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2006年3月 7日 (火)

ICIの抜本的構造改革

前回、欧米の医薬品会社の構造改革について書いたが、ICIの構造改革はもっと凄い。主要事業の石油化学や無機化学事業をほとんど全て売却し、ユニリーバ社から買収した特殊化学品を中心とした会社に変えてしまったのだ。

ICIは1926年に Brunner Mond (アルカリ製品)、British Dyestuffs(染料・顔料など)、Nobel Industries(火薬類)、United Alkali(アルカリ製品)の4社が企業合同してできた会社で1930年代にMMAやポリエチレンを世界で初めて販売した。

日本の石油化学の初期にはほとんどのコンビナートでポリエチレンが中心となっており、「ICIのポリエチレン」が技術導入の目標であった。
(ICIから直接導入したのは住友化学だけだが、三菱油化のBASFはICI特許ベース、日東ユニカーのUCC、三井石化のデュポンは第二次大戦中に技術を守るための戦時特例法に基づき、ICIが技術供与したもの。他社は未完成の技術や中低圧法を導入したが、なかには「ICI品のようなフィルムができない」としてライセンサーにクレームをつけた会社もあるという)

ICIは1982年にそのLDPE工場をBPに売却、1986年にPVC事業をEnichemのPVC事業と統合してEVCとした(EVCはその後 Ineosが買収)。
1993年には医薬・農薬事業を分離独立させ、Zenecaとした。(1999年、スエーデンのAstraと合併してAstraZenecaとなる)
また、同年、DuPontとの事業交換で、ナイロン事業をDuPontに渡し、DuPontのMMA(両社のJVを含む)を取得している。

ここまでの動きは他社と余り変わりはない。

1997年に同社は事業を、化学品のなかでも付加価値が高く、投下資本が少なく、景気変動の影響が少なく、研究開発により重点を置いた事業に急速に転換することを決めた。

1997年7月、ICIは英蘭系Unileverの特殊化学品4社を買収した。
National Starch社(工業用接着剤、レジン、産業用でんぷん)
・Quest社(香料、乳化剤、芳香剤)
・Uniqema社(脂肪酸、グリセリン)
・Crosfield社(シリ
カ、ケイ酸塩、ゼオライト) (のちに売却)

同時に同社は既存事業を順次分離・売却していった。主なものは以下の通り。
ICIオーストラリア社を分離して上場、Oricaと改称
・ポリエステル事業をDuPontに売却
・酸化チタン、ポリウレタン、芳香族、オレフィン事業をHuntsmanに売却
・欧米の火薬事業をOricaに売却
・肥料事業をTerraに売却
・メチルアミン事業をAir Productsに売却
・フッ素事業を旭硝子に売却
・アクリル事業をLuciteとIneosに売却
・塩素化学品事業とCrossfield(Unileverから購入)をIneosに売却
・触媒事業をJohnson Mattheyに売却

ICIはスペシャリティ化学品を中心とした「新生ICI」に生まれ変わった。
現在、同社は次の4事業部門から成っている。そのうち3つは1997年にUnileverから購入した事業が中心となっている。

National Starch、
・Quest、
・機能性化学品(Uniqema)
・塗料

ICIの変遷 添付Hensen6_5

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