2009年7月 6日 (月)

合成ゴム100年

本ブログは2006年2月15日に始まった。

第1号のタイトルは「プラスチック100周年」であった。

「来年2007年はプラスチックが初めて誕生してから100周年に当たる。
1907年、ベルギー系アメリカ人のベークランド博士がフェノール樹脂(商品名:ベークライト)を開発した。・・・・」

本年は「合成ゴム100周年」である。

バイエル(当時の社名はElberfelder Farbenfabriken vormals Friedrich Bayer & Co.)のFritz Hofmann が1909年9月12日、「合成ゴム製造過程」に関する特許第250690号を取得した。

天然ゴムは10万~100万のイソプレン分子からなる付加重合体(cis-1,4-ポリイソプレン)であることは1905年に解明されたが、誰も重合することが出来なかった。

Hofmann isoprene の代わりに methyl-isoprene を使用した。

彼は原料をスズ製容器にいれ、熱して、待った(時には数ヶ月も)。温度により軟らかさは異なったが、常に弾力性があった。
最初の合成ゴム(メチルゴム)である。

Continental Tireは、早くも1910年に、これを使った最初の自動車用タイヤの生産を始めた。

Hofmann1866年にWeimarの近くで生まれた。薬学と化学を勉強し、2年間大学で教えた後、1897年にBayerに入社した。
1956年に90歳で死亡。

その後の研究で、ナトリウムを加えることで速く、効率的に生産できることが分かった。

Hoffmanの後継者は1920年にブタジエンとナトリウムから別の合成ゴムの製造に成功した。このブタジエンゴムは(Butadien + Na から) Buna と名付けられた。

その後、Walter Bock Eduard Tschunkurがブタジエンとスチレンからスチレン・ブタジエンゴム Buna S を開発、19294月に特許を取得した。

更にEduard TschunkurHelmut KleinerErich Konrad がニトリルゴム Buna N (その後Perbunan に変更)を開発、19304月に特許を取得した。

その後、ナイロンの発明者デュポンのWallace Carothers がクロロプレンゴムを、IG Farben (1925年にBayer, BASF, Hoechst, Agfa 等8社が統合)のOtto Bayer がウレタンゴムを、GE社がシリコーンゴムを、戦前から戦中にかけて次々に開発していった。
第二次大戦後は1954年チーグラー・ナッタ触媒によって天然ゴムと同一構造のシスポリイソプレンの合成天然ゴム(イソプレンゴム)が完成した。
その後、EPDMやTPE(熱可塑性エラストマー)が開発されて現在に至っている。

ーーー

Bayerは2003年末までに、Bayer CropScienceBayer HealthcareBayer PolymersBayer Chemicalsの4社と、サービス会社3社の合計 7社を分社化したが、2004年7月にBayer Chemicalsの大半とBayer Polymersの一部を新会社 Lanxess として分離し、2005年に上場した。

RubberやRubber chemicals 事業はLanxess に移された。

2006/9/6 Bayer と Lanxess 

Lanxess は合成ゴムの世界トップメーカーである。(単位:千トン)

会社名 能力 製品
Lanxess 独、仏、ベルギー、米、加  1,043 ESBR, BR, EPDM, IIR, NBR, CR, SSBR
Goodyear   775 SSBR, BR, IR, ESBR
Kumho   713 ESBR, BR, NBR, SSBR, SBC
ExxonMobil 米、仏、英   592 EPDM, IIR
Polimeri 伊、英   553 EPDM, NBR, ESBR, BR, SSBR, SBC, SSBR
JSR   453 BR, IR, EPDM, NBR, SBC, ESBR
Petroflex ブラジル   401 SSBR, BR, NBR, ESBR, SBC
日本ゼオン 日、米、英   363 SBR, BR, IR, NBR 

 資料:日本ゼオン ファクトブック 2009 

Lanxess は2007年にブラジルのBraskem Unipar などからブラジルの合成ゴムメーカー Petroflex の株式の70%を購入、2008年に残りの株式についてTOBを行い、100%を買収した。

Lanxessは2008年2月、シンガポールに年産10万トンのブチルゴム生産拠点を新設すると発表した。2010年稼動の予定であった。

しかし、昨年12月にこれを2012年に延期したが、本年6月29日、需要の減少を受け、2014年稼動に再延期すると発表した。
この期間を利用し、製造技術の更なる改良を行う。

同社では計画の延期はあるが、アジア重視は変わらないとしており、将来的にブチルゴム事業の世界本部をシンガポールに置く方向でシンガポール開発庁と交渉をしている。

また同社は最近、韓国No.1のハンコックタイヤとの間でブチルゴムの5年間の供給契約を結んだ。SBRとポリブタジエンゴムに関しては既に2007年に同社と長期供給契約を締結している。


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2009年7月 4日 (土)

公取委が見解 「バイオ燃料についての石油連盟の姿勢は独禁法上問題」

これまで何度か、日本のバイオガソリンの動きについて述べてきた。

1) バイオエタノール・ジャパン・関西が環境省の補助を受けて建設した廃木材からエタノールを製造する世界で初めての商業プラントが竣工した。大都市でのエタノール3%混合ガソリン(E3)大規模供給実証のためのエタノール供給元となる。

日本エタノール販売とペトロブラスの50/50JVの日伯エタノール(Brazil-Japan Ethanol)は3月初めから東京でエタノール3%混合ガソリン(E3)の試験販売を開始。

   
2) 他方、石油連盟は「バイオマス燃料供給有限責任事業組合」を設立、バイオエタノールを石油系ガスと合成し、バイオETBE としてガソリンに混合して利用する。

新日本石油は6月1日、関東1都6県のガソリンスタンド(計861カ所)で、バイオエタノールを混ぜたバイオガソリンの販売を開始した。
コスモ石油も5
13日から埼玉、千葉、東京、神奈川の9カ所のセルフスタンドで販売を開始している。

