高コントラストで、原理上は液晶、プラズマより低消費電力とされる。)

 (記憶は定かでないが、3Mはこれを避けるため、需要家に研究者を派遣し、常に最終製品の動きをみているとのこと。)

・供給先が競争に敗れ撤退する可能性(他社に供給できればよいが・・・)

・新製法等での競合材料の出現

・需要家自体が材料分野に進出する可能性

・需要自体がバブルである可能性
  (光ファイバーの例)

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2/24の日本経済新聞に企業研究で古河電工が取り上げられている。タイトルは 「さらば『光の巨人』」。

1999年にカナダの光受動部品子会社が米国の光発光部品製造販売会社「ユニフェイズ社」と合併して光通信システムのトップメーカー「JDS ユニフェイズ」となり、古河電工は筆頭株主となった。その後の光ファイバーブームで株価は上昇、一部株式を買収したが、株の含み益は1兆5千億円になった。
古河電工はWDMシステム(光多重伝送システム)のトップメーカーを目指し、「WDMに経営資源のほとんどを集中」した。また2001年には
米国ルーセント・テクノロジーの光ファイバ・ケーブル部門を23億ドル(当初27.5億ドル)で買収し、光ケーブルを OFS BrightWave、光ファイバーをOFS Fitel とした。

しかし直後に北米の通信不況の直撃で事態は一変、JDS ユニフェイズの含み益はゼロとなり、OFS社は、買収後2005年12月期まで4期連続で営業赤字を計上し、債務超過が続く。古河電工の連結当期損益は次のようになっている。

 2001/3 +1,674億円
 2002/3  -  34
 2003/3 -1,140
 2004/3 -1,401
 2005/3 + 158

2005/3は固定資産・棚卸資産処分損、退職金等で特別損失 377億円、投資有価証券および不動産の売却等により特別利益 546億円)

現在、同社は「浮沈の激しいIT(情報技術)分野で一発長打を狙うのではなく、軽金属など素材関連を軸に主力5部門で着実に利益を稼ぐ企業へ変貌しつつある。」

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デジタル家電もバブルでなければよいが。

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