« プラスチック100周年 | トップページ | 中国の反ダンピング法の特例 »

2006年2月16日 (木)

独禁法改正

(本件関連のデータは
 
http://kaznak.web.infoseek.co.jp/japan/ftc.htm

改正独占禁止法が1月4日施行された。

独禁法の抜本改正は1977年以来であるが、今回の改正のポイントは以下の通り。
1)課徴金の引き上げ
製造業で大企業の場合、製品売上高の10%(従来は6%)

なお、再犯企業(過去10年以内に違反があった企業)は5割増 

2)減免制度
公取委が立ち入り検査をする前に、
最初に申し出た企業は課徴金を全額免除、
2番目は課徴金額の50%割引(製造業大企業の場合5%に)、
3番目は30%割引(同上 7%)

なお、立ち入り検査前に最初に申告した業者・個人に限って、刑事告発しない。

3)刑事告発のために、公取委が裁判所の令状を持って強制的に立ち入り検査することが可能に。

減免制度の導入により、米国やEUとベースが揃うこととなった。但し、米国やEUには司法取引の制度があり、柔軟に運用されているが、日本の場合はルールがきっちり決められており、透明性が高いという特徴がある。
また欧米では「omnibus question」という制度があり、当該案件とは別の違反事案を明らかにすれば司法取引で恩典を与えられるが、日本にはこの制度はない。

カルテルに加担した仲間を裏切って自社が助かるという「減免制度」 が日本で機能すれであろうか?

日本ではこれまでは調査に協力しても課徴金は同じであったが、減免制度の導入により、変わってくる可能性は高い。
実際には既に欧米で日本の企業がこの適用を受けている。
多くの企業が摘発されているが、ほとんど全ての企業が調査に協力し、司法取引で罰金の減免を受けている。

藤沢薬品はグルコン酸ナトリウムで米国及びEUで摘発されたが、EUでは最初にカルテルの決定的証拠を提出したとして80%という最高の減免を受けている。

武田薬品はビタミン剤カルテルで摘発を受けたが、omnibus question で調味料のカルテルについて供述した結果、調味料カルテルでは免責、ビタミン剤カルテルでも法人としての罰金のみで、社員・役員については免責された。

防カビ剤のソルビン酸価格カルテルではダイセル、上野製薬、日本合成の3社が米国及びEUで罰金を支払い、米国では各社の役員が起訴され、ダイセルの担当者が実際に服役するという事態になったが、詳細情報を当局に提出したチッソは全て免責されている。
なお、調査開始の発端は、本件に関係していた商社の米国人社員が欧州の会社に移り、他の事件にかかわって、omnibus questionで本件の存在を明らかにしたことといわれている。

因みに米国で個人が起訴された場合、日本在住であれば米国から見ると国外逃亡で時効中断となる。米国はもちろん、旧英連邦に入国しても、犯罪人引渡し条約で米国に引き渡される。
但し日本の場合は1980年の条約で、両国でいずれも処罰の対象となり両国の法律で死刑、無期懲役、1年以上の拘禁刑に当たる罪の場合は引渡しが可能となっているが、独禁法違反の場合には日本政府は該当せずとし、引渡しは行われない。
これまで日本人で起訴されたのは役員クラスだけで、すべて時効中断となっている。ダイセルの場合、チッソの提出した詳細情報のために若い担当者が起訴されることとなったが、海外に行けないのでは仕事にならないため、服役を選んだとみられる。
米国司法省は、独禁法を有効に施行するという司法省の能力を示すものとして、「日本人で最初に服役」と誇らしげにこれを発表している。
http://www.usdoj.gov/opa/pr/2004/August/04_at_543.htm

3ヶ月の服役の後、最近欧州子会社の代表となった。米国にも子会社があり、今や堂々と米国にも行けるようになった模様だ。

なお、チッソ(と日本合成)は事件後、本事業から撤退している。

|

« プラスチック100周年 | トップページ | 中国の反ダンピング法の特例 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プラスチック100周年 | トップページ | 中国の反ダンピング法の特例 »