石油連盟では(1) 大気環境への悪影響、(2) 車の安全性や実用性能から、バイオエタノールをそのままガソリンに混入するのではなく、バイオETBE のガソリン混合を主張している。

2009/3/5  日本のバイオガソリンの動き-2 

2009/6/4 バイオガソリン販売開始

2009/3/5のブログでは以下の通り述べた。

政府(経産省、環境省)と石油業界の対立が続き、別々の方向で動いているのは問題で、普及促進のためには早急に方向をまとめる必要がある。

正当な理由なしに直接添加を妨げた場合、独禁法上は問題にならないのだろうか。

ーーー

公正取引委員会は7月3日、「ガソリンにおけるバイオマス由来燃料の利用について」という発表を行った。

2008年12月から2009年3月にかけて、ガソリンにおけるバイオマス由来燃料の利用の実態について、関連事業者及び関係省庁に対して行ったヒアリング等による調査に基づく。

調査の結果、公取委では直接混合方式ETBE方式が、市場における競争を通じて評価・選択される環境を整備するという観点から、以下の対応が必要であると考えた。

1)独占禁止法上の考え方の明確化(対石油元売会社)

石油連盟が各石油元売会社に対して直接混合方式による製品の製造又は販売に協力しないようにさせること及び各石油元売会社が共同して直接混合方式による製品の製造又は販売に協力しないことを決定することは、独占禁止法に違反する行為である。

さらに、石油連盟が二つの混合方式の一方についてだけ、否定的な見解を表明し続けることは、石油連盟の会員である各石油元売会社の間に、一方の混合方式を採用しないとする共通の認識を醸成するおそれもある。

石油元売会社の行為は、不当に、その取引の相手方に対して、競争者と取引しない条件を付して取引するものであって、競争者の取引の機会を減少させるおそれがある行為であり、不公正な取引方法第11項等に該当し、独占禁止法上問題となるおそれがある。

石油元売会社が、その系列特約店等に対して、他社製品を当該石油元売会社の商標を付さないで販売することを禁止する行為は、独占禁止法第21条(知的財産権の行使行為に対する適用除外)の問題ではない。

少なくとも、系列特約店等が一部の給油機を直接混合方式の製品専用のものとして、給油機を地下タンクとともに分け、当該給油機から給油する商品がサインポール の石油元売会社の製品でないことを明確に認識できるように表示してこれを販売するのであれば、その販売を禁止する行為は独占禁止法に違反しないとすることはできない。

2)関係省庁において必要な対応

独占禁止法違反行為が行われないような環境を整備するためにも、また、2つの混合方式の双方の促進を確保するためにも、関係省庁において次のような措置を採ることが必要である。

環境省及び経済産業省は、今後のガソリンにおけるバイオマス由来燃料の普及について、連携協力して必要な情報提供を行うこと。
   
環境省は、標準的な仕様のレギュラーガソリンを直接混合方式に用いることについて、環境に与える影響との比較考量を十分に行いつつ、蒸気圧に係る基準について、必要な見直しの可否を検討すること。
   
経済産業省は、バイオエタノールの混合方式について、ETBE方式、直接混合方式の双方について制度的な手当てがなされており、事業者が自由な選択を行うことができる旨を石油連盟及び各石油元売会社に周知すること。

 


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2009年7月 3日 (金)

水俣病救済法案、衆院を通過、来週成立の見通し

水俣病の未認定患者を救済するための特別措置法案が7月3日午後の衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新の各党の賛成多数で可決され、参院に送られた。チッソ分社化を容認しない共産、社民の両党は反対した。
来週中に参院でも可決、成立する見通し。

与党と民主党は衆院、参院にそれぞれ別の法案を出していたが、2日の修正協議で特措法案に合意し、3日の衆院環境委員会に委員長提案の形で再提出した。

法案の主な内容は以下の通り。 2009/5/4 水俣病 53年 参照

  与党案 民主党案 2009/7/2 自民・公明/民主 合意、7/3 衆院可決
対象疾病 1)四肢末梢優位の感覚障害 1)四肢末梢優位又は全身性の触覚又は痛覚の感覚障害
2)口の周囲の触覚又は痛覚の感覚障害
3)舌の二点識別覚の障害
4)求心性視野狭窄
5)大脳皮質障害による知的障害、精神障害又は運動障害
1)四肢末梢優位又は全身性の触覚又は痛覚の感覚障害
2)口の周囲の触覚又は痛覚の感覚障害
3)舌の二点識別覚の障害
4)求心性視野狭窄

5)全身性感覚障害

(胎児性水俣病患者に多い「大脳皮質障害による知能障害」は法案への明記を見送り)

救済を受けるには、国や原因企業を相手取った訴訟や、認定申請を取り下げることが条件。

診断 公的医療機関限定 主治医の診断を尊重 主治医の診断を活用
被害者給付金 150万円 300万円 別途協議
医療費等
 
療養費
療養手当:月額10,000円
医療費:
 自己負担分相当額
 療養手当:公健法の療養手当と同等額
 特別療養手当:月額10,000円
 
最終解決に向けた取組 公害健康被害補償法
 
地域指定等の解除
    
     ー
地域指定継続
事業再編計画
 事業譲渡(チッソ分社化)
「チッソが一時金支払いに同意するまで凍結」の条件を加え、容認
(チッソが一時金の支払いに同意するまで、環境相が分社化の前提となる事業再編計画を認可しない)

斉藤環境相は3日の閣議後記者会見で、別途協議されることになった一時金の額や救済対象となる症状の診断方法などについて、「(環境省として)関係議員や被害者団体と相談していく」と述べ、法案成立後に具体化を急ぐ考えを示した。

法案では民主党の要求で、「政府が住民の健康などに関する調査研究を実施する」ことが盛り込まれたが、事業の一環としての全戸調査は「考えていない」と述べた。

ーーー

1995年の村山内閣に続く「第2の政治決着」で、県内の患者団体からは「全員救済にならず、最終解決にはならない」と疑問や批判の声が上がった。

水俣病不知火患者会など患者団体やノーモア・ミナマタ国賠訴訟原告団など5団体は2日、「チッソが水俣病の加害責任から逃れることを容認し、被害者の大量切り捨てによる幕引きを行うものだ」とする「緊急声明」を発表し、抗議した。

日本共産党の志位和夫委員長は2日の記者会見で「加害企業の免罪になる内容であり、到底認められない」と強調した。

修正案は「チッソ分社化」の環境相認可について、同社が「一時金の支払いに同意するまで」と条件をつけましたが、多額の債務がある加害企業チッソの会社清算・消滅などによる責任逃れの歯止めにならないものです。

修正案は、与党案にあった「3年」という期限つき救済が「当分の間」とますます不透明になりました。法案は公害健康被害補償法にもとづく国の判断条件をみたさない被害者の救済を対象としています。手足や全身の感覚障害がある人や、口・舌の感覚障害・視野狭窄などの症状はメチル水銀が原因である場合が「救済」対象と、一部修正されました。与党は1995年の政治決着の2倍以上に広がるなどと説明していますが、救済される被害者の実数はまったく不透明で、すべての水俣病被害者の救済とはいえない内容です。支給する一時金の額は同法成立後に政令で示すとしています。

環境省の有識者会議の元委員で作家の柳田邦男氏らは記者会見で、チッソから事業部門を分社化すれば、将来、チッソ本体が清算されることになり、水俣病を発生・拡大させた国とチッソの責任をあいまいにするとして、法案から分社化を削除するよう求める声明を発表した。

また柳田氏は、今回の法案が一定の期限を設けることについて、恒久対策を求めた有識者会議の提言を無視していると指摘したうえで、「加害者が救済を永続的に行う仕組みを作るべきだ」と述べた。


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ダウ、石化事業のリストラを継続、藻からのバイオ燃料計画に投資

ダウは6月30日の取締役会で石化事業のリストラ計画を承認した。

今回のリストラ計画は、状況の変化に応じ、素早く積極的に製造体制を見直すというダウの方針に基づくものであるとともに、機能製品や先端材料分野に優先的に投資するという変身戦略にも合致するものとしている。

今回の設備停止で年間1億ドルの節約となる。(特別損失としては7億ドルを計上する)
ダウはRohm and Haas との合併で13億ドルのシナジー効果を出すとしている。

今回、下記の設備を停止する。

  立地 能力
エチレン Hahnville, Louisiana  409千トン
EO/EG Hahnville, Louisiana  385/330千トン
EDC/VCM Plaquemine, Louisiana  970/590千トン

同社では昨年、以下の設備の停止を発表している。

  立地 能力
EPDM Seadrift, Texas  
LDPE(The Poly 2 line) Freeport, Texas  100千トン
塩素化ポリエチレン Plaquemine, Louisiana  
Styrene monomer Freeport, Texas  

ーーー

ダウは6月29日、Algenol Biofuels, Inc.と共同で藻からバイオ燃料をつくるパイロットプラントを建設・運営すると発表した。

同社の Freeport, Texas に建設する。

Algenol の技術はCO2、海水、日光、非耕作地を使用してエタノールをつくるというもの。
ダウと、
National Renewable Energy LaboratoryGeorgia Institute of TechnologyMembrane Technology & Research, Inc. が技術や知見を提供する。

Algenol は藻類の細胞からエタノールを取り出す技術を開発した。藻類を乾燥・加圧してバイオディーゼル用の油を抽出するというコストのかかる工程を省略できる。

ハイブリッドの藻をシールした透明なプラスチック製の光バイオリアクターに入れ、 Direct to Ethanol(TM) 技術で日光とCO2と海水から低コストでエタノールを生産する。  光合成と天然の酵素の働きで糖分を直接エタノールに変換する。

コーンではエーカー当たり年間 400ガロンのエタノールが取れるが、Algenol 技術では6,000ガロンが取れるという。
2009年末にはこれを10,000ガロンにアップする計画で、将来は20,000ガロンまでアップする。

 


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2009年7月 2日 (木)

Lyondell のBasell 買収の裏話

Basell 20077月、 Lyondell の全株式を127億ドル(借入金込み 190億ドル)で買収することで合意し、LyondellBasell が誕生した。
148ドルでの買収で、45%のプレミアムとなっている。

しかし、世界経済の悪化により化学品の需要が減少、LyondellBasell 借入金負担に耐えられず、260億ドルの債務の整理のため、本年1Chapter 11 を申請した。

2009/1/7 LyondellBasellChapter 11 申請

この買収に直接関係する多くの人が大変なことになると指摘していたが、高収益と莫大な手数料に目がくらんで、これらの声に耳をかさなかったーーー。
New Yorkの破産裁判所での LyondellBasellChapter 11 の審議で、債権者が提出した資料で明らかになった。

関係者は、借入金100%での買収により統合会社は莫大な債務を負うこと、統合会社の損益予想は意識的に水増しされていることを懸念していた。しかし、統合会社の長期的な健全性よりも、取引が成立すれば得られる利益をより重視するトップにより、無視されたという。

ーーー

2006年4月にBasell の親会社の Access Industries Lyondell に対し12427ドル(10%のプレミアム)での買収提案をした。
しかし、
Lyondell は真面目に検討するには少なくとも20%のプレミアムが必要として拒否した。

Access の要請を受け、投資銀行のMerrill Lynch 28ドルという数字を出した。買収はよいタイミングだとしている。

しかし、Access内部では懸念が出た。
CEO Lincoln Benet Blavatnik 会長に対して、石油・石油化学事業が下降すれば(既にその可能性が出ていた)、合併会社の事業運営、借入金返済に支障が出る可能性があるとした。

しかし、Blavatnik はこれを無視し、8月には Access は正式に26.5028.50ドルでのオファを行った。Lyondell はこれを拒否した。

2007年初めにLyondell 株価は30ドルを超え、Blavatnik 3538ドルでの買収提案を行った。

Merrill Lynch38ドルでもやっていけるとの計画を出したが、Access 社内では買収に対する懸念と懐疑の声が再び出た。
資金がついてくるというだけで、莫大な負債を抱え込むのは長期的にまずいとしている。

しかしBlavatnik は、 Huntsmanや他の化学会社の買収失敗で、どうしてもLyondell を買収するとの強迫観念に取り付かれていたとされる。

同社の株価は更にアップし、Lyondell48ドルという株価を逆提案、Blavatnik は社内の反対を無視し、これを受け、717日に合併が発表された。

Lyondell2007年下期の利益予想も後押ししたが、後になって余りにも高すぎることが分かった。"Reverse engineering"手法(逆算手法)を使ったとされている。

合併は同年12月に行われたが、これにより Blavatnik3億ドル以上、Lyondell社長は56百万ドル以上を得たとされる。
裁判では、
Merrill や他の投資銀行が数億ドルの顧問料を得るために積極的に取引を推し進めたことを明らかにしている。


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2009年7月 1日 (水)

プラスチックの成形加工業の天馬、旧昭和プラスチック事業を買収

プラスチックの成形加工事業分野のリーディング企業として国内、海外に広く事業を展開している天馬株式会社は6月29日、株式会社アークの所有するタクミック・エスピーの発行済み株式全てを取得し、買収(子会社化)することを決めた。

同社は東アジア及び東南アジア地域は、中長期的には世界の成長センターとして今後大いに発展が期待できることから、これらの地域を重視している。
このため、①東アジア・東南アジア地域の生産拠点ネットワークの拡充、②海外での取引基盤の強化、③輸出向け製品のみならず国内向け製品の製造販売の拡大、等が喫緊の課題となっている。

タクミック・エスピーは、タイ、インドネシア、ベトナムの子会社を通じてプラスチック成形加工事業を行っており、双方にとり大きなシナジー効果が期待できる上、天馬にとっては一挙に生産拠点ネットワークの拡大及び事業領域を広げることとなる。

タクミック・エスピーの海外事業を以下の通り。

インドネシア P.T. Showpla Indo 射出成形機 合計57台、熱硬化性射出成形機、塗装ライン、印刷ライン、組立ライン、等
ベトナム Showpla Vietnam 射出成形機 合計30台、ブロー成形機、塗装ライン、印刷ライン、等
タイ S.P.Evolution Thailand 射出成形機 合計44台塗装ライン、印刷ライン、組立ライン(10)、等

Showpla Vietnamには住友商事が15%出資している。

ーーー

天馬株式会社は1949年に太洋商事として創業したが、1954年にプラスチックへの特化を図り、天馬合成樹脂に社名変更した(1987年に天馬株式会社に変更)

1961年にプラスチック産業の飛躍的な発展による業容拡大にともない、埼玉県川口市に最新鋭工場を建設、その後、各地に工場を建設した。

1988年にグローバルな展開を目指す第一歩として英国スコットランドに子会社を設立した。
その後、1992年に中国における現地日系メーカー向け部品供給を目的に、広東省中山市に子会社を設立したのを皮切りに、上海市、深セン市などに子会社を設立している。

2007年にはベトナムのハノイ郊外に天馬ベトナムを設立している。

ーーー

今回買収したタクミック・エスピーは株式会社アークの100%子会社。

アークは1948年に荒木製作所として創業、木製品の製造を主とした。
現在は新製品開発に関するトータルサービスを主たる事業とし、工業デザインモデルの製造・販売、商品開発および企画・デザイン・設計、各種金型の設計・製造及び少ロット成形品の生産・販売などの事業を行っている。

アークは2003年にタクミック・エスピーをユニゾン・キャピタル・パートナーズから買収した。

ーーー

タクミック・エスピーの元は昭和プラスチックである。上記のインドネシア、ベトナム、タイの事業会社は昭和プラスチックが創業したもの。

1937年に筒中セルロイド(その後、筒中プラスチック)の加工部門が独立して設立されたが、日本で最初に社名に「プラスチック」を使用したものとされている。

筒中セルロイドは井、川両家が経営したため、この名が付けられた。  
筒中プラスチックは住友ベークライトの子会社であったが、2007年3月1日付で株式交換により同社の完全子会社となったうえで2007年7月に同社に合併した。

昭和プラスチックは日本のほか、インドネシア、ベトナム、タイなど海外12カ国19拠点に手を広げた。

日本拠点が保有するデザイン・設計・試作・金型起工等のノウハウと、海外拠点が保有する樹脂の成形・塗装・印刷・サブアセンブリーに至るまでのノウハウを武器に、製造工程の上流から下流までの技術・サービスを提供することで日系企業を中心に高い評価を得ていた。

海外統括会社のショープラ・アジアは1996年にシンガポール証券取引所に上場し、1997年には大阪証券取引所の外国部への上場第1号となり話題を呼んだ。

しかし、1998年にアジアでの金融不安をきっかけに財務が悪化、1998年に会社更生法を申請した。
金融機関の貸し渋りなどを受け、予定していたメキシコ工場の建設資金の調達が難しくなり、資金繰りに行き詰まった。

その後、同社の日本及び上記3カ国の事業はキョウデンが引き継いだ。
他の海外事業は売却された。 

2003年5月にユニゾン・キャピタルと経営陣グループが共同でマネジメントバイアウトを実施した。

共同でタクミック・エスピーを設立、これを通じてキョウデンから事業を買収した。
対象事業の日本拠点、海外生産拠点双方の人員・ノウハウを完全に引き継ぐことで、従来からの業務を中断することなく、企業価値向上を目指した。

同年、ユニゾン・キャピタルはタクミック・エスピーをアークに売却した。


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2009年6月30日 (火)

イランのMehr Petrochemical 完成

伊藤忠が出資するイランのMehr Petrochemical は、Assaluyeh地区Pars Special Economic Energy Zoneで230百万ドルを投じ、高密度ポリエチレン年産30万トンプラントを建設していたが、5月に試運転を開始、現在はフル稼働をしている。

6月25日、Mahmoud Ahmadinejad大統領、Gholam-Hossein Nozari 石油相が出席し、竣工式を行った。

日本企業が参加する石化事業としては過去24年間で初めてのもの。

イラン・ジャパン石油化学(IJPC)は1989年10月に精算で最終合意し、1990年2月に清算が完了した。

2006/3/28 イラン・ジャパン石油化学(IJPC)の歴史-2

Mehr Petrochemical はイランの国営石油会社(NPC)が40%、日本/タイの合弁投資会社  Alliance Petrochemical Investment (Singaore)が60%を出資している。
投資会社には伊藤忠が約20%、タイのCementhai Chemicals が約63%、タイのナショナルペトロケミカル(NPC)が約17%を出資している。
NPCはその後、TOCと合併してPTTケミカルとなっている。)

タイの2社は原料立地の観点からHDPE事業の立地を中近東に求め、伊藤忠の紹介でNPCと交渉を行ったもの。

2005年6月に三井造船と三井化学が共同で建設を受注した。

三井化学は高密度ポリエチレン製造技術(CX技術)を供与し、三井造船は製造プラントの基本設計、機材の調達及び製造プラントの建設指導を行い、イラン国内の大手建設会社Rehabilitation & Maintenance of Petrochemical (RAMPCO) とコンソーシアムを形成してRAMPCOにイラン国内の機材調達および製造プラント建設工事を担当させた。

Cementhai Chemicals のタイの3系列のHDPEプラントは、いずれも三井化学が技術をライセンスし、三井造船が納入している。

また、国際協力銀行は2005年8月、ドイツ銀行東京支店とスタンダードチャータード銀行東京支店との協調融資で、同プロジェクトに総額約5,900万ドルを限度とする貸付契約(バイヤーズ・クレジット)に調印している。

ーーー

2006年6にバンコクポスト紙は業界筋の情報として、米国がイランの核問題を理由に本計画の中止を求めていると報じた。
「サイアムセメントや伊藤忠が米国から計画中止の圧力をかけられており、計画が遅れている」とした。

伊藤忠は2005年の発表時に、「本事業に際し、昨今のイランを取り巻く状勢を鑑み、米国の専門家とも内容を慎重に検討し、本事業が大量破壊兵器やテロに繋がる可能性あるいは米国の法律(ILSA等)に抵触する可能性が無い事を検証しており、案件の透明性・健全性を確立致しました」としていた。

本計画には世銀グループMultilateral Investment guarantee Agency (MIGA)が保険を付与している。契約不履行による出資・融資リスクに対し15年間の保証で、タイ側には戦争や内紛のリスクもカバーしている。

2006/6/20 伊藤忠のイランHDPE計画に米国の圧力?

2005年の発表時に本プラントの完成および生産開始は2008年の予定としていたが、若干の遅れで実現した。

ーーー

式典で石油省副大臣は次のように述べた。

現在、150億ドルを投資した24の石油化学計画が建設中である。
第5次5カ年計画の完了時(2015年)には合計250億ドルを投資する46の新しい石油化学計画が完成する。

2004年度(2005/3終了)の石油化学製品の輸出は32億ドルであったが、2008年度には82億ドルに増えた。

本計画に続き、近いうちに Arya Sasol Petrochemical の竣工式が行われる。

これは「オレフィン No.9」と称されるもので、NPCと南アのSasol の50/50JVである。
Mehr Petrochemical
と同じく Pars Special Economic Zoneにあり、エチレンが140万トン、MDPE/HDPEが30万トン、LDPEが30万トンとなっている。

投資額は13.5億ユーロで、2002年に建設を開始した。

 


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2009年6月29日 (月)

中国の現状

日本の内需が大幅に下落している中で、中国向け輸出が好調で、日本の石化の操業度が上がっている。
中国の状況がどうなっているのか、調べてみた。

中国の貿易統計によれば、中国の輸出及び輸入は昨年10月までは前年比で20%前後で伸びていたが、11月に入り前年比マイナスとなり、本年に入ると前年比で20%程度のマイナスで推移している。5月の輸出は -26.4%と過去最大の減少となった。

輸出全体の各2割を占める米国及びEU向けが不振を続けているのが原因で、輸入の場合はこれに原油価格の下落が響いている。

輸出 輸入
11月 -2.2%  -17.9%
12 -2.8  -21.3
1 -17.5  -43.1
2 -25.7  -24.1
3 -17.1  -25.1
4 -22.6  -23.0
5月 -26.4  -25.2

しかし、中国の耐久財の生産は好調を続けている。

中国の自動車や家電の生産は1月こそ前年比マイナスとなったが、その後は前年を上回っている。

中国政府は早くも昨年11月に、2010年末までに総額4兆元(約57兆円)規模の投資を実施するとの緊急経済対策を発表した。

住宅、地方のインフラ、輸送、健康・教育、環境、産業(イノベーション、リストラの促進、ハイテク、サービス産業の開発支援)、四川大地震復興事業、所得の引き上げ、増値税の改革、ファイナンスと、多岐にわたる。

2008/11/12 中国、緊急経済対策に57兆円

さらに、中国国務院は本年に入り、国内の10産業について景気刺激策を順次発表した。

2009/2/25  中国政府、石油化学産業の景気刺激策を承認

中国政府は2007年末に農村市場の消費刺激策として「家電下郷」(農村部に家電を)制度を策定し、2008年1月に導入した。

特定の家電製品を購入する農村部の消費者に対し一律13%の補助金を出すという内容で、当初は3つの省でのみ行われ、対象商品はテレビ、洗濯機、冷蔵庫、携帯電話の4種類だけであった。

しかし、2009年2月1日以降は不況対策として、これにオートバイ、パソコン、温水器、エアコンを追加し、対象地域を全国の農村(対象 9億人)に拡大した。更に国務院が2月19日に発表した軽工業の景気刺激策の1つとして、電子レンジとIH 調理器が対象に加えられた。

また本年に入り、「汽車下郷」(農村部に自動車を)制度をスタートさせた。三輪自動車などを廃車とし、5万元(約70万円)以上の軽トラックや軽自動車に買い換える場合は5,000元を上限に、購入金額の10%を補助金として支給するという制度である。

本年5月には中国国務院は新たな消費刺激策として、自動車・家電の買い換え支援を決定した。
北京、上海、天津、江蘇、浙江、山東、広東、福州、長沙で、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコン、コンピュータの5品目の買い換え補助を試験展開する。家電買い換え補助に中央財政より20億元(約280億円)が投じられる。

「汽車下郷」に自動車買い替えが追加され、自動車買い換えの財政補助をこれまでの10億元(約140億円)から50億元(約700億円)まで枠を拡大した。

自動車や家電の生産の好調はこれらの内需拡大策が成功したもの。
但し、財政補助の額が少な過ぎるとの声もある。

人民日報は日本の家電の中国でのシェアが急落していると報じている。
日本の家電メーカーが中国市場でかかえる一番の問題は、中国の大型家電販売店に頼りすぎていることで、家電の農村普及という中国の政策をチャンスとして小都市や農村に販売代理店を見つけるなど、販売システムの多元化をはかることがカギになるとしている。

ーーー

中国社会科学院・都市発展環境研究センターの魏后凱副主任は6月15日に北京で行われたフォーラムで、中国の農村部と都市部の収入格差が実質 4-6倍前後になるとの見方を示した。2000年当時の収入差は2.79倍で、経済の格差は大幅に拡大していることが分かった。

輸出依存から内需依存に変わったというのではなく、輸出が減ったので政府がテコ入れして内需を増やしているということである。

政府資金には限度があるため、輸出が復活しないと内需が息切れする可能性がある。

ーーー

中国では農村部では収入格差の問題、都市部では(日本と同様)将来の不安に備えて貯蓄性向が高く、内需の伸びは大きくないが、例外がある。

香港『南華早報』は、「消費国家、子供至上」という記事を掲載した。

輸出減少による経済の損失を緩和し、国内需要を拡大するため、中国政府は大規模なインフラ施設への支出を行い、自動車消費税の減税や家電農村普及の補助金支給などの刺激措置に助けられているものの、まだ多くの消費を必要とするが、4億人の子供たちが経済の「救世主」との考えがある。

一人っ子政策が実施されるようになってから、中国大陸の子供たちは親から溺愛され、「小皇帝」や「小公主」という呼び方が生まれた。

一人っ子政策の結果、一人の子供が両親と父方の祖父母、母方の祖父母の6つの財布を独占する。

ブランド服、ハイテクおもちゃ、栄養食品はすでに「小皇帝」の必需品となっている。3月に世界最大のバービー専門店が上海にオープンした。多くの親が数千元を払って子供に英語を学ばせている。

中国の14歳以下の子供は4億人に達し、毎年2000万人の速さで増加しており、子供製品に巨大な市場を作り出している。
国内のおもちゃ販売は毎年40%増加している。また、子供服の需要は年間8億着で、8%の速さで増加している。文具も小売業の注目される中の一つである。栄養については、子供が生まれた日から始まっている。

ーーー

内需の好調で石油化学製品の需要も好調である。
China Chemical Reporter 616日のレポートでは、2009年第1四半期の中国の消費を以下の通りとしている。 

消費量 前年比
エチレン換算  645万トン  +21.3%
 :
PE  353万トン  +22.2%
PP  271万トン  +11.7%
PVC  251万トン  + 1.1%
 :
ポリエステル  448万トン  + 2.6%
アクリル   19.6万トン  -16.6%
合繊 計  520万トン  - 1.3%
 :
PTA  392万トン  - 2.3%
MEG  190万トン  +11.3%
AN   30万トン  +14.5%
 :
BR   17.3万トン  -11.7%
SBR  231万トン  - 6.1%
合成ゴム 計  624万トン  -13.7%

繊維や合成ゴムは前年比でマイナスだが、合成樹脂は前年を上回っている。
2009年の石油化学製品の需要予想は当初予想を上回り、エチレン換算では当初の2130万トンから2275万トンに引き上げられ、予想成長率は当初の1.1%から8.0%となったとしている。

この結果、石油化学製品の輸入も著しく増えている。(これが日本の石化の操業度向上に貢献している)

PVCの場合、一時は輸入量を上回った輸出が激減し、ほとんどなくなっている。
(輸出増価税還付率問題、インドなどでのダンピング課税問題などもあるが)

ーーー

中国の内需を巡り、中国政府の‘Buy Chinese’方針が問題となっている。

中国の国家発展改革委員会(NDRC)と8つの省庁(情報技術産業主管部門、監察部、通信管理局、建設庁、交通運輸部、鉄道部、水利部、商務部)は6月4日、共同で通達を出した。

政府の総額4兆元(約57兆円)規模の緊急経済対策において、中国製が入手できない場合やリーズナブルな条件で購入できない場合を除き、中国品を使用することとしている。
輸入品を購入する必要がある場合は、購入の前に政府の承認を得ることとしている。

中国は半年前に米政府の景気刺激策での‘Buy American’ 条項が世界経済の回復を遅らせるとしてクレームしたばかり。

‘Buy Chinese' はもともと中国の法律にあり、政府購買は輸入品・サービスを使用できないとしている。
しかし、中国経済が急成長してからは政府はこれを厳密に適用していなかった。

今回緊急経済対策で中国品が余り使われないため、その姿勢を変更した。
緊急経済対策の大きな部分が外国に持っていかれるとの批判が中国企業から出ていた。

中国は2001年にWTOに参加したが、WTO政府調達協定にはサインしていない。

協定では、政府や自治体などが、基準額である13万SDR(邦貨換算額1,900万円)を超える調達をする際、原則として一般競争による入札を実施することが定められている。
日本政府は、さらなる市場アクセス改善努力の一環として、自主的措置により10万SDR(邦貨換算額1,400万円)以上13万SDR未満の調達についても、この協定に準じた手続きを行っている。

受諾を行ったWTO加盟国のみがWTO政府調達協定に拘束されることになるが、その実施・運用は、WTOの枠組みの中で統一的に行われる。

日本、米国、カナダ、欧州共同体、香港、韓国、シンガポールなどが調印しており、台湾(2002年1月WTO加盟)が本年6月8日に調印した。

付記

商務部と発展改革委員会の報道官は6月26日、共同で談話を発表し、中国の関連部門が打ち出した政策を「Buy Chinese」という保護貿易主義的なものとして解釈した海外メディアの報道について、これは誤解だとの見方を示した。

談話によると、この通知の発表のねらいは、法で定められた入札制度を厳格に実行し、監督と取り締まりを強め、腐敗防止を強化し、公平競争が可能な市場環境を維持することだ。中国の一部の地方ではしばらく前、入札や調達の際に中国製品を差別する現象があった。今回の通知は、競争を制限する行為を抑え、全ての市場主体による合法で平等な市場競争参入を促すものだという。

談話によると、今回の通知は、中国経済の刺激策として出された新たな措置でもなく、外国企業や外国製品をターゲットとした保護貿易主義的な行為でもない。今回の通知での自国製品に関する規定は、各級政府機関が財政資金を利用する際の「政府調達法」で定められた政府調達項目に限られている。そこで示されている自国製品には、中国に設立された海外投資企業の生産した製品も含まれている。

中国はまだWTOの「政府調達協定」に加盟しておらず、政府調達に関する中国関連部門の規定と「政府調達法」とは国際的な義務に反するものではない。中国はすでに、WTO政府調達協定への加盟を申請している。


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2009年6月27日 (土)

「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」

公正取引委員会は6月19日、排除型私的独占に対する課徴金制度の導入等を内容とした独占禁止法改正法案が6月3日に国会で可決・成立したのを受け、作製した「排除型私的独占に係る独占禁止法上の指針」(原案)について意見募集を開始すると発表した。

http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.june/09061902.pdf 

独禁法改正は 2009/6/5  独禁法改正案成立  

原案では以下の点を扱っている。

①公正取引委員会の執行方針
「排除行為」の主なものを類型化し、行為類型ごとの判断要素、具体例など
③「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること」の考え方
④「競争の実質的制限」の考え方と判断要素

「排除型私的独占」とは、事業者が他の事業者の事業活動の継続を困難にさせたり、新規参入者の事業開始を困難にさせたりする行為であって、一定の取引分野における競争を実質的に制限することにつながる様々な行為。

排除型私的独占として事件の審査を行うか否かの判断に当たり、行為開始後において行為者が供給する商品のシェアがおおむね2分の1を超える事案であって、市場規模、行為者による事業活動の範囲、商品の特性等を総合的に考慮して、広く国民生活に影響が及ぶと考えられるものについて、優先的に審査を行う。

排除行為として典型的な行為
①「コスト割れ供給」

コスト割れ供給により、自らと同等又はそれ以上に効率的な事業者の事業活動を困難にさせる場合。

次のような事項が総合的に考慮される。
ア 商品に係る市場全体の状況
イ 行為者及び競争者の市場における地位
ウ 対価と供給に要する費用との関係
エ 行為の期間及び商品の取引額・数量
オ 行為の態様

生鮮食料品のようにその品質が急速に低下するおそれがあるもの、季節商品のようにその販売の最盛期を過ぎたもの、不良品のようにその品質に瑕疵のあるもの等について、相応の低い対価を設定することは、供給に要する費用を下回る対価を設定しても不当とはいえず、排除行為に該当しない。
また、価格が需給関係から低落しているときに、これに対応した対価を設定することも同様である。

②「排他的取引」

事業者が、相手方に対し、自己の競争者から商品の供給を受けないことを条件として取引する場合で、当該相手方に代わり得る取引先を容易に見いだすことができない競争者の事業活動を困難にさせ、競争に悪影響を及ぼす場合

考慮事項
ア 商品に係る市場全体の状況
イ 行為者の市場における地位
ウ 競争者の市場における地位
エ 行為の期間及び相手方の数・シェア
オ 行為の態様

購入額や購入量、その他が一定以上に達することを条件として取引先に対してリベートを供与することは、取引先に対する競争品の取扱制限として、排他的取引と同様の機能を有する場合がある。

考慮事項
ア リベートの水準
イ リベートを供与する基準
ウ リベートの累進度
エ リベートの遡及性

③「抱き合わせ」

主たる商品の供給に併せて従たる商品を購入させることを取引の条件とすることは、従たる商品の市場において他に代わり得る取引先を容易に見いだすことができない競争者の事業活動を困難にさせ、従たる商品の市場における競争に悪影響を及ぼす場合がある。

考慮事項
ア 主たる商品及び従たる商品に係る市場全体の状況
イ 主たる商品の市場における行為者の地位
ウ 従たる商品の市場における行為者及び競争者の地位
エ 行為の期間及び相手方の数・取引数量
オ 行為の態様

抱き合わせには、行為者がある商品を供給するのに併せて相手方に他の商品を供給させることを取引の条件とする行為も、行為者がある商品を購入するのに併せて相手方に他の商品を購入させることを取引の条件とする行為も、ともに含まれる。
また、ある商品を購入した後に必要となる補完的商品に係る市場(アフターマーケット)において特定の商品を購入させることを取引の条件とする行為も、抱き合わせに含まれる。

④「供給拒絶・差別的取扱い」

ある事業者が、供給先事業者が川下市場で事業活動を行うために必要な商品を供給する川上市場において、合理的な範囲を超えて、供給の拒絶、供給に係る商品の数量若しくは内容の制限又は供給の条件若しくは実施についての差別的な取扱いをすることは、その事業者に代わり得る他の供給者を容易に見いだすことができない供給先事業者の事業活動を困難にさせ、川下市場における競争に悪影響を及ぼす場合がある。

考慮事項
ア 川上市場及び川下市場全体の状況
イ 川上市場における行為者及びその競争者の地位
ウ 川下市場における供給先事業者及びその競争者の地位
エ 行為の期間
オ 行為の態様

自ら川下市場においても事業活動を行っている場合において、供給先事業者に供給する商品の価格について、自らの川下市場における商品の価格よりも高い水準に設定したり、供給先事業者が経済的合理性のある事業活動によって対抗できないほど近接した価格に設定したりする行為(いわゆるマージンスクイーズ)は、「供給拒絶・差別的取扱い」と同様の観点から排除行為に該当するか否か判断する。


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2009年6月26日 (金)

Sinopec、Addax Petroleum を買収

スイスに本拠を置き、ロンドンとカナダで上場している石油会社、Addax Petroleum は6月24日、Sinopecの買収提案を受け入れると発表した。

買収金額は約83億カナダドル(約6900億円)で、買収交渉が明らかになる前日(6月5日)の株価に47%のプレミアムを乗せた価格となっている。

Addax Petroleum はナイジェリアやイラク北部などで豊富な石油権益を持っている。中国政府の援助などをてこに、中国の石油大手はアフリカなどでの油田権益獲得を進めており、今回の買収もその一環である。

Addax Petroleum は1994年に西アフリカの石油・ガス開発のために設立された。
1998年にナイジェリアで最初の生産物分与契約を締結、現在はナイジェリア、ガポンなどとイラクのクルド自治区で権益を有している。
原油生産量は1998年の 8.8 Mbbl/d から2009第1四半期には134.7 Mbbl/d に増えている。 

同社が権益を持つ油田の2008年末現在の原油埋蔵量は以下の通り。 (MMbbl)

  Nigeria Gabon Iraq total
Proved oil reserves
 Developed producing
 Developed non-producing
 Undeveloped
 Total

  82.0
  11.8
  39.9
 133.7

 20.0
 8.4
 38.2
 66.6

 -
 -
 13.7
 13.7

 102.0
 20.3
 91.9
 214.2
Probable  190.2  36.6  95.7  322.5
Possible  134.9  23.7  43.1  201.7
Total  458.8  126.9  152.5  738.4

イラクのクルド自治区ではTaq Taq 油田についてトルコのGenel Enerji が組んで2005年7月に自治区政府と生産物分与契約を結んだ。
2006年11月に生産を開始したが、イラク政府はこの契約を承認していない。
但し、本年6月、例外的措置としてイラク政府はこの油田からの原油輸出を承認した。

2009/6/9 イラクのクルド自治区の原油輸出開始 

Addax Petroleum には以前から買収の噂が流れており、中国海洋石油有限公司(CNOOC)や三菱商事、インドのOil & Natural GasKorea National Oil などの名前が上がっていた。

Sinopec のオファ価格は他社よりも高いと言われており、業界ではこれ以上の価格でオファする相手はいないだろうと見ている。
Addax が契約破棄した場合のペナルティは3億ドルとされている。

ーーー

中国の石油会社は以前からアフリカに進出している。

PetroChinaSinopecCNOOC はナイジェリアに石油・ガスの権益を持っており、Sinopec Addaxと共同でGulf of Guinea2箇所の深海油田探査を行っている。

またSinopec は昨年9月、シリアで油田の開発、生産を行なっているカナダの石油会社 Tanganyika Oil を買収した。

2008/10/1 Sinopec、シリアで活動するカナダの石油会社を買収

 

中国のアフリカ進出は単に資源獲得だけではなく、進出先の国と中国との関係を強化する政治的な目的も持っている。<p><p>HTML clipboard</p></p>

進出先の国との関係強化、石油資源獲得という国家戦略に加え、中国には人民元切り上げ圧力を避けるために外貨準備高を減らす必要があり、これらを背景に政府の支援を受け、買収価格を引き上げて勝ちとっており、他国の私企業は買収競争で太刀打ちできない。

ーーー

石油関連では中国は本年2月、ロシアとの間で政府間協定を結んだ。

中国開発銀行がロシア国営石油会社 Rosneft に150億ドル、東シベリア太平洋パイプラインを運営するTransneftに100億ドルを低利で融資する見返りに、Rosneft は20年間、毎年15百万トンの原油の供給を行い、Transneftはパイプラインを中国に延長する。

中国はまた、ブラジルのペトロブラスとも契約を締結している。

2009/2/27  中国、ブラジルに接近

 


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«スイスの資源大手 Xstrata が英国のAnglo American に合併提